現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

憲法 西陣ネクタイ事件 最三小判平成2年2月6日

概要
生糸の一元輸入措置及び生糸価格安定制度を内容とする繭糸価格安定法改正の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。
判例
事案:生糸輸出の増進・蚕糸業の経営安定を目的として、一元輸入措置(=外国産生糸の輸入は、日本蚕糸事業団(当時)から委託を受けた者又はその他政令で定める者でなければしてはならない)を定めた改正繭糸価格安定法の条項の違憲性が、国家賠償請求訴訟で主張された。

判旨:「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらずあえて当該立法を行うというように、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けるものでないことは、当裁判所の判例とするところであり…、積極的な社会経済政策の実施の一手段として、個人の経済活動に対し一定の合理的規制措置を講ずることは、憲法が予定し、かつ、許容するところであるから、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限って、これを違憲としてその効力を否定することができるというのが、当裁判所の判例とするところである(昭和45年(あ)第23号同47年11月22日大法廷判決・刑集26巻9号586頁)。
 そして、昭和51年法律第15号による改正後の繭糸価格安定法12条の13の2及び12条の13の3は、原則として、当分の間、当時の日本蚕糸事業団等でなければ生糸を輸入することができないとするいわゆる生糸の一元輸入措置の実施、及び所定の輸入生糸を同事業団が売り渡す際の売渡方法、売渡価格等の規制について規定しており、営業の自由に対し制限を加えるものではあるが、以上の判例の趣旨に照らしてみれば、右各法条の立法行為が国家賠償法1条1項の適用上例外的に違法の評価を受けるものではないとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論は、違憲をも主張するが、その実質は原判決の右判断における法令違背の主張にすぎない。論旨は、採用することができない。」
過去問・解説
(H26 司法 第9問 イ)
特定産業における経営の安定を目的とする生糸の輸入制限は、零細な他の産業に犠牲を強いることになるので、その合憲性は慎重に審査されるが、著しく不合理とはいえない。 

(正答)  

(解説)
西陣ネクタイ事件判決(最判平2.2.6)は、「積極的な社会経済政策の実施の一手段として、個人の経済活動に対し一定の合理的規制措置を講ずることは、憲法が予定し、かつ、許容するところであるから、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限って、これを違憲としてその効力を否定することができるというのが、当裁判所の判例とするところである。」としており、合憲性を慎重に審査されるべきとは述べていない。
総合メモ
前の判例 次の判例