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議員定数不均衡訴訟 最大判平成24年10月17日
概要
判例
判旨:①「憲法は、…投票価値の平等を要求していると解される。しかしながら、憲法は、どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させることになるかの決定を国会の裁量に委ねているのであるから、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準となるものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものである。それゆえ、国会が具体的に定めたところがその裁量権の行使として合理性を有するものである限り、それによって投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められることになっても、憲法に違反するとはいえない。」
参議院議員の選挙制度の変遷は前記…のとおりであって、これを衆議院議員の選挙制度の変遷と対比してみると、両議院とも、政党に重きを置いた選挙制度を旨とする改正が行われている上、選挙の単位の区域に広狭の差はあるものの、いずれも、都道府県又はそれを細分化した地域を選挙区とする選挙と、より広範な地域を選挙の単位とする比例代表選挙との組合せという類似した選出方法が採られ、その結果として同質的な選挙制度となってきているということができる。このような選挙制度の変遷とともに、急速に変化する社会の情勢の下で、議員の長い任期を背景に国政の運営における参議院の役割はこれまでにも増して大きくなってきているということができる。加えて、衆議院については、この間の改正を通じて、投票価値の平等の要請に対する制度的な配慮として、選挙区間の人口較差が2倍未満となることを基本とする旨の区割りの基準が定められている。これらの事情に照らすと、参議院についても、二院制に係る上記の憲法の趣旨との調和の下に、更に適切に民意が反映されるよう投票価値の平等の要請について十分に配慮することが求められるところである。
過去問・解説
(H27 司法 第12問 ウ)
参議院議員選挙に関して、判例は、半数改選という憲法上の要請、そして都道府県を単位とする参議院の選挙区選挙における地域代表的性格という特殊性を重視して、都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持することを是認し続けている。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判平24.10.17)は、「憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」とした上で、「参議院議員の選挙制度については、限られた総定数の枠内で、半数改選という憲法上の要請を踏まえて各選挙区の定数が偶数で設定されるという制約の下で、長期にわたり投票価値の大きな較差が続いてきた。しかしながら、国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であることや、さきに述べた国政の運営における参議院の役割に照らせば、より適切な民意の反映が可能となるよう、単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ、できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる前記の不平等状態を解消する必要がある。」としている。
したがって、「都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持することを是認し続けている」とする点において、本肢は誤っている。
(H30 共通 第13問 ア)
判例は、参議院議員選挙における定数不均衡の問題について、参議院の半数改選制の要請を踏まえれば投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められても憲法に違反するとはいえないとして、衆議院の場合よりも広い立法裁量を認めてきており、これまで違憲状態を認定したことはない。
(正答)✕
(解説)
平成8年判決(最大判平8.9.11)及び平成24年判決(最大判平24.10.17)は、参議院議員選挙における定数不均衡の問題について、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていた旨判示している。また、平成24年判決(最大判平24.10.17)は、「憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」としている。
(R8 司法 第12問 ア)
最高裁判所の判決(最高裁判所平成24年10月17日大法廷判決、民集66巻10号3357頁)は、参議院議員選挙における投票価値の不均衡の問題について、都道府県は、地方における一つのまとまりを有する行政等の単位ではあるが、これを選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、この仕組み自体を見直すことが必要になるとしている。
(正答)〇
(解説)
議員定数不均衡訴訟判決(最大判平24.10.17)は、都道府県を各選挙区の単位とすることについて、「都道府県が地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるという点は今日においても変わりはなく、この指摘もその限度においては相応の合理性を有していたといい得るが、これを参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、むしろ、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の仕組み自体を見直すことが必要になるものといわなければならない。」としている。