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憲法 衆議院議員選挙における重複立候補制 最大判平成11年11月10日
概要
原告は、重複立候補制に係る改正公選法の規定は、重複立候補者が小選挙区選挙で落選しても比例代表選挙で当選することができる点において、憲法前文、43条1項、14条1項、15条3項、44条に違反し、また、重複立候補をすることができる者ないし候補者届出政党の要件を充足する政党等と重複立候補をすることができない者ないし右要件を充足しない政党等とを差別的に取り扱うものであり、選挙人の選挙権の十全な行使を侵害するものであって、憲法15条1項、3項、44条、14条1項、47条、43条1項に違反し、さらに、選挙の時点で候補者名簿の順位が確定しないものであるから直接選挙といえず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するなどと主張したが、いずれの主張も退けられた。
判例
事案:重複立候補制度とは、候補者届出政党と名簿届出政党の要件の双方を充たした組織の候補者につ いて、小選挙区選挙と比例代表選挙への重複立候補を認める制度であり、1994年の公選法改正により衆議院議員総選挙に導入された。
比例代表制とは、多数派・少数派の各派に対して得票数に比例した議員の選出を保障しようとする選挙制度であり、これと小選挙区制を組み合わせた選挙制度が小選挙区比例代表制(議員定数を小選挙区と比例代表区に二分し、選挙人は小選挙区については候補者個人に、比例代表区については政党の提出した名簿に投票する制度)である。
小選挙区選挙とは、議員定員と同数の選挙区を区分けし、1選挙区につき1人を選出する選挙制度である。
本事件では、小選挙区選挙における選挙運動の差異の合憲性、重複立候補制度の合憲性(立候補の自由との関係)、比例代表選挙の合憲性(直接選挙との関係)、小選挙区制の合憲性が問題となった。
判旨:①「代表民主制の下における選挙制度は、選挙された代表者を通じて、国民の利害や意見が公正かつ効果的に国政の運営に反映されることを目標とし、他方、政治における安定の要請をも考慮しながら、それぞれの国において、その国の実情に即して具体的に決定されるべきものであり、そこに論理的に要請される一定不変の形態が存在するわけではない。我が憲法もまた、右の理由から、国会の両議院の議員の選挙について、およそ議員は全国民を代表するものでなければならないという制約の下で、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(43条、47条)、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を原則として国会の広い裁量にゆだねているのである。このように、国会は、その裁量により、衆議院議員及び参議院議員それぞれについて公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するために適切な選挙制度の仕組みを決定することができるのであるから、国会が新たな選挙制度の仕組みを採用した場合には、その具体的に定めたところが、右の制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反するため国会の右のような広い裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるものと解すべきである…。」
②「改正公選法86条の2は、比例代表選挙における立候補につき、同条1項各号所定の要件のいずれかを備えた政党その他の政治団体のみが団体の名称と共に順位を付した候補者の名簿を届け出ることができるものとし、右の名簿の届出をした政党その他の政治団体(衆議院名簿届出政党等)のうち小選挙区選挙において候補者の届出をした政党その他の政治団体(候補者届出政党)はその届出に係る候補者を同時に比例代表選挙の名簿登載者とすることができ、両選挙に重複して立候補する者については右名簿における当選人となるべき順位を同一のものとすることができるという重複立候補制を採用している。重複立候補者は、小選挙区選挙において当選人とされた場合には、比例代表選挙における当選人となることはできないが、小選挙区選挙において当選人とされなかった場合には、名簿の順位に従って比例代表選挙の当選人となることができ、後者の場合に、名簿において同一の順位とされた者の間における当選人となるべき順位は、小選挙区選挙における得票数の当該選挙区における有効投票の最多数を得た者に係る得票数に対する割合の最も大きい者から順次に定めるものとされている(同法95条の2第3ないし第5項)。同法86条の2第1項各号所定の要件のうち1号、2号の要件は、同法86条1項1号、2号所定の候補者届出政党の要件と同一であるから、これらの要件を充足する政党等に所属する者は小選挙区選挙及び比例代表選挙に重複して立候補することができるが、右政党等に所属しない者は、同法86条の2第1項3号所定の要件を充足する政党その他の政治団体に所属するものにあっては比例代表選挙又は小選挙区選挙のいずれかに、その他のものにあっては小選挙区選挙に立候補することができるにとどまり、両方に重複して立候補することはできないものとされている。また、右の名簿に登載することができる候補者の数は、各選挙区の定数を超えることができないが、重複立候補者はこの計算上除外されるので、候補者届出政党の要件を充足した政党等は、右定数を超える数の候補者を名簿に登載することができることとなる(同条5項)。そして、衆議院名簿届出政党等のすることができる自動車、拡声機、ポスターを用いた選挙運動や新聞広告、政見放送等の規模は、名簿登載者の数に応じて定められている(同法141条3項、144条1項2号、149条2項、150条5項等)。さらに、候補者届出政党は、小選挙区選挙の選挙運動をすることができるほか、衆議院名簿届出政党等でもある場合には、その小選挙区選挙に係る選挙運動が同法の許す態様において比例代表選挙に係る選挙運動にわたることを妨げないものとされている(同法178条の3第1項)。
