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憲法 沖縄代理署名訴訟 最大判平成8年8月28日

概要
駐留軍用地特措法は、憲法前文、9条、13条、29条3項に違反しない。
判例
事案:国が沖縄県知事に対して駐留軍用地特措法14条1項に基づく署名押印を求めたところ、知事がそれを拒否したため、国が知事に対し署名等代行を求めて訴訟を提起した事案において、駐留軍用地特措法の合憲性が争われた。

判旨:「日米安全保障条約6条、日米地位協定2条1項の定めるところによれば、我が国は、日米地位協定25条に定める合同委員会を通じて締結される日米両国間の協定によって合意された施設及び区域を駐留軍の用に供する条約上の義務を負うものと解される。我が国が、その締結した条約を誠実に遵守すべきことは明らかであるが(憲法98条2項)、日米安全保障条約に基づく右義務を履行するために必要な土地等をすべて所有者との合意に基づき取得することができるとは限らない。これができない場合に、当該土地等を駐留軍の用に供することが適正かつ合理的であることを要件として(駐留軍用地特措法3条)、これを強制的に使用し、又は収用することは、条約上の義務を履行するために必要であり、かつ、その合理性も認められるのであって、私有財産を公共のために用いることにほかならないものというべきである。国が条約に基づく国家としての義務を履行するために必要かつ合理的な行為を行うことが憲法前文、9条、13条に違反するというのであれば、それは当該条約自体の違憲をいうに等しいことになるが、日米安全保障条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上、裁判所としては、これが合憲であることを前提として駐留軍用地特措法の憲法適合性についての審査をすべきであるし…、所論も、日米安全保障条約及び日米地位協定の違憲を主張するものではないことを明示している。そうであれば、駐留軍用地特措法は、憲法前文、9条、13条、29条3項に違反するものということはできない。」
過去問・解説
(H26 予備 第11問 イ)
日米安全保障条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上、裁判所としては、これらが合憲であることを前提として、これらの条約を履行するために制定された、いわゆる駐留軍用地特措法の合憲性を審査すべきである。

(正答)  

(解説)
沖縄代理署名訴訟判決(最大判平8.8.28)は、砂川事件判決(最大判昭34.12.16)を参照し、「日米安全保障条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上、裁判所としては、これが合憲であることを前提として駐留軍用地特措法の憲法適合性についての審査をすべきである」としている。
総合メモ
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