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客観訴訟
住民訴訟は原告の死亡により終了するか 最二小判昭和55年2月22日
総合メモ
在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件 最大判平成17年9月14日
概要
①国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が、次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
②国会議員の立法行為又は立法不作為は、その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受ける。
②国会議員の立法行為又は立法不作為は、その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受ける。
判例
事案:在外国民であるXらが、衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙の選挙権を制限された、もしくはされるおそれがあるとして提起した国家賠償請求訴訟において、①改正前の公職選挙法が違法であること、改正後の公職選挙法が在外国民に衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることを主位的請求、Xらが衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙において選挙権を行使する権利を有することを予備的請求とする確認請求におけるそれぞれの確認の利益の有無、②国会議員の立法行為又は立法不作為が、どのような場合に国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるかが問題となった。
判旨:①「本件の主位的確認請求に係る訴えのうち、本件改正前の公職選挙法が…上告人らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えは、過去の法律関係の確認を求めるものであり、この確認を求めることが現に存する法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のために適切かつ必要な場合であるとはいえないから、確認の利益が認められず、不適法である。 …また、本件の主位的確認請求に係る訴えのうち、本件改正後の公職選挙法が…上告人らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えについては、他により適切な訴えによってその目的を達成することができる場合には、確認の利益を欠き不適法であるというべきところ、本件においては、後記…のとおり、予備的確認請求に係る訴えの方がより適切な訴えであるということができるから、上記の主位的確認請求に係る訴えは不適法であるといわざるを得ない。 …本件の予備的確認請求に係る訴えは、公法上の当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する確認の訴えと解することができるところ、その内容をみると、公職選挙法附則8項につき所要の改正がされないと、在外国民である…上告人らが、今後直近に実施されることになる衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができず、選挙権を行使する権利を侵害されることになるので、そのような事態になることを防止するために、同上告人らが、同項が違憲無効であるとして、当該各選挙につき選挙権を行使する権利を有することの確認をあらかじめ求める訴えであると解することができる。 選挙権は、これを行使することができなければ意味がないものといわざるを得ず、侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであるから、その権利の重要性にかんがみると、具体的な選挙につき選挙権を行使する権利の有無につき争いがある場合にこれを有することの確認を求める訴えについては、それが有効適切な手段であると認められる限り、確認の利益を肯定すべきものである。そして、本件の予備的確認請求に係る訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、上記の内容に照らし、確認の利益を肯定することができるものに当たるというべきである。」
②「国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものである。したがって、国会議員の立法行為又は立法不作為が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であって、当該立法の内容又は立法不作為の違憲性の問題とは区別されるべきであり、仮に当該立法の内容又は立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても、そのゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではない。しかしながら、立法の内容又は立法 不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。
在外国民であった上告人らも国政選挙において投票をする機会を与えられることを憲法上保障されていたのであり、この権利行使の機会を確保するためには、在外選挙制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず、前記事実関係によれば、昭和59年に在外国民の投票を可能にするための法律案が閣議決定されて国会に提出されたものの、同法律案が廃案となった後本件選挙の実施に至るまで10年以上の長きにわたって何らの立法措置も執られなかったのであるから、このような著しい不作為は上記の例外的な場合に当たり、このような場合においては、過失の存在を否定することはできない。このような立法不作為の結果、上告人らは本件選挙において投票をすることができず、これによる精神的苦痛を被ったものというべきである。したがって、本件においては、上記の違法な立法不作為を理由とする国家賠償請求はこれを認容すべきである。」