右のような改正公選法の規定をみると、立候補の機会において、候補者届出政党に所属する候補者は重複立候補をすることが認められているのに対し、それ以外の候補者は重複立候補の機会がないものとされているほか、衆議院名簿届出政党等の行うことができる選挙運動の規模において、重複立候補者の数が名簿登載者の数の制限の計算上除外される結果、候補者届出政党の要件を備えたものは、これを備えないものより規模の大きな選挙運動を行うことができるものとされているということができる。」
③「論旨は、右のような重複立候補制に係る改正公選法の規定は、重複立候補者が小選挙区選挙で落選しても比例代表選挙で当選することができる点において、憲法前文、43条1項、14条1項、15条3項、44条に違反し、また、重複立候補をすることができる者ないし候補者届出政党の要件を充足する政党等と重複立候補をすることができない者ないし右要件を充足しない政党等とを差別的に取り扱うものであり、選挙人の選挙権の十全な行使を侵害するものであって、憲法15条1項、3項、44条、14条1項、47条、43条1項に違反し、さらに、選挙の時点で候補者名簿の順位が確定しないものであるから直接選挙といえず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するなどというのである。
…重複立候補制を採用し、小選挙区選挙において落選した者であっても比例代表選挙の名簿順位によっては同選挙において当選人となることができるものとしたことについては、小選挙区選挙において示された民意に照らせば、議論があり得るところと思われる。しかしながら、前記のとおり、選挙制度の仕組みを具体的に決定することは国会の広い裁量にゆだねられているところ、同時に行われる二つの選挙に同一の候補者が重複して立候補することを認めるか否かは、右の仕組みの一つとして、国会が裁量により決定することができる事項であるといわざるを得ない。改正公選法87条は重複立候補を原則として禁止しているが、これは憲法から必然的に導き出される原理ではなく、立法政策としてそのような選択がされているものであり、改正公選法86条の2第4項が政党本位の選挙を目指すという観点からこれに例外を設けたこともまた、憲法の要請に反するとはいえない。重複して立候補することを認める制度においては、一の選挙において当選人とされなかった者が他の選挙において当選人とされることがあることは、当然の帰結である。したがって、重複立候補制を採用したこと自体が憲法前文、43条1項、14条1項、15条3項、44条に違反するとはいえない。
もっとも、衆議院議員選挙において重複立候補をすることができる者は、改正公選法86条1項1号、2号所定の要件を充足する政党その他の政治団体に所属する者に限られており、これに所属しない者は重複立候補をすることができないものとされているところ、被選挙権又は立候補の自由が選挙権の自由な行使と表裏の関係にある重要な基本的人権であることにかんがみれば、合理的な理由なく立候補の自由を制限することは、憲法の要請に反するといわなければならない。しかしながら、右のような候補者届出政党の要件は、国民の政治的意思を集約するための組織を有し、継続的に相当な活動を行い、国民の支持を受けていると認められる政党等が、小選挙区選挙において政策を掲げて争うにふさわしいものであるとの認識の下に、第8次選挙制度審議会の答申にあるとおり、選挙制度を政策本位、政党本位のものとするために設けられたものと解されるのであり、政党の果たしている国政上の重要な役割にかんがみれば、選挙制度を政策本位、政党本位のものとすることは、国会の裁量の範囲に属することが明らかであるといわなければならない。したがって、同じく政策本位、政党本位の選挙制度というべき比例代表選挙と小選挙区選挙とに重複して立候補することができる者が候補者届出政党の要件と衆議院名簿届出政党等の要件の両方を充足する政党等に所属する者に限定されていることには、相応の合理性が認められるのであって、不当に立候補の自由や選挙権の行使を制限するとはいえず、これが国会の裁量権の限界を超えるものとは解されない。
そして、行うことができる選挙運動の規模が候補者の数に応じて拡大されるという制度は、衆議院名簿届出政党等の間に取扱い上の差異を設けるものではあるが、選挙運動をいかなる者にいかなる態様で認めるかは、選挙制度の仕組みの一部を成すものとして、国会がその裁量により決定することができるものというべきである。一般に名簿登載者の数が多くなるほど選挙運動の必要性が増大するという面があることは否定することができないところであり、重複立候補者の数を名簿登載者の数の制限の計算上除外することにも合理性が認められるから、前記のような選挙運動上の差異を生ずることは、合理的理由に基づくものであって、これをもって国会の裁量の範囲を超えるとはいえない。これが選挙権の十全な行使を侵害するものでないことも、また明らかである。したがって、右のような差異を設けたことが憲法15条1項、3項、44条、14条1項、47条、43条1項に違反するとはいえない。
