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憲法 京都府学連事件 最大判昭和44年12月24日 - 解答モード
概要
②現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである。このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになつても、憲法13条、35条に違反しない。
判例
そこで、その許容される限度について考察すると、身体の拘束を受けている被疑者の写真撮影を規定した刑訴法218条2項のような場合のほか、次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。すなわち、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである。このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになつても、憲法13条、35条に違反しないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第4問 ア)
学説における支配的見解は、幸福追求権の具体的権利性を肯定する。最高裁判所も、京都府学連事件判決において、憲法第13条が保障するプライバシーの権利の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有するものというべきである、と判示した。
(正答) ✕
(解説)
京都府学連事件判決(最大判昭44.12.24)は、「憲法13条は、…国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。これを肖像権と称するかどうかは別として、…」としており、「みだりにその容ぼう・姿態…を撮影されない自由」について、憲法13条が規定する国民の私生活上の自由として保障されるとは述べているが、プライバシー権として保障されるとは述べていない。
(H23 共通 第3問 イ)
京都府学連事件判決(最大判昭和44年12月24日)は、個人の私生活上の自由として、何人もその承諾なしにみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有するとし、警察官が正当な理由もないのに個人の容貌等を撮影することは、憲法第13条の趣旨に反するとした。
(H25 司法 第3問 イ)
何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するから、犯罪捜査の必要上、本人の同意や令状がなくとも、警察官が犯人の容ぼう等を撮影することは一定の要件の下で許されるものの、その際に第三者が写らないようにしなければならない。
(正答) ✕
(解説)
京都府学連事件判決(最大判昭44.12.24)は、「憲法13条は、…国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」とする一方で、「しかしながら、個人の有する右自由も、国家権力の行使から無制限に保護されるわけでなく、公共の福祉のため必要のある場合には相当の制限を受けることは同条の規定に照らして明らかである。そして、犯罪を捜査することは、公共の福祉のため警察に与えられた国家作用の一つであり、警察にはこれを遂行すべき責務があるのであるから(警察法2条1項参照)、警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、その対象の中に犯人のみならず第三者である個人の容ぼう等が含まれても、これが許容される場合がありうるものといわなければならない。」としており、犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、その対象の中に第三者である個人の要望・姿態が写ることが許容される場合があることを認めている。
(R1 司法 第3問 ウ)
何人も、その承諾なしに、みだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するところ、現に犯罪が行われ若しくは行われた後間がないと認められる場合であって、証拠保全の必要性及び緊急性があり、かつ、その撮影が一般的に許容される限度を超えない相当な方法をもって行われるときは、警察官による犯人の容ぼうの写真撮影は、憲法に違反しない。
(正答) 〇
(解説)
京都府学連事件判決(最大判昭44.12.24)は、「憲法13条は、…国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」とする一方で、「次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。すなわち、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であって、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行なわれるときである。このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになっても、憲法13条、35条に違反しないものと解すべきである。」としている。
(R4 予備 第2問 ア)
判例は、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有し、警察官が、正当な理由なく個人の容ぼう等を撮影することは、憲法第13条の趣旨に反し許されないが、かかる自由も無制限に保護されるわけではなく、犯罪捜査に必要な撮影をすることは許容される場合があるとしている。
(正答) 〇
(解説)
京都府学連事件判決(最大判昭44.12.24)は、「憲法13条は、…国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」とする一方で、「しかしながら、個人の有する右自由も、国家権力の行使から無制限に保護されるわけでなく、公共の福祉のため必要のある場合には相当の制限を受けることは同条の規定に照らして明らかである。そして、犯罪を捜査することは、公共の福祉のため警察に与えられた国家作用の一つであり、警察にはこれを遂行すべき責務があるのであるから(警察法2条1項参照)、警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、その対象の中に犯人のみならず第三者である個人の容ぼう等が含まれても、これが許容される場合がありうるものといわなければならない。」としている。
(R5 司法 第1問 ア)
最高裁判所は、本人の意思に反し、かつ令状なしでなされた警察官による写真撮影行為の違法性が争われた事件において、憲法第13条は、国民の私生活上の自由が警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定したものであるとした。