判旨:①「本件の主位的確認請求に係る訴えのうち、本件改正前の公職選挙法が…上告人らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えは、過去の法律関係の確認を求めるものであり、この確認を求めることが現に存する法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のために適切かつ必要な場合であるとはいえないから、確認の利益が認められず、不適法である。 …また、本件の主位的確認請求に係る訴えのうち、本件改正後の公職選挙法が…上告人らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えについては、他により適切な訴えによってその目的を達成することができる場合には、確認の利益を欠き不適法であるというべきところ、本件においては、後記…のとおり、予備的確認請求に係る訴えの方がより適切な訴えであるということができるから、上記の主位的確認請求に係る訴えは不適法であるといわざるを得ない。 …本件の予備的確認請求に係る訴えは、公法上の当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する確認の訴えと解することができるところ、その内容をみると、公職選挙法附則8項につき所要の改正がされないと、在外国民である…上告人らが、今後直近に実施されることになる衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができず、選挙権を行使する権利を侵害されることになるので、そのような事態になることを防止するために、同上告人らが、同項が違憲無効であるとして、当該各選挙につき選挙権を行使する権利を有することの確認をあらかじめ求める訴えであると解することができる。 選挙権は、これを行使することができなければ意味がないものといわざるを得ず、侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであるから、その権利の重要性にかんがみると、具体的な選挙につき選挙権を行使する権利の有無につき争いがある場合にこれを有することの確認を求める訴えについては、それが有効適切な手段であると認められる限り、確認の利益を肯定すべきものである。そして、本件の予備的確認請求に係る訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、上記の内容に照らし、確認の利益を肯定することができるものに当たるというべきである。」
②「国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものである。したがって、国会議員の立法行為又は立法不作為が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であって、当該立法の内容又は立法不作為の違憲性の問題とは区別されるべきであり、仮に当該立法の内容又は立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても、そのゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではない。しかしながら、立法の内容又は立法 不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。
在外国民であった上告人らも国政選挙において投票をする機会を与えられることを憲法上保障されていたのであり、この権利行使の機会を確保するためには、在外選挙制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず、前記事実関係によれば、昭和59年に在外国民の投票を可能にするための法律案が閣議決定されて国会に提出されたものの、同法律案が廃案となった後本件選挙の実施に至るまで10年以上の長きにわたって何らの立法措置も執られなかったのであるから、このような著しい不作為は上記の例外的な場合に当たり、このような場合においては、過失の存在を否定することはできない。このような立法不作為の結果、上告人らは本件選挙において投票をすることができず、これによる精神的苦痛を被ったものというべきである。したがって、本件においては、上記の違法な立法不作為を理由とする国家賠償請求はこれを認容すべきである。」
過去問・解説
(H22 司法 第37問 ウ)
国会議員の立法行為は、本質的に政治的なものであって、その性質上法的規制の対象になじまないものであるから、制定された法律の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合などには、例外的に国会議員の立法行為が国家賠償法上違法であるとの評価を受けることもあり得るが、立法の不作為についてまで国家賠償法上違法であるとの評価を受けることはない。
国会議員の立法行為は、本質的に政治的なものであって、その性質上法的規制の対象になじまないものであるから、制定された法律の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合などには、例外的に国会議員の立法行為が国家賠償法上違法であるとの評価を受けることもあり得るが、立法の不作為についてまで国家賠償法上違法であるとの評価を受けることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平17.9.14)は、「立法の内容又は立法 不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。」としている。
したがって、立法の不作為についても、国家賠償法上違法であるとの評価を受けることがある。
判例(最判平17.9.14)は、「立法の内容又は立法 不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。」としている。
したがって、立法の不作為についても、国家賠償法上違法であるとの評価を受けることがある。
(H26 共通 第33問 ア)
在外日本人である原告らが、①平成10年法律第47号による改正前の公職選挙法が、原告らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていなかったことが違法であることの確認、②同改正後の公職選挙法が、原告らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていないことが違法であることの確認及び③原告らが今後直近に実施される上記②の各選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める各訴えに関する最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決(民集59巻7号2087頁)についての次の記述のうち、正しいものに〇、誤っているものに×を、選びなさい。
【記述】
この判決は、上記①の訴えは、過去の法律関係の確認を求めるものであって、確認の利益を欠くから、不適法であるとした。
在外日本人である原告らが、①平成10年法律第47号による改正前の公職選挙法が、原告らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていなかったことが違法であることの確認、②同改正後の公職選挙法が、原告らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていないことが違法であることの確認及び③原告らが今後直近に実施される上記②の各選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める各訴えに関する最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決(民集59巻7号2087頁)についての次の記述のうち、正しいものに〇、誤っているものに×を、選びなさい。
