③本件議員定数配分規定は、本件選挙当時、憲法の選挙権の平等の要求に違反し、違憲と断ぜられるべきものであった。
⑤本件においては、事情判決の法理に従い、本件選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示するにとどめ、選挙自体はこれを無効としないこととするのが、相当であり、また、このような場合においては、選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに、当該選挙が違法である旨を主文で宣言するのが、相当である。
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(H18 司法 第9問 ア)
議員定数をどのように配分するかは、立法府である国会の権限に属する立法政策の問題であるが、衆議院議員選挙において、選挙区間の投票価値の格差により選挙人の選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合には、例外的に、立法府の裁量の範囲を超えるものとして、憲法違反となる。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、「投票価値の平等は、各投票が選挙の結果に及ぼす影響力が数字的に完全に同一であることまでも要求するものと考えることはできない。けだし、投票価値は、選挙制度の仕組みと密接に関連し、その仕組みのいかんにより、結果的に右のような投票の影響力に何程かの差異を生ずることがあるのを免れないからである。…わが憲法も…、国会両議院の議員の選挙については、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(43条2項、47条)、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を原則として国会の裁量にゆだねているのである。」とする一方で、「具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票価値の不平等が、国会において通常考慮しうる諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度に達しているときは、もはや国会の合理的裁量の限界を超えているものと推定されるべきものであり、このような不平等を正当化すべき特段の理由が示されない限り、憲法違反と判断するほかはないというべきである。」としている。
(H18 司法 第9問 イ)
衆議院議員選挙において、選挙区間の投票価値の最大格差が3倍を超える場合には、憲法の要求する投票価値の平等に反する程度に至っているといえるが、必ずしもそれだけでは、当該議員定数配分規定が憲法に違反しているということまではできない。
(正答) 〇
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、選挙区間での投票価値の最大格差が約5倍に達していた事案において、「本件議員定数配分規定の下における各選挙区の議員定数と人口数との比率の偏差は、右選挙当時には、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度になつていたものといわなければならない。」とする一方で、「しかしながら、右の理由から直ちに本件議員定数配分規定を憲法違反と断ずべきかどうかについては、更に考慮を必要とする。」としている。
(H18 司法 第9問 エ)
議員定数配分規定が、憲法の要求する投票価値の平等に反し、違憲であると判断される場合、そのことを理由として当該規定に基づく選挙全体を無効としても、これによって直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期するところに適合しない結果を生ずるから、行政事件訴訟法第31条の定める事情判決の制度を類推して、議席を過小に配分された選挙区の選挙のみを無効とすべきである。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項前段)に言及した上で、「本件においては、前記の法理にしたがい、本件選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示するにとどめ、選挙自体はこれを無効としないこととするのが、相当であり、そしてまた、このような場合においては、選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに、当該選挙が違法である旨を主文で宣言するのが、相当である。」としている。
したがって、「議席を過小に配分された選挙区の選挙のみを無効とすべき」とする点において、本肢は誤っている。
(H23 司法 第4問 ア)
憲法第14条第1項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民は全て政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものであり、選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等も、憲法が要求するところである。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、「憲法14条1項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民はすべて政治的価値において平等であるべきであるとする徹底した平等化を志向するものであり、右15条1項等の各規定の文言上は単に選挙人資格における差別の禁止が定められているにすぎないけれども、単にそれだけにとどまらず、選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等もまた、憲法の要求するところであると解するのが、相当である。」としている。
(H23 司法 第4問 イ)
議員定数配分に際しては、人口比例の原則が最も重要かつ基本的な基準ではあるが、投票価値の平等は、国会が正当に考慮することのできる他の政策的な目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものであり、国会の裁量権の行使の際における考慮要素にとどまる。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、「憲法は、…投票価値の平等についても、これをそれらの選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準としているわけではなく、国会は、衆議院及び参議院それぞれについて他にしんしやくすることのできる事項をも考慮して、公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を具体的に決定することができるのであり、投票価値の平等は、さきに例示した選挙制度のように明らかにこれに反するもの、その他憲法上正当な理由となりえないことが明らかな人種、信条、性別等による差別を除いては、原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるべきものと解さなければならない。」とする一方で、「もっとも、このことは、平等選挙権の一要素としての投票価値の平等が、単に国会の裁量権の行使の際における考慮事項の一つであるにとどまり、憲法上の要求としての意義と価値を有しないことを意味するものではない。」としている。
