現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

取消訴訟の審理(理由の追完・差替え)

青色申告書による法人税の申告についてした更正処分の取消訴訟において課税庁が更正の理由と異なる事実を主張することの可否 最三小判昭和56年7月14日

概要
青色申告書による法人税の申告について不動産の取得価額が申告額より低額であることを更正の理由としてした更正処分の取消訴訟において、課税庁は、当該処分の適否に関する攻撃防御方法として、当該不動産の販売価額が申告額より多額であることを主張することができる。
判例
事案:青色申告書による法人税の申告についてした更正処分の取消訴訟において、課税庁が更正の理由と異なる事実を追加主張することができるかが問題となった。

判旨:「原審が適法に確定したところによれば、(1)宅地の分譲販売等を業とする上告人は、本件係争事業年度において本件不動産を7600万9600円で取得しこれを7000万円で販売したものとして、右事業年度の法人税につき青色申告書による確定申告をした、(2)これに対して、被上告人は、本件不動産の取得価額は6000万円であるとして、他の理由とともにこれを更正の理由として更正通知書に附記し、本件更正処分をした、(3)ところが、被上告人は、本訴における本件更正処分の適否に関する新たな攻撃防禦方法として、仮に本件不動産の取得価額が7600万9600円であるとしても、その販売価額は9450万円であるから、いずれにしても本件更正処分は適法であるとの趣旨の本件追加主張をした、というのであって、このような場合に被上告人に本件追加主張の提出を許しても、右更正処分を争うにつき被処分者たる上告人に格別の不利益を与えるものではないから、一般的に青色申告書による申告についてした更正処分の取消訴訟において更正の理由とは異なるいかなる事実をも主張することができると解すべきかどうかはともかく、被上告人が本件追加主張を提出することは妨げないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。」
過去問・解説
(H28 予備 第20問 ア)
青色申告による法人税の申告に対し、不動産の取得価額が申告額より低額であることを更正の理由として更正処分がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、仮に当該不動産の取得価額が上記のとおりでないとしてもその販売価額が申告額より多額であると主張して争うことは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.7.14)は、本肢と同種の事案において、「(1)宅地の分譲販売等を業とする上告人は、本件係争事業年度において本件不動産を7600万9600円で取得しこれを7000万円で販売したものとして、右事業年度の法人税につき青色申告書による確定申告をした、(2)これに対して、被上告人は、本件不動産の取得価額は6000万円であるとして、他の理由とともにこれを更正の理由として更正通知書に附記し、本件更正処分をした、(3)ところが、被上告人は、本訴における本件更正処分の適否に関する新たな攻撃防禦方法として、仮に本件不動産の取得価額が7600万9600円であるとしても、その販売価額は9450万円であるから、いずれにしても本件更正処分は適法であるとの趣旨の本件追加主張をした、というのであって、…被上告人が本件追加主張を提出することは妨げないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。」としている。
したがって、被告が、仮に当該不動産の取得価額が上記のとおりでないとしてもその販売価額が申告額より多額であると主張して争うことは許される。
総合メモ

東京都公文書の開示等に関する条例7条に基づいてされた公文書の非開示決定が理由付記の要件を欠き違法であるか 最一小判平成4年12月10日

概要
東京都公文書の開示等に関する条例5条に基づき「個人情報実態調査に関して警視庁から入手、取得した一切の文書」の開示の請求をした者に対する非開示決定の通知書に、非開示の理由として、「東京都公文書の開示等に関する条例第9条第8号に該当」と記載されているにすぎないときは、右決定は、同条例7条4項の定める理由付記の要件を欠き、違法である。
判例
事案:東京都公文書の開示等に関する条例7条に基づいてされた公文書の非開示決定が理由付記の要件を欠き違法であるかが問題となった。

判旨:「本条例が右のように公文書の非開示決定通知書にその理由を付記すべきものとしているのは、同条例に基づく公文書の開示請求制度が、都民と都政との信頼関係を強化し、地方自治の本旨に即した都政を推進することを目的とするものであって、実施機関においては、公文書の開示を請求する都民の権利を十分に尊重すべきものとされていること(本条例1条、3条参照)にかんがみ、非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものというべきである。このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば、公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、本条例9条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、本条例7条4項の要求する理由付記としては十分でないといわなければならない。 この見地に立って本条例9条8号をみるに、同号は、開示の請求に係る公文書に、『監査、検査、取締り、徴税等の計画及び実施要領、渉外、争訟、交渉の方針、契約の予定価格、試験の問題及び採点基準、職員の身分取扱い、学術研究計画及び未発表の学術研究成果、用地買収計画その他実施機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの、特定のものに不当な利益若しくは不利益が生ずるおそれがあるもの、大学の教育若しくは研究の自由が損なわれるおそれがあるもの、関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの、当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの又は都の行政の公正若しくは円滑な運営に著しい支障が生ずることが明らかなもの』に該当する情報が記録されているときは、当該請求に係る公文書の開示をしないことができるとするものである。公文書の開示の請求は、開示を請求しようとする公文書を特定するために必要な事項を記載した請求書を提出してしなければならないとされている(本条例6条3号)ので、当該公文書の非開示理由として本条例9条8号に該当する旨の記載のみによって、開示請求者において、当該公文書の種類、性質あるいは開示請求書の記載に照らし、非開示理由が同号所定のどの事由に該当するのかをその根拠とともに了知し得る場合があり得るとしても、同号に該当する旨の記載だけでは、開示請求者において、非開示理由がいかなる根拠により同号所定のどの事由に該当するのかを知り得ないのが通例であると考えられる。これを本件についてみるに、被上告人によって前示のとおり特定された本件文書の種類、性質等を考慮しても、本件付記理由によっては、いかなる根拠により同号所定の非開示事由のどれに該当するとして本件非開示決定がされたのかを、被上告人において知ることができないものといわざるを得ない。そうであるとすれば、単に『東京都公文書の開示等に関する条例第9条第8号に該当』と付記されたにすぎない本件非開示決定の通知書は、本条例7条4項の定める理由付記の要件を欠くものというほかはない。」
過去問・解説
(H23 司法 第32問 ウ)
最高裁判所の判例によれば、情報公開条例において非開示決定を行うときには、非開示の理由を付記しなければならないと定められている場合に、理由の付記が不十分でありその要件を欠くと判断される以上、後に実施機関により理由の説明がされたとしても、その瑕疵が治癒されたものということはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.12.10)は、「公文書の非開示決定通知書…に記載することを要する非開示理由の程度は、相手方の知、不知にかかわりがないものというべきである…し、また、本件において、後日、実施機関の補助職員によって、被上告人に対し口頭で非開示理由の説明がされたとしても、それによって、付記理由不備の瑕疵が治癒されたものということはできない。」としている。
総合メモ

