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憲法 連座制 最一小判平成9年3月13日
概要
連座制を定めた公職選挙法251条の3の規定は、憲法前文、1条、15条、21条及び31条に違反するものではない。
判例
事案:公職選挙法251条の3は、組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪による公職の候補者等であつた者の当選無効及び立候補の禁止(いわゆる「連座制」)を定めている。本事件では、連座制の合憲性が問題となった。
判旨:「公職選挙法(以下「法」という。)251条の3第1項は、同項所定の組織的選挙運動管理者等が、買収等の所定の選挙犯罪を犯し禁錮以上の刑に処せられた場合に、当該候補者等であった者の当選を無効とし、かつ、これらの者が法251条の5に定める時から5年間当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙に立候補することを禁止する旨を定めている。右規定は、いわゆる連座の対象者を選挙運動の総括主宰者等重要な地位の者に限っていた従来の連座制ではその効果が乏しく選挙犯罪を十分抑制することができなかったという我が国における選挙の実態にかんがみ、公明かつ適正な公職選挙を実現するため、公職の候補者等に組織的選挙運動管理者等が選挙犯罪を犯すことを防止するための選挙浄化の義務を課し、公職の候補者等がこれを防止するための注意を尽くさず選挙浄化の努力を怠ったときは、当該候補者等個人を制裁し、選挙の公明、適正を回復するという趣旨で設けられたものと解するのが相当である。法251条の3の規定は、このように、民主主義の根幹をなす公職選挙の公明、適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであって、その立法目的は合理的である。また、右規定は、組織的選挙運動管理者等が買収等の悪質な選挙犯罪を犯し禁錮以上の刑に処せられたときに限って連座の効果を生じさせることとして、連座制の適用範囲に相応の限定を加え、立候補禁止の期間及びその対象となる選挙の範囲も前記のとおり限定し、さらに、選挙犯罪がいわゆるおとり行為又は寝返り行為によってされた場合には免責することとしているほか、当該候補者等が選挙犯罪行為の発生を防止するため相当の注意を尽くすことにより連座を免れることのできるみちも新たに設けているのである。そうすると、このような規制は、これを全体としてみれば、前記立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものというべきである。したがって、法251条の3の規定は、憲法前文、1条、15条、21条及び31条に違反するものではない。」
判旨:「公職選挙法(以下「法」という。)251条の3第1項は、同項所定の組織的選挙運動管理者等が、買収等の所定の選挙犯罪を犯し禁錮以上の刑に処せられた場合に、当該候補者等であった者の当選を無効とし、かつ、これらの者が法251条の5に定める時から5年間当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙に立候補することを禁止する旨を定めている。右規定は、いわゆる連座の対象者を選挙運動の総括主宰者等重要な地位の者に限っていた従来の連座制ではその効果が乏しく選挙犯罪を十分抑制することができなかったという我が国における選挙の実態にかんがみ、公明かつ適正な公職選挙を実現するため、公職の候補者等に組織的選挙運動管理者等が選挙犯罪を犯すことを防止するための選挙浄化の義務を課し、公職の候補者等がこれを防止するための注意を尽くさず選挙浄化の努力を怠ったときは、当該候補者等個人を制裁し、選挙の公明、適正を回復するという趣旨で設けられたものと解するのが相当である。法251条の3の規定は、このように、民主主義の根幹をなす公職選挙の公明、適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであって、その立法目的は合理的である。また、右規定は、組織的選挙運動管理者等が買収等の悪質な選挙犯罪を犯し禁錮以上の刑に処せられたときに限って連座の効果を生じさせることとして、連座制の適用範囲に相応の限定を加え、立候補禁止の期間及びその対象となる選挙の範囲も前記のとおり限定し、さらに、選挙犯罪がいわゆるおとり行為又は寝返り行為によってされた場合には免責することとしているほか、当該候補者等が選挙犯罪行為の発生を防止するため相当の注意を尽くすことにより連座を免れることのできるみちも新たに設けているのである。そうすると、このような規制は、これを全体としてみれば、前記立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものというべきである。したがって、法251条の3の規定は、憲法前文、1条、15条、21条及び31条に違反するものではない。」
過去問・解説
(R4 共通 第13問 ウ)
組織的選挙運動管理者等が、買収等所定の選挙犯罪を犯して禁錮以上の刑に処せられた場合に、公職の候補者等であった者の当選を無効とし、かつ、これらの者が5年間当該選挙に係る選挙区において行われる当該公職に係る選挙に立候補することを禁止する旨を定めた公職選挙法の規定は、民主主義の根幹をなす公職選挙の公正を保持する極めて重要な法益を実現するための規定であり、立法目的は合理的であるとともに、立法目的を達成する手段として必要かつ合理的なものといえるから、憲法第15条に違反しない。
組織的選挙運動管理者等が、買収等所定の選挙犯罪を犯して禁錮以上の刑に処せられた場合に、公職の候補者等であった者の当選を無効とし、かつ、これらの者が5年間当該選挙に係る選挙区において行われる当該公職に係る選挙に立候補することを禁止する旨を定めた公職選挙法の規定は、民主主義の根幹をなす公職選挙の公正を保持する極めて重要な法益を実現するための規定であり、立法目的は合理的であるとともに、立法目的を達成する手段として必要かつ合理的なものといえるから、憲法第15条に違反しない。
(正答) 〇
(解説)
判例(最判平9.3.13)は、連座制について、「法251条の3の規定は、このように、民主主義の根幹をなす公職選挙の公明、適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであって、その立法目的は合理的である。」、「このような規制は、これを全体としてみれば、前記立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものというべきである。」としている。
判例(最判平9.3.13)は、連座制について、「法251条の3の規定は、このように、民主主義の根幹をなす公職選挙の公明、適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであって、その立法目的は合理的である。」、「このような規制は、これを全体としてみれば、前記立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものというべきである。」としている。