(H23 司法 第4問 ウ)
投票価値の不平等が、国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達し、かつ、合理的期間内における是正が憲法上要求されているのに行われない場合、当該選挙は違憲無効となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、「投票価値の不平等が、国会において通常考慮しうる諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度に達しているときは、もはや国会の合理的裁量の限界を超えているものと推定されるべきものであり、このような不平等を正当化すべき特段の理由が示されない限り、憲法違反と判断するほかはない…。」、「合理的期間内における是正が憲法上要求されていると考えられるのにそれが行われない場合に始めて憲法違反と断ぜられるべきものと解する…。」としており、この点については、本肢は正しい。
しかし、判例は、事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項前段)に言及した上で、「本件においては、前記の法理にしたがい、本件選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示するにとどめ、選挙自体はこれを無効としないこととするのが、相当であり、そしてまた、このような場合においては、選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに、当該選挙が違法である旨を主文で宣言するのが、相当である。」とするにとどまる。
したがって、当然に「当該選挙は違憲無効となる。」とする点において、本肢は誤っている。
(H26 司法 第17問 ア)
一般的な法の基本原則に基づくものとして事情判決の法理を適用して、選挙を無効とせず違法の宣言にとどめるのは、当該選挙を無効とすることによって憲法が所期していない結果を生じることを回避するためである。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項前段)に言及した上で、「本件のように、選挙が憲法に違反する公選法に基づいて行われたという一般性をもつ瑕疵を帯び、その是正が法律の改正なくしては不可能である場合については、単なる公選法違反の個別的瑕疵を帯びるにすぎず、かつ、直ちに再選挙を行うことが可能な場合についてされた前記の立法府の判断は、必ずしも拘束力を有するものとすべきではなく、前記行政事件訴訟法の規定に含まれる法の基本原則の適用により、選挙を無効とすることによる不当な結果を回避する裁判をする余地もありうるものと解するのが、相当である。…本件選挙が憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われたものであること…を理由としてこれを無効とする判決をしても、これによって直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期するところに必ずしも適合しない結果を生ずることは、さきに述べたとおりである。これらの事情等を考慮するときは、本件においては、前記の法理にしたがい、本件選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示するにとどめ、選挙自体はこれを無効としないこととするのが、相当であり、そしてまた、このような場合においては、選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに、当該選挙が違法である旨を主文で宣言するのが、相当である。」としている。
(H26 司法 第17問 イ)
定数配分規定の違憲判断を選挙の効力と結び付けず、訴訟が提起された選挙区の選挙だけを無効とする手法は、投票価値が不平等であるとされた選挙区からの代表者がいない状態で定数配分規定の是正が行われるという問題がある。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、「仮に一部の選挙区の選挙のみが無効とされるにとどまつた場合でも、もともと同じ憲法違反の瑕疵を有する選挙について、そのあるものは無効とされ、他のものはそのまま有効として残り、しかも、右公選法の改正を含むその後の衆議院の活動が、選挙を無効とされた選挙区からの選出議員を得ることができないままの異常な状態の下で、行われざるをえないこととなるのであつて、このような結果は、憲法上決して望ましい姿ではなく、また、その所期するところでもないというべきである。」としている。
(H28 共通 第3問 イ)
選挙権の平等には各選挙人の投票価値の平等も含まれるが、国会によって定められた選挙制度における投票価値が不平等であっても、その不平等が国会の有する裁量権の行使として合理的と認められるのであれば、憲法第14条に違反しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、「選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等もまた、憲法の要求するところであると解するのが、相当である。」とする一方で、「投票価値の平等は、常にその絶対的な形における実現を必要とするものではないけれども、国会がその裁量によって決定した具体的な選挙制度において現実に投票価値に不平等の結果が生じている場合には、それは、国会が正当に考慮することのできる重要な政策的目的ないしは理由に基づく結果として合理的に是認することができるものでなければならないと解されるのであり、その限りにおいて大きな意義と効果を有するのである。それ故、国会が衆議院及び参議院それぞれについて決定した具体的選挙制度は、それが憲法上の選挙権の平等の要求に反するものでないかどうかにつき、常に各別に右の観点からする吟味と検討を免れることができないというべきである。」としている。
(R1 司法 第16問 イ)