逗子市情報公開条例5条⑵ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において実施機関が当該公文書に他の非公開事由があると主張することの可否 最二小判平成11年11月19日

概要
公文書の非公開事由を定めた条例の文言に該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において、実施機関が、右決定が適法であることの根拠として、当該公文書が別の条文の文言に該当すると主張することは、許される。
判例
事案:逗子市情報公開条例(平成2年逗子市条例第6号)5条(2)ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において、実施機関が当該公文書に他の非公開事由があると主張することが許されるかが問題となった。

判旨:「本件条例5条(2)ウが『争訟の方針に関する情報』を非公開とすることができるものとしている趣旨は、逗子市、国若しくは他の地方公共団体又はその機関が一方当事者として争訟に対処するための内部的な方針に関する情報が公開されると、それが正規の交渉等の場を経ないで相手方当事者に伝わるなどして、紛争の公正、円滑な解決を妨げるおそれがあるからであると解される。そうすると、右規定にいう『争訟の方針に関する情報』は、所論のように争訟の帰すうに影響を与える情報のすべてを指すものと解するのは相当でないが、現に係属し又は係属が具体的に予想される事案に即した具体的方針に限定されると解すべきではなく、右の団体又はその機関が行うことのあるべき争訟に対処するための一般的方針をも含むものと解するのが相当である。したがって、右の一般的方針が含まれている場合には、本件各文書は争訟の方針に関する情報に当たるというべきである。 上告人の主張によれば、横浜防衛施設局施設管理課職員からの事情聴取書には、全国の未登記土地に関する国と所有名義人との間における民事上の紛争の処理の仕方、手法についての供述や、国の民事訴訟解決の手の内も示されているというのである。そうであるなら、これらの情報は国の争訟の方針に関する情報に当たり、これが公開されることになれば、現在及び将来の国のかかわる未登記土地等に関する争訟の遂行に著しい支障を生ずることになる可能性があるものというべきである。したがって、前記…の解釈に基づいて右主張に係る情報が『争訟の方針に関する情報』に当たらないとした原審の判断には、本件条例5条(2)ウの解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、右違法が原判決に影響を及ぼすことは明らかである。 …本件条例9条4項前段が、前記のように非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、本件条例2条が、逗子市の保有する情報は公開することを原則とし、非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめられること、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度となるよう努めること、情報の公開が拒否されたときは公正かつ迅速な救済が保障されることなどを解釈、運用の基本原則とする旨規定していること等にかんがみ、非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としていると解すべきである。そして、そのような目的は非公開の理由を具体的に記載して通知させること(実際には、非公開決定の通知書にその理由を付記する形で行われる。)自体をもってひとまず実現されるところ、本件条例の規定をみても、右の理由通知の定めが、右の趣旨を超えて、一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第32問 エ)
最高裁判所の判例によれば、情報公開条例において非開示決定を行うときには、非開示の理由を付記しなければならないと定められている場合には、非開示決定取消訴訟において、被告が非開示決定の通知書に付記された理由以外の理由を主張することは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.19)は、「本件条例9条4項前段が、…非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、本件条例2条が、逗子市の保有する情報は公開することを原則とし、非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめられること、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度となるよう努めること、情報の公開が拒否されたときは公正かつ迅速な救済が保障されることなどを解釈、運用の基本原則とする旨規定していること等にかんがみ、非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としている…。」とした上で、「実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。

(H28 予備 第20問 ウ)
情報公開条例に基づく公開請求に対し、同請求に係る情報が特定の非公開事由に該当することを理由に非公開決定がされた場合に、その取消訴訟において、被告が、仮に同情報が上記事由に該当しないとしても別の非公開事由にも該当すると主張して争うことは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.19)は、本肢と同種の事案において、「実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
したがって、情報公開条例に基づく公開請求に対する非公開決定処分の取消訴訟において、被告は、仮に同情報が上記事由に該当しないとしても別の非公開事由にも該当すると主張して争うことができる。

(R5 予備 第14問 ア)
申請拒否処分については、理由の提示が義務付けられているが、これは行政庁の判断の恣意を抑制するとともに不服申立てに便宜を与えることを目的としているので、行政文書を開示しない決定の取消訴訟において、被告が当該決定の際に提示されていた処分理由とは異なる処分理由を追加して主張することが許されることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.19)は、「本件条例9条4項前段が、前記のように非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしているのは、…非公開の理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制するとともに、非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えることを目的としていると解すべきである。」とした上で、「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」としている。
総合メモ