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憲法 全農林人勧凍結反対スト事件 最二小判平成12年3月17日

概要
人事院勧告の安全実施等の要求を掲げて行われたストライキに関与したことを理由としてされた農林水産省職員らに対する停職6月ないし3月の各懲戒処分は、憲法28条に違反しない。
判例
事案:人事院勧告の安全実施等の要求を掲げて行われたストライキに関与したことを理由としてされた農林水産省職員らに対して、争議行為を共謀し、そそのかし、あおったものとして、停職6月ないし3月とそれぞれ懲戒処分をしたため、これらの職員は公務員の争議行為を全面一律に禁止した国家公務員法98条2項は憲法28条に違反するとして、本件各懲戒処分の取消しを求めた。

判旨:本判決は、国家公務員の一切の争議行為を禁じた国家公務員法98条2項の規定が憲法28条に違反しないと述べた全農林警職法事件判決(最大判S48.4.25)確認した上で、「ストライキの当時、国家公務員の労働基本権の制約に対する代償措置がその本来の機能を果たしていなかった」と認めつつも、「右代償措置が本来の機能を果たしていなかったことを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く」として、たとえ代償措置が本来の機能を果たしていなくとも、国家公務員の一切の争議行為を禁じることは違憲とはいえないとした。
過去問・解説
(H23 司法 第10問 ア)
最高裁判所の判例の趣旨によれば、公務員の労働基本権の制限については、制度上整備された代償措置が講じられていることがその合憲性の根拠とされているから、人事院勧告実施の凍結に抗議して行われた争議行為は適法である。

(正答)  

(解説)
全農林人勧凍結反対スト事件判決(最判平12.3.17)は、「代償措置が本来の機能を果たしていなかったことを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く」としており、たとえ代償措置が本来の機能を果たしていなくとも、国家公務員の一切の争議行為を禁じることは違憲とはいえない。そのため、争議行為に関与した職員の懲戒処分は適法とした。したがって、「人事院勧告実施の凍結に抗議して行われた争議行為は適法である」とする点で、本肢は誤っている。

(H26 予備 第7問 イ)
人事院勧告の実施が凍結され、労働基本権の制約の代償措置がその本来の機能を果たさず実際上画餅に等しいとみられる事態が生じた場合には、国家公務員がその正常な運用を要求して相当な手段態様で争議行為を行うことは、憲法上保障される。

(正答)  

(解説)
全農林人勧凍結反対スト事件判決(最判平12.3.17)によれば、「代償措置が本来の機能を果たしていなかったことを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く」として、たとえ代償措置が本来の機能を果たしていなくとも、国家公務員の一切の争議行為を禁じることは違憲とはいえない。そのため、争議行為に関与した職員の懲戒処分は適法とした。したがって、労働基本権の制約の代償措置がその本来の機能を果たさず実際上画餅に等しいとみられる事態が生じた場合においても、国家公務員の争議行為は憲法上保障されるとはいえない。
総合メモ
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