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執行停止
弁護士に対する業務停止3か月の懲戒処分についての行政事件訴訟法25条3項にいう「重大な損害」の存否 最三小判平成19年12月18日
概要
弁護士が業務停止3月の懲戒処分を受けたが、その時点で当該弁護士が当該業務停止期間中に期日が指定されているものだけで31件の訴訟案件を受任していたなどの事実関係の下では、上記処分によって当該弁護士に生ずる社会的信用の低下、業務上の信頼関係の毀損等の損害は、行政事件訴訟法25条2項にいう「重大な損害」に当たる。
判例
事案:弁護士が業務停止3月の懲戒処分を受けたが、その時点で当該弁護士が当該業務停止期間中に期日が指定されているものだけで31件の訴訟案件を受任していたという事案において、執行停止における「重大な損害」(行訴法25条2項)が認められるかが問題となった。
判旨:「相手方は、その所属する弁護士会から業務停止3月の懲戒処分を受けたが、当該業務停止期間中に期日が指定されているものだけで31件の訴訟案件を受任していたなど本件事実関係の下においては、行政事件訴訟法25条3項所定の事由を考慮し勘案して、上記懲戒処分によって相手方に生ずる社会的信用の低下、業務上の信頼関係の毀損等の損害が同条2項に規定する『重大な損害』に当たるものと認めた原審の判断は、正当として是認することができる。」
判旨:「相手方は、その所属する弁護士会から業務停止3月の懲戒処分を受けたが、当該業務停止期間中に期日が指定されているものだけで31件の訴訟案件を受任していたなど本件事実関係の下においては、行政事件訴訟法25条3項所定の事由を考慮し勘案して、上記懲戒処分によって相手方に生ずる社会的信用の低下、業務上の信頼関係の毀損等の損害が同条2項に規定する『重大な損害』に当たるものと認めた原審の判断は、正当として是認することができる。」
過去問・解説
(H22 司法 第35問 イ)
免許を受けることが法律上必要とされる職業に就いている者に対して、その法律の規定に基づき一定期間の業務の停止の処分がされた事案において、処分を受けた者がその後の間もない時期に行政事件訴訟法(以下「法」という。)第25条の規定に基づく執行停止の申立てをしようとするときに関する次の記述は正しいか。
法第25条第2項の「重大な損害」が生ずるか否かの判断に当たっては、上記の処分を受けた者の社会的信用の低下等を考慮することも否定されない。
免許を受けることが法律上必要とされる職業に就いている者に対して、その法律の規定に基づき一定期間の業務の停止の処分がされた事案において、処分を受けた者がその後の間もない時期に行政事件訴訟法(以下「法」という。)第25条の規定に基づく執行停止の申立てをしようとするときに関する次の記述は正しいか。
法第25条第2項の「重大な損害」が生ずるか否かの判断に当たっては、上記の処分を受けた者の社会的信用の低下等を考慮することも否定されない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平19.12.18)は、本肢と同種の事案において、「当該業務停止期間中に期日が指定されているものだけで31件の訴訟案件を受任していたなど本件事実関係の下においては、行政事件訴訟法25条3項所定の事由を考慮し勘案して、上記懲戒処分によって相手方に生ずる社会的信用の低下、業務上の信頼関係の毀損等の損害が同条2項に規定する『重大な損害』に当たるものと認めた原審の判断は、正当として是認することができる。」としている。
したがって、行訴法25条2項の「重大な損害」の判断に当たって、処分を受けた者の社会的信用の低下等も考慮することができる。
判例(最判平19.12.18)は、本肢と同種の事案において、「当該業務停止期間中に期日が指定されているものだけで31件の訴訟案件を受任していたなど本件事実関係の下においては、行政事件訴訟法25条3項所定の事由を考慮し勘案して、上記懲戒処分によって相手方に生ずる社会的信用の低下、業務上の信頼関係の毀損等の損害が同条2項に規定する『重大な損害』に当たるものと認めた原審の判断は、正当として是認することができる。」としている。
したがって、行訴法25条2項の「重大な損害」の判断に当たって、処分を受けた者の社会的信用の低下等も考慮することができる。
総合メモ
執行停止決定の効力 最三小判昭和29年6月22日
概要
執行停止決定は、既になされた行政処分について将来に向かってその執行を停止する将来効のみを有するのであって、行政処分そのものの効力をも消滅させるものではないことから、農地買収計画の執行停止決定は、単に農地買収計画に基づく買収手続の進行を停止する効力を有するだけであり、すでに執行された買収手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものではない。
判例
事案:農地買収計画に基づき農地買収処分及び売渡処分が完了した後に、元の農地所有者が農地買収計画の執行停止の申立てをしてこれが認められた場合に、農地買収計画の執行停止決定によって、既に完了した農地買収処分・売渡処分の効力も失われることで、元所有者の所有権が暫定的に回復するかが問題となった。
判旨:「農地の元所有者が、その買収計画に対する行政処分取消の訴訟を提起し、その行政処分の執行停止決定を得たとしても債権者が右買収計画手続によって農地の所有権を取得したとし、その保全のために元所有者を相手方としてした仮処分決定はその理由を失ったものと解すべきではない。何故ならば右執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」
判旨:「農地の元所有者が、その買収計画に対する行政処分取消の訴訟を提起し、その行政処分の執行停止決定を得たとしても債権者が右買収計画手続によって農地の所有権を取得したとし、その保全のために元所有者を相手方としてした仮処分決定はその理由を失ったものと解すべきではない。何故ならば右執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」
過去問・解説
(H22 司法 第35問 ア)
免許を受けることが法律上必要とされる職業に就いている者に対して、その法律の規定に基づき一定期間の業務の停止の処分がされた事案において、処分を受けた者がその後の間もない時期に行政事件訴訟法(以下「法」という。)第25条の規定に基づく執行停止の申立てをしようとするとき、上記の処分については、処分がされた時にさかのぼって効力の停止を求めることができる。
免許を受けることが法律上必要とされる職業に就いている者に対して、その法律の規定に基づき一定期間の業務の停止の処分がされた事案において、処分を受けた者がその後の間もない時期に行政事件訴訟法(以下「法」という。)第25条の規定に基づく執行停止の申立てをしようとするとき、上記の処分については、処分がされた時にさかのぼって効力の停止を求めることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.6.22)は、「執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」として、執行停止の申立ては、既に執行された処分の効力には影響がないことを示している。
したがって、処分を受けた者がその後の間もない時期に執行停止の申立てをしようとするとき、その処分の効力の停止を求めることはできない。
判例(最判昭29.6.22)は、「執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」として、執行停止の申立ては、既に執行された処分の効力には影響がないことを示している。
したがって、処分を受けた者がその後の間もない時期に執行停止の申立てをしようとするとき、その処分の効力の停止を求めることはできない。