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憲法 監獄法施行規則と法の委任の範囲 最三小判平成3年7月9日

概要
旧監獄法施行規則120条及び124条は、未決勾留により拘禁された者と14歳未満の者との接見を許さないとする限度において、旧監獄法50条の委任の範囲を超え、無効である。
判例
事案:旧監獄法45条1項は、「在監者ニ接見センコトヲ請フ者アルトキハ之ヲ許ス」とし、同法50条は、「接見ノ立会…其他接見…ニ関スル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」と定めていた。これを受けて旧監獄法施行規則120条は、「十四歳未満ノ者ニハ在監者ト接見ヲ為スコトヲ許サス」とし、124条は、「所長ニ於テ処遇上其他必要アリト認ムルトキハ前四条ノ制限ニ依ラサルコトヲ得」と規定していた。これらの委任命令について、委任の限界が問題となった。

判旨:「被勾留者には一般市民としての自由が保障されるので、法45条は、被勾留者と外部の者との接見は原則としてこれを許すものとし、例外的に、これを許すと支障を来す場合があることを考慮して、(ア)逃亡又は罪証隠滅のおそれが生ずる場合にはこれを防止するために必要かつ合理的な範囲において右の接見に制限を加えることができ、また、(イ)これを許すと監獄内の規律又は秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性が認められる場合には、右の障害発生の防止のために必要な限度で右の接見に合理的な制限を加えることができる、としているにすぎないと解される。この理は、被勾留者との接見を求める者が幼年者であっても異なるところはない。
 これを受けて、法50条は、「接見ノ立会…其他接見…ニ関スル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」と規定し、命令(法務省令)をもって、面会の立会、場所、時間、回数等、面会の態様についてのみ必要な制限をすることができる旨を定めているが、もとより命令によって右の許可基準そのものを変更することは許されないのである。
ところが、規則120条は、規則121条ないし128条の接見の態様に関する規定と異なり、「十四歳未満ノ者ニハ在監者ト接見ヲ為スコトヲ許サス」と規定し、規則124条は「所長ニ於テ処遇上其他必要アリト認ムルトキハ前四条ノ制限ニ依ラサルコトヲ得」と規定している。右によれば、規則120条が原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないこととする一方で、規則124条がその例外として限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すこととしていることが明らかである。しかし、これらの規定は、たとえ事物を弁別する能力の未発達な幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、それ自体、法律によらないで、被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法50条の委任の範囲を超えるものといわなければならない。
 …そうだとすれば、規則120条(及び124条)は、結局、被勾留者と幼年者との接見を許さないとする限度において、法50条の委任の範囲を超えた無効のものと断ぜざるを得ない。」
過去問・解説
(H27 司法 第14問 ウ)
判例は、被勾留者には一般市民としての自由が制約されることを理由に、14歳未満の者の接見を原則として認めていなかった当時の監獄法施行規則を委任の趣旨の範囲内とした。

(正答)  

(解説)
判例(最判平3.7.9)は、「規則120条(及び124条)は、結局、被勾留者と幼年者との接見を許さないとする限度において、法50条の委任の範囲を超えた無効のものと断ぜざるを得ない。」としている。
総合メモ
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