衆議院の議員定数配分規定が選挙権の平等に反して違憲と判断された場合、行政事件訴訟法の事情判決の規定には、一般的な法の基本原則に基づくものとして理解すべき要素も含まれていると考えられ、公職選挙法も選挙関係訴訟については上記規定の準用を明示的に排除していないため、事情判決の法理により、その選挙の違法を主文で宣言することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭51.4.14)は、事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項前段)に言及した上で、「本件においては、前記の法理にしたがい、本件選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示するにとどめ、選挙自体はこれを無効としないこととするのが、相当であり、そしてまた、このような場合においては、選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに、当該選挙が違法である旨を主文で宣言するのが、相当である。」とする一方で、「行政事件訴訟法の右規定は、公選法の選挙の効力に関する訴訟についてはその準用を排除されている…(公選法219条)」とも述べている。
したがって、「公職選挙法も選挙関係訴訟については上記規定の準用を明示的に排除していない」とする点において、本肢は誤っている。
(R5 予備 第1問 ウ)
選挙権に関しては、憲法第14条第1項に定める法の下の平等は、国民はすべて政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するもので、各選挙人の投票の価値の平等も憲法の要求するところであるから、両議院の議員一人当たりの人口が最大の選挙区と最小の選挙区との間で、一票の重みの較差がおおむね2対1以上に開いた場合、投票価値の平等の要請に正面から反し、違憲といわざるを得ない。
(正答)✕
(解説)
議員定数不均衡訴訟判決(最大判昭51.4.14)は、選挙区間での投票価値の最大格差が約5倍に達していた事案において、「本件議員定数配分規定の下における各選挙区の議員定数と人口数との比率の偏差は、右選挙当時には、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度になつていたものといわなければならない。」とする一方で、「しかしながら、右の理由から直ちに本件議員定数配分規定を憲法違反と断ずべきかどうかについては、更に考慮を必要とする。」としている。
したがって、「一票の重みの較差がおおむね2対1以上に開いた場合、投票価値の平等の要請に正面から反し、違憲といわざるを得ない。」とする点において、本肢は誤っている。
(R8 共通 第18問 ウ)
最高裁判所の判決(最高裁判所昭和51年4月14日大法廷判決、民集30巻3号223頁)は、憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた衆議院議員選挙を無効とする判決をしても、これによって直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期するところに必ずしも適合しない結果を生ずる等の理由から、当該選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却し、当該選挙が違法である旨を主文で宣言した。
(正答)〇
(解説)
議員定数不均衡訴訟判決(最大判昭51.4.14)は、事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項前段)に言及した上で、「本件選挙が憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われたものであること…を理由としてこれを無効とする判決をしても、これによって直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期するところに必ずしも適合しない結果を生ずることは、さきに述べたとおりである。これらの事情等を考慮するときは、本件においては、前記の法理にしたがい、本件選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示するにとどめ、選挙自体はこれを無効としないこととするのが、相当であり、そしてまた、このような場合においては、選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに、当該選挙が違法である旨を主文で宣言するのが、相当である。」としている。
(H18 司法 第9問 ウ)
参議院議員の選挙区選挙については、地域代表の性質を有するという参議院の特殊性により、投票価値の平等が直接的には要求されないと解されるから、衆議院議員選挙の場合とは異なり、選挙区間における投票価値の格差が5倍を超えるような場合であっても、憲法違反とはならない。
(正答) ✕
(解説)
判例(最大判昭58.4.27)は、「参議院地方選出議員の選挙の仕組みについて事実上都道府県代表的な意義ないし機能を有する要素を加味したからといって、これによって選出された議員が全国民の代表であるという性格と矛盾抵触することになるものということもできない。…公職選挙法が採用した参議院地方選出議員についての選挙の仕組み…の下では、投票価値の平等の要求は、人口比例主義を基本とする選挙制度の場合と比較して一定の譲歩、後退を免れないと解せざるをえないのである。」としているが、「参議院議員の選挙区選挙については…投票価値の平等が直接的には要求されないと解される」とまでは述べていない。
(H22 司法 第14問 ①)
最大判昭和58年4月27日(最大較差1対5.26倍)は、地方選出議員の地方代表的性格は否定したが、半数改選制、参議院に解散を認めない二院制の本旨といった参議院議員選挙の特殊性を重視して、合憲とした。
(正答) ✕
(解説)
判例(最大判昭58.4.27)は、「参議院地方選出議員の選挙の仕組みについて事実上都道府県代表的な意義ないし機能を有する要素を加味したからといって、これによって選出された議員が全国民の代表であるという性格と矛盾抵触することになるものということもできない。…公職選挙法が採用した参議院地方選出議員についての選挙の仕組み…の下では、投票価値の平等の要求は、人口比例主義を基本とする選挙制度の場合と比較して一定の譲歩、後退を免れないと解せざるをえないのである。」としており、地方選出議員の地方代表的性格を否定していない。
(H24 司法 第18問 ア)