また、政党等にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない。複数の重複立候補者の比例代表選挙における当選人となるべき順位が名簿において同一のものとされた場合には、その者の間では当選人となるべき順位が小選挙区選挙の結果を待たないと確定しないことになるが、結局のところ当選人となるべき順位は投票の結果によって決定されるのであるから、このことをもって比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するとはいえない。」
④「…論旨はまた、改正公選法の13条2項及び別表第2の定める南関東選挙区の比例代表選挙の定数と同選挙区内の同条1項及び同法別表第1の定める小選挙区選挙の定数との合計数が55となるのに対し、同東海選挙区のそれは57となり、この合計数でみるならば、人口の多い南関東選挙区に人口の少ない東海選挙区より少ない定数が配分されるという逆転現象が生じており、これが憲法14条1項、15条1項、3項、44条の各規定による投票価値の平等の要請に違反するとも主張する。
しかしながら、所論のように選挙区割りを異にする二つの選挙の議員定数を一方の選挙の選挙区ごとに合計して当該選挙区の人口と議員定数との比率の平等を問題とすることには、合理性がないことが明らかであり、比例代表選挙の無効を求める訴訟においては、小選挙区選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることはできないというほかはない。そして、比例代表選挙についてみれば、投票価値の平等を損なうところがあるとは認められず、その選挙区割りに憲法に違反するところがあるとはいえない。したがって、改正公選法の13条2項及び別表第2の規定が憲法14条1項、15条1項、3項、44条に違反するとは認められない。」
右のような改正公選法の規定をみると、立候補の機会において、候補者届出政党に所属する候補者は重複立候補をすることが認められているのに対し、それ以外の候補者は重複立候補の機会がないものとされているほか、衆議院名簿届出政党等の行うことができる選挙運動の規模において、重複立候補者の数が名簿登載者の数の制限の計算上除外される結果、候補者届出政党の要件を備えたものは、これを備えないものより規模の大きな選挙運動を行うことができるものとされているということができる。」
③「論旨は、右のような重複立候補制に係る改正公選法の規定は、重複立候補者が小選挙区選挙で落選しても比例代表選挙で当選することができる点において、憲法前文、43条1項、14条1項、15条3項、44条に違反し、また、重複立候補をすることができる者ないし候補者届出政党の要件を充足する政党等と重複立候補をすることができない者ないし右要件を充足しない政党等とを差別的に取り扱うものであり、選挙人の選挙権の十全な行使を侵害するものであって、憲法15条1項、3項、44条、14条1項、47条、43条1項に違反し、さらに、選挙の時点で候補者名簿の順位が確定しないものであるから直接選挙といえず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するなどというのである。
…重複立候補制を採用し、小選挙区選挙において落選した者であっても比例代表選挙の名簿順位によっては同選挙において当選人となることができるものとしたことについては、小選挙区選挙において示された民意に照らせば、議論があり得るところと思われる。しかしながら、前記のとおり、選挙制度の仕組みを具体的に決定することは国会の広い裁量にゆだねられているところ、同時に行われる二つの選挙に同一の候補者が重複して立候補することを認めるか否かは、右の仕組みの一つとして、国会が裁量により決定することができる事項であるといわざるを得ない。改正公選法87条は重複立候補を原則として禁止しているが、これは憲法から必然的に導き出される原理ではなく、立法政策としてそのような選択がされているものであり、改正公選法86条の2第4項が政党本位の選挙を目指すという観点からこれに例外を設けたこともまた、憲法の要請に反するとはいえない。重複して立候補することを認める制度においては、一の選挙において当選人とされなかった者が他の選挙において当選人とされることがあることは、当然の帰結である。したがって、重複立候補制を採用したこと自体が憲法前文、43条1項、14条1項、15条3項、44条に違反するとはいえない。
