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手形法・小切手法 売買代金債務の支払のため手形を振出した債務者による右売買代金の支払と手形の返還とを引換えにする同時履行の抗弁 最二小判昭和35年7月8日

概要
売買代金債務の支払確保のため手形を振出した債務者は、特段の事由のないかぎり、右売買代金の支払は手形の返還と引換にする旨の同時履行の抗弁を行使できる。
判例
事案:売買代金債務の支払のため手形を振出した債務者が、売買代金の支払を手形の変換と引換えとする同時履行の抗弁を行使できるかが問題となった。

判旨:「既存債務の支払確保のために振出交付された手形は、債権者債務者間に裏書禁止の特約のない場合には、債務者から既存債務の履行のないかぎり、債権者において該手形を第三者に対し更に担保のため裏書譲渡することは妨げなく、しかも、右裏書の事実によって直ちに債務者は既存債務の支払を免れるものでなく、債権者において右手形の裏書人としての償還義務を免れるまでは債務者に対する既存の債権は消滅するものでないと解すべきことは原判示のとおりであって、所論のように、債権者は償還義務の履行その他の方法によって右手形を自己に回収するまでは既存債権を行使し得ないものと解すべき根拠はないのであるから、論旨は採用することができない。もっとも、かかる場合債務者は、特段の事由のないかぎり、既存債務の支払は手形の返還と引換にする旨の同時履行の抗弁を為し得るものと解すべきである…。」
過去問・解説
(H25 司法 第55問 ア)
小売商Aと卸売商Bは、Aを買主とし、Bを売主とする衣料品の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,その売買代金債務(以下「本件原因債務」という。)の支払を目的として、Aは、Bを受取人とする確定日払の約束手形(以下「本件手形」という。)を振り出した。Bは、本件手形を誰にも譲渡していない。
この時、Bが,本件売買契約に基づく衣料品の納入に係る債務を履行しないまま、支払呈示期間内に本件手形の支払呈示をした場合でも、Aは、手形金の支払を拒むことはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.7.8)は、本肢と同種の事案において、売買代金債務の支払のため手形を振出した債務者について、「債務者は、特段の事由のないかぎり、既存債務の支払は手形の返還と引換にする旨の同時履行の抗弁を為し得る…。」としている。
したがって、Bが,本件売買契約に基づく衣料品の納入に係る債務を履行しないまま、支払呈示期間内に本件手形の支払呈示をした場合、Aは、同時履行の抗弁を主張して手形金の支払いを拒むことができる。
総合メモ
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