選挙権の平等に反する定数配分規定を是正するための合理的期間が経過したにもかかわらず、現行規定のままで選挙が施行された場合、判決確定により直ちに当該選挙を無効とすることが相当でないとみられるときは、選挙を無効とするがその効果は一定期間経過後に初めて発生するという内容の判決をすることも許される。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭60.7.17)は、「本件議員定数配分規定は、本件選挙当時、憲法の選挙権の平等の要求に反し、違憲と断定するほかはない。そして、本件議員定数配分規定は、その性質上不可分の一体をなすものと解すべきであり、憲法に違反する不平等を生ぜしめている部分のみならず、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである…。」とする一方で、「いわゆる事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項)の基礎に存するものと解すべき一般的な法の基本原則を適用して、選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避することもあり得るものと解すべきである…。本件は、前記の一般的な法の基本原則に従い、本件選挙が憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において違法である旨を判示し、主文において右選挙の違法を宣言するにとどめ、右選挙は無効としないこととするのが相当である場合に当たるものというべきである。」としている。
(H22 司法 第14問 ②)
議員定数不均衡訴訟事件判決(最大判平成8年9月11日)は、違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態が生じているとしたが、是正のための合理的期間は徒過していないとして、合憲とした。
(正答)〇
(解説)
議員定数不均衡訴訟判決(最大判平8.9.11)は、「本件選挙当時、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差等からして、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたものといわざるを得ない…。」とする一方で、「選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差が到底看過することができないと認められる程度に達した時から本性選挙までの間に国会が本件定数配分規定を是正する措置を講じなかったことをもって、その立法裁量権の限界を超えるものと断定することは困難である。」として、是正のための合理的期間は徒過していないことを理由に合憲と判断している。
(H27 司法 第16問 ア)
衆議院議員選挙における1人別枠方式については、人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させるという目的は合理的であるが、その結果生じる投票価値の較差が過大であるから違憲である。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判平23.3.23)は、「1人別枠方式…については…、相対的に人口の少ない県に定数を多めに配分し、人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させることができるようにすることを目的とする旨の説明がされている。しかし、…殊更にある地域(都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い。」としている。したがって、「人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させるという目的は合理的である」とする点において、本肢は誤っている。
また、同判例は、「本件選挙時において、本件区割基準規定の定める本件区割基準のうち1人別枠方式に係る部分は、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っており、同基準に従って改定された本件区割規定の定める本件選挙区割りも、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていたものではあるが、いずれも憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、本件区割基準規定及び本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない。」としている。したがって、「その結果生じる投票価値の較差が過大であるから違憲である」とする点においても、本肢は誤っている。
(H30 共通 第13問 イ)
判例は、衆議院議員選挙におけるいわゆる1人別枠方式について、小選挙区比例代表並立制の導入に当たり、直ちに人口比例のみに基づいて定数配分を行った場合の影響に配慮するための方策であり、新選挙制度が定着し運用が安定すればその合理性は失われるとしている。
(正答) 〇
(解説)
判例(最大判平23.3.23)は、「1人別枠方式の意義については、人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮という立法時の説明にも一部うかがわれるところであるが、既に述べたような我が国の選挙制度の歴史、とりわけ人口の変動に伴う定数の削減が著しく困難であったという経緯に照らすと、新しい選挙制度を導入するに当たり、直ちに人口比例のみに基づいて各都道府県への定数の配分を行った場合には、人口の少ない県における定数が急激かつ大幅に削減されることになるため、国政における安定性、連続性の確保を図る必要があると考えられたこと、何よりもこの点への配慮なくしては選挙制度の改革の実現自体が困難であったと認められる状況の下で採られた方策であるということにあるものと解される。そうであるとすれば、1人別枠方式は、おのずからその合理性に時間的な限界があるものというべきであり、新しい選挙制度が定着し、安定した運用がされるようになった段階においては、その合理性は失われるものというほかはない。」としている。
(R7 予備 第10問 ウ)
最高裁判所は、1人別枠方式の意義は、衆議院議員選挙制度の変更に伴い、国政における安定性、連続性の確保を図るための暫定的な措置であるということにあると解されるから、その合理性には時間的な限界があり、新しい選挙制度である小選挙区比例代表並立制が定着し、安定した運用がされるようになった段階ではその合理性が失われるとした。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判平23.3.23)は、「1人別枠方式の意義については、人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮という立法時の説明にも一部うかがわれるところであるが、既に述べたような我が国の選挙制度の歴史、とりわけ人口の変動に伴う定数の削減が著しく困難であったという経緯に照らすと、新しい選挙制度を導入するに当たり、直ちに人口比例のみに基づいて各都道府県への定数の配分を行った場合には、人口の少ない県における定数が急激かつ大幅に削減されることになるため、国政における安定性、連続性の確保を図る必要があると考えられたこと、何よりもこの点への配慮なくしては選挙制度の改革の実現自体が困難であったと認められる状況の下で採られた方策であるということにあるものと解される。そうであるとすれば、1人別枠方式は、おのずからその合理性に時間的な限界があるものというべきであり、新しい選挙制度が定着し、安定した運用がされるようになった段階においては、その合理性は失われるものというほかはない。」としている。