もっとも、衆議院議員選挙において重複立候補をすることができる者は、改正公選法86条1項1号、2号所定の要件を充足する政党その他の政治団体に所属する者に限られており、これに所属しない者は重複立候補をすることができないものとされているところ、被選挙権又は立候補の自由が選挙権の自由な行使と表裏の関係にある重要な基本的人権であることにかんがみれば、合理的な理由なく立候補の自由を制限することは、憲法の要請に反するといわなければならない。しかしながら、右のような候補者届出政党の要件は、国民の政治的意思を集約するための組織を有し、継続的に相当な活動を行い、国民の支持を受けていると認められる政党等が、小選挙区選挙において政策を掲げて争うにふさわしいものであるとの認識の下に、第8次選挙制度審議会の答申にあるとおり、選挙制度を政策本位、政党本位のものとするために設けられたものと解されるのであり、政党の果たしている国政上の重要な役割にかんがみれば、選挙制度を政策本位、政党本位のものとすることは、国会の裁量の範囲に属することが明らかであるといわなければならない。したがって、同じく政策本位、政党本位の選挙制度というべき比例代表選挙と小選挙区選挙とに重複して立候補することができる者が候補者届出政党の要件と衆議院名簿届出政党等の要件の両方を充足する政党等に所属する者に限定されていることには、相応の合理性が認められるのであって、不当に立候補の自由や選挙権の行使を制限するとはいえず、これが国会の裁量権の限界を超えるものとは解されない。
そして、行うことができる選挙運動の規模が候補者の数に応じて拡大されるという制度は、衆議院名簿届出政党等の間に取扱い上の差異を設けるものではあるが、選挙運動をいかなる者にいかなる態様で認めるかは、選挙制度の仕組みの一部を成すものとして、国会がその裁量により決定することができるものというべきである。一般に名簿登載者の数が多くなるほど選挙運動の必要性が増大するという面があることは否定することができないところであり、重複立候補者の数を名簿登載者の数の制限の計算上除外することにも合理性が認められるから、前記のような選挙運動上の差異を生ずることは、合理的理由に基づくものであって、これをもって国会の裁量の範囲を超えるとはいえない。これが選挙権の十全な行使を侵害するものでないことも、また明らかである。したがって、右のような差異を設けたことが憲法15条1項、3項、44条、14条1項、47条、43条1項に違反するとはいえない。
また、政党等にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない。複数の重複立候補者の比例代表選挙における当選人となるべき順位が名簿において同一のものとされた場合には、その者の間では当選人となるべき順位が小選挙区選挙の結果を待たないと確定しないことになるが、結局のところ当選人となるべき順位は投票の結果によって決定されるのであるから、このことをもって比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するとはいえない。」
④「…論旨はまた、改正公選法の13条2項及び別表第2の定める南関東選挙区の比例代表選挙の定数と同選挙区内の同条1項及び同法別表第1の定める小選挙区選挙の定数との合計数が55となるのに対し、同東海選挙区のそれは57となり、この合計数でみるならば、人口の多い南関東選挙区に人口の少ない東海選挙区より少ない定数が配分されるという逆転現象が生じており、これが憲法14条1項、15条1項、3項、44条の各規定による投票価値の平等の要請に違反するとも主張する。
しかしながら、所論のように選挙区割りを異にする二つの選挙の議員定数を一方の選挙の選挙区ごとに合計して当該選挙区の人口と議員定数との比率の平等を問題とすることには、合理性がないことが明らかであり、比例代表選挙の無効を求める訴訟においては、小選挙区選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることはできないというほかはない。そして、比例代表選挙についてみれば、投票価値の平等を損なうところがあるとは認められず、その選挙区割りに憲法に違反するところがあるとはいえない。したがって、改正公選法の13条2項及び別表第2の規定が憲法14条1項、15条1項、3項、44条に違反するとは認められない。」
過去問・解説
(H22 司法 第15問 ウ)
名簿式比例代表制という選挙方法は、政党が作成した候補者名簿に有権者が投票するので、憲法が保障する直接選挙の原則に反するか否か問題となるが、最高裁判所は、選挙人の総意により当選人が決定される点において、直接選挙の原則に反しないと判示した。
名簿式比例代表制という選挙方法は、政党が作成した候補者名簿に有権者が投票するので、憲法が保障する直接選挙の原則に反するか否か問題となるが、最高裁判所は、選挙人の総意により当選人が決定される点において、直接選挙の原則に反しないと判示した。
(正答) 〇
(解説)
判例(最大判平11.11.10)によれば、「政党等にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない。…比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するとはいえない。」としている。
判例(最大判平11.11.10)によれば、「政党等にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない。…比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、憲法43条1項、15条1項、3項に違反するとはいえない。」としている。
(H27 司法 第16問 ウ)
衆議院議員選挙では、小選挙区の候補者のほか、所属する候補者届出政党にも選挙運動が認められており、無所属の候補者は政見放送ができないなど非常に不利であるが、他に十分な手段があるため、政策・政党本位の選挙制度の実現のための立法裁量の範囲を逸脱していない。
