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憲法 弘前機関区事件 最大判昭和28年4月8日 - 解答モード
概要
一切の公務員の団体交渉権及び争議権を否認する昭和23年政令第201号は、憲法28条に違反しない。
判例
事案:一切の公務員の団体交渉権および争議権を否認するとした昭和23年政令第201条は憲法28条に違反するかが問題となった。
判旨:「国民の権利はすべて公共の福祉に反しない限りにおいて立法その他の国政の上で最大の尊重をすることを必要とするのであるから、憲法28条が保障する勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利も公共の福祉のために制限を受けるのは已を得ないところである。殊に国家公務員は、国民全体の奉仕者として(憲法15条)公共の利益のために勤務し、且つ職務の遂行に当つては全力を挙げてこれに専念しなければならない(国家公務員法96条1項)性質のものであるから、団結権団体交渉権等についても、一般の勤労者とは違つて特別の取扱を受けることがあるのは当然である。従来の労働組合法又は労働関係調整法において非現業官吏が争議行為を禁止され、又警察官等が労働組合結成権を認められなかつたのはこの故である。同じ理由により、本件政令第201号が公務員の争議を禁止したからとて、これを以て憲法28条に違反するものということはできない。」
判旨:「国民の権利はすべて公共の福祉に反しない限りにおいて立法その他の国政の上で最大の尊重をすることを必要とするのであるから、憲法28条が保障する勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利も公共の福祉のために制限を受けるのは已を得ないところである。殊に国家公務員は、国民全体の奉仕者として(憲法15条)公共の利益のために勤務し、且つ職務の遂行に当つては全力を挙げてこれに専念しなければならない(国家公務員法96条1項)性質のものであるから、団結権団体交渉権等についても、一般の勤労者とは違つて特別の取扱を受けることがあるのは当然である。従来の労働組合法又は労働関係調整法において非現業官吏が争議行為を禁止され、又警察官等が労働組合結成権を認められなかつたのはこの故である。同じ理由により、本件政令第201号が公務員の争議を禁止したからとて、これを以て憲法28条に違反するものということはできない。」
過去問・解説
正答率 : 0.0%
(H19 司法 第11問 ア)
一切の公務員の団体交渉権及び争議権を否認する昭和23年政令第201号の合憲性が争われた弘前機関区事件判決(最大判昭和28年4月8日)において、最高裁判所は、憲法第13条の「公共の福祉」論と憲法第15条第2項の「全体の奉仕者」論を根拠にして、公務員の労働基本権の一律禁止を合憲とした。
(正答) 〇
(解説)
弘前機関区事件判決(最大判昭28.4.8)は、①「国民の権利はすべて公共の福祉に反しない限りにおいて立法その他の国政の上で最大の尊重をすることを必要とするのであるから、憲法28条が保障する勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利も公共の福祉のために制限を受けるのは已を得ないところである。」として憲法13条の「公共の福祉」論に言及し、さらに、②「国家公務員は、国民全体の奉仕者として(憲法15条)公共の利益のために勤務し、且つ職務の遂行に当つては全力を挙げてこれに専念しなければならない(国家公務員法96条1項)性質のものであるから、団結権団体交渉権等についても、一般の勤労者とは違つて特別の取扱を受けることがあるのは当然である。として憲法15条2項の「全体の奉仕者」論にも言及して、「本件政令第201号が公務員の争議を禁止したからとて、これを以て憲法28条に違反するものということはできない。」と判示している。