(H22 司法 第14問 ③)
判例(最大判平成21年9月30日)は、結論的には合憲としつつも、投票価値平等の観点からは大きな不平等が存し較差の縮小を図ることが求められること、そのためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となり国会において速やかに適切な検討が行われることが望まれると判示した。
(正答)〇
(解説)
議員定数不均衡訴訟判決(最大判平21.9.30)は、「以上のような事情を考慮すれば、本件選挙までの間に本件定数配分規定を更に改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えたものということはできず、本件選挙当時において、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたものとすることはできない。」とする一方で、「各選挙区の定数を振り替える措置によるだけでは、最大較差の大幅な縮小を図ることは困難であり、これを行おうとすれば、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となることは否定できない。このような見直しを行うについては、参議院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が必要であり、事柄の性質上課題も多く、その検討に相応の時間を要することは認めざるを得ないが、国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であることにかんがみると、国会において、速やかに、投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて、適切な検討が行われることが望まれる。」としている。
(H27 司法 第12問 ウ)
参議院議員選挙に関して、判例は、半数改選という憲法上の要請、そして都道府県を単位とする参議院の選挙区選挙における地域代表的性格という特殊性を重視して、都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持することを是認し続けている。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判平24.10.17)は、「憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」とした上で、「参議院議員の選挙制度については、限られた総定数の枠内で、半数改選という憲法上の要請を踏まえて各選挙区の定数が偶数で設定されるという制約の下で、長期にわたり投票価値の大きな較差が続いてきた。しかしながら、国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であることや、さきに述べた国政の運営における参議院の役割に照らせば、より適切な民意の反映が可能となるよう、単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ、できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる前記の不平等状態を解消する必要がある。」としている。
したがって、「都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持することを是認し続けている」とする点において、本肢は誤っている。
(H30 共通 第13問 ア)
判例は、参議院議員選挙における定数不均衡の問題について、参議院の半数改選制の要請を踏まえれば投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められても憲法に違反するとはいえないとして、衆議院の場合よりも広い立法裁量を認めてきており、これまで違憲状態を認定したことはない。
(正答)✕
(解説)
平成8年判決(最大判平8.9.11)及び平成24年判決(最大判平24.10.17)は、参議院議員選挙における定数不均衡の問題について、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていた旨判示している。また、平成24年判決(最大判平24.10.17)は、「憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」としている。
(R8 司法 第12問 ア)
最高裁判所の判決(最高裁判所平成24年10月17日大法廷判決、民集66巻10号3357頁)は、参議院議員選挙における投票価値の不均衡の問題について、都道府県は、地方における一つのまとまりを有する行政等の単位ではあるが、これを選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、この仕組み自体を見直すことが必要になるとしている。
(正答)〇
(解説)
議員定数不均衡訴訟判決(最大判平24.10.17)は、都道府県を各選挙区の単位とすることについて、「都道府県が地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるという点は今日においても変わりはなく、この指摘もその限度においては相応の合理性を有していたといい得るが、これを参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、むしろ、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の仕組み自体を見直すことが必要になるものといわなければならない。」としている。
(H27 司法 第12問 ア)
日本国憲法が二院制を採用したのは、異なる選挙制度や議員の任期が異なること等によって、多角的かつ長期的な視点からの民意を反映させ、衆議院と参議院との権限の抑制、均衡を図り、国政の運営の安定性、継続性を確保しようとしたものと解される。
(正答) 〇
(解説)
判例(最大判平26.11.26)は、「憲法は、二院制の下で、一定の事項について衆議院の優越を認める反面、参議院議員につき任期を6年の長期とし、解散もなく、選挙は3年ごとにその半数について行うことを定めている(46条等)。その趣旨は、立法を始めとする多くの事柄について参議院にも衆議院とほぼ等しい権限を与えつつ、参議院議員の任期をより長期とすること等によって、多角的かつ長期的な視点からの民意を反映させ、衆議院との権限の抑制、均衡を図り、国政の運営の安定性、継続性を確保しようとしたものと解される。」としている。