衆議院議員選挙では、小選挙区の候補者のほか、所属する候補者届出政党にも選挙運動が認められており、無所属の候補者は政見放送ができないなど非常に不利であるが、他に十分な手段があるため、政策・政党本位の選挙制度の実現のための立法裁量の範囲を逸脱していない。
(正答) 〇
(解説)
判例(最大判平11.11.10)は、「政見放送は選挙運動の一部を成すにすぎず、その余の選挙運動については候補者届出政党に所属しない候補者も十分に行うことができるのであって、その政見等を選挙人に訴えるのに不十分とはいえないことに照らせば、政見放送が認められないことの一事をもって、選挙運動に関する規定における候補者間の差異が合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているとまでは断定し難いところであって、これをもって国会の合理的裁量の限界を超えているということはできないというほかはない。したがって、改正公選法の選挙運動に関する規定が憲法14条1項に違反するとはいえない。」としている。
判例(最大判平11.11.10)は、「政見放送は選挙運動の一部を成すにすぎず、その余の選挙運動については候補者届出政党に所属しない候補者も十分に行うことができるのであって、その政見等を選挙人に訴えるのに不十分とはいえないことに照らせば、政見放送が認められないことの一事をもって、選挙運動に関する規定における候補者間の差異が合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているとまでは断定し難いところであって、これをもって国会の合理的裁量の限界を超えているということはできないというほかはない。したがって、改正公選法の選挙運動に関する規定が憲法14条1項に違反するとはいえない。」としている。
(R3 司法 第12問 ウ)
衆議院の小選挙区選挙について、候補者届出政党にのみ政見放送を認め、候補者を含むそれ以外の者には政見放送を認めないものとする公職選挙法の規定は、選挙運動をする上で、候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に単なる程度の違いを超える差異を設ける結果となり、国会に与えられた合理的裁量の限界を超えるものであるから、憲法第14条第1項に違反する。
衆議院の小選挙区選挙について、候補者届出政党にのみ政見放送を認め、候補者を含むそれ以外の者には政見放送を認めないものとする公職選挙法の規定は、選挙運動をする上で、候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に単なる程度の違いを超える差異を設ける結果となり、国会に与えられた合理的裁量の限界を超えるものであるから、憲法第14条第1項に違反する。
(正答) ✕
(解説)
判例(最大判平11.11.10)は、「政見放送は選挙運動の一部を成すにすぎず、その余の選挙運動については候補者届出政党に所属しない候補者も十分に行うことができるのであって、その政見等を選挙人に訴えるのに不十分とはいえないことに照らせば、政見放送が認められないことの一事をもって、選挙運動に関する規定における候補者間の差異が合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているとまでは断定し難いところであって、これをもって国会の合理的裁量の限界を超えているということはできないというほかはない。したがって、改正公選法の選挙運動に関する規定が憲法14条1項に違反するとはいえない。」としている。
判例(最大判平11.11.10)は、「政見放送は選挙運動の一部を成すにすぎず、その余の選挙運動については候補者届出政党に所属しない候補者も十分に行うことができるのであって、その政見等を選挙人に訴えるのに不十分とはいえないことに照らせば、政見放送が認められないことの一事をもって、選挙運動に関する規定における候補者間の差異が合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているとまでは断定し難いところであって、これをもって国会の合理的裁量の限界を超えているということはできないというほかはない。したがって、改正公選法の選挙運動に関する規定が憲法14条1項に違反するとはいえない。」としている。
(R6 司法 第13問 ア)
政党は、議会制民主主義を支える上で重要な存在であるが、憲法は政党に関する特別の規定を置かず、また、現行法では、公職選挙法、政治資金規正法等の法律が、それぞれの法律の目的に応じて政党に関する定めを置いているにすぎない。
政党は、議会制民主主義を支える上で重要な存在であるが、憲法は政党に関する特別の規定を置かず、また、現行法では、公職選挙法、政治資金規正法等の法律が、それぞれの法律の目的に応じて政党に関する定めを置いているにすぎない。
(正答) 〇
(解説)
憲法は政党に関する特別の規定は置いておらず、現行法では、公職選挙法、政治資金規正法等の法律が、それぞれの法律の目的に応じて政党に関する定めを置いているにすぎない。
憲法は政党に関する特別の規定は置いておらず、現行法では、公職選挙法、政治資金規正法等の法律が、それぞれの法律の目的に応じて政党に関する定めを置いているにすぎない。