事案:破防法は39条・40条は、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもって」なされる放火(刑法108条、109条)・殺人(刑法199条)・強盗(刑法236条1項)・騒乱(刑法106条)・往来危険(刑法125条)・警察官等に対して凶器等を携え多数共同してなす公務執行妨害罪などの予備・陰謀・教唆と、「これらの罪を実行させる目的をもってするその罪のせん動」を処罰する旨を規定している。本件では、①憲法19条、②憲法21条、③憲法31条(明確性の原則)への違反などが問題となった。
判旨:①「破壊活動防止法39条及び40条のせん動罪は、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的(以下「政治目的」という。)をもって、各条所定の犯罪のせん動をすることを処罰するものであるが、せん動として外形に現れた客観的な行為を処罰の対象とするものであって、行為の基礎となった思想、信条を処罰するものでないことは、各条の規定自体から明らかであるから、所論は前提を欠き、適法な上告理由に当たらない。」
②「確かに、破壊活動防止法39条及び40条のせん動は、政治目的をもって、各条所定の犯罪を実行させる目的をもって、文書若しくは図画又は言動により、人に対し、その犯罪行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与える行為をすることであるから(同法4条2項参照)、表現活動としての性質を有している。しかしながら、表現活動といえども、絶対無制限に許容されるものではなく、公共の福祉に反し、表現の自由の限界を逸脱するときには、制限を受けるのはやむを得ないものであるところ、右のようなせん動は、公共の安全を脅かす現住建造物等放火罪、騒擾罪等の重大犯罪をひき起こす可能性のある社会的に危険な行為であるから、公共の福祉に反し、表現の自由の保護を受けるに値しないものとして、制限を受けるのはやむを得ないものというべきであり、右のようなせん動を処罰することが憲法21条1項に違反するものでないことは、当裁判所大法廷の判例…の趣旨に徴し明らかであり、所論は理由がない。」
③「破壊活動防止法39条及び40条のせん動の概念は、同法4条2項の定義規定により明らかであって、その犯罪構成要件が所論のようにあいまいであり、漠然としているものとはいい難いから、所論は前提を欠き、適法な上告理由に当たらない。」