【記述】
この判決は、上記①の訴えは、過去の法律関係の確認を求めるものであって、確認の利益を欠くから、不適法であるとした。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平17.9.14)は、「本件改正前の公職選挙法が…上告人らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えは、過去の法律関係の確認を求めるものであり、この確認を求めることが現に存する法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のために適切かつ必要な場合であるとはいえないから、確認の利益が認められず、不適法である。」としている。
判例(最判平17.9.14)は、「本件改正前の公職選挙法が…上告人らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えは、過去の法律関係の確認を求めるものであり、この確認を求めることが現に存する法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のために適切かつ必要な場合であるとはいえないから、確認の利益が認められず、不適法である。」としている。
(H26 共通 第33問 イ)
在外日本人である原告らが、①平成10年法律第47号による改正前の公職選挙法が、原告らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていなかったことが違法であることの確認、②同改正後の公職選挙法が、原告らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていないことが違法であることの確認及び③原告らが今後直近に実施される上記②の各選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める各訴えに関する最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決(民集59巻7号2087頁)についての次の記述のうち、正しいものに〇、誤っているものに×を付した場合の組合せを選びなさい。
【記述】
この判決は、上記②の訴えは、抽象的に立法不作為の違法確認を求めるものであって、法律上の争訟に当たらないから、不適法であるとした。
在外日本人である原告らが、①平成10年法律第47号による改正前の公職選挙法が、原告らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていなかったことが違法であることの確認、②同改正後の公職選挙法が、原告らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていないことが違法であることの確認及び③原告らが今後直近に実施される上記②の各選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める各訴えに関する最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決(民集59巻7号2087頁)についての次の記述のうち、正しいものに〇、誤っているものに×を付した場合の組合せを選びなさい。
【記述】
この判決は、上記②の訴えは、抽象的に立法不作為の違法確認を求めるものであって、法律上の争訟に当たらないから、不適法であるとした。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平17.9.14)は、「本件改正後の公職選挙法が…上告人らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えについては、他により適切な訴えによってその目的を達成することができる場合には、確認の利益を欠き不適法であるというべきところ、本件においては、後記…のとおり、予備的確認請求に係る訴えの方がより適切な訴えであるということができるから、上記の主位的確認請求に係る訴えは不適法であるといわざるを得ない。」としている。
したがって、本判決は、②の訴えについて、抽象的に立法不作為の違法確認を求めるものであり、法律上の争訟に当たらないという理由ではなく、③の訴えの方がより適切な訴えであることを理由として不適法としている。
判例(最判平17.9.14)は、「本件改正後の公職選挙法が…上告人らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていない点において違法であることの確認を求める訴えについては、他により適切な訴えによってその目的を達成することができる場合には、確認の利益を欠き不適法であるというべきところ、本件においては、後記…のとおり、予備的確認請求に係る訴えの方がより適切な訴えであるということができるから、上記の主位的確認請求に係る訴えは不適法であるといわざるを得ない。」としている。
したがって、本判決は、②の訴えについて、抽象的に立法不作為の違法確認を求めるものであり、法律上の争訟に当たらないという理由ではなく、③の訴えの方がより適切な訴えであることを理由として不適法としている。
(H26 共通 第33問 ウ)
在外日本人である原告らが、①平成10年法律第47号による改正前の公職選挙法が、原告らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていなかったことが違法であることの確認、②同改正後の公職選挙法が、原告らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていないことが違法であることの確認及び③原告らが今後直近に実施される上記②の各選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める各訴えに関する最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決(民集59巻7号2087頁)についての次の記述のうち、正しいものに〇、誤っているものに×を選びなさい。
【記述】
この判決は、上記③の訴えが適法であると判断するに当たり、選挙権は侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであることを考慮している。
在外日本人である原告らが、①平成10年法律第47号による改正前の公職選挙法が、原告らに衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙における選挙権の行使を認めていなかったことが違法であることの確認、②同改正後の公職選挙法が、原告らに衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における選挙権の行使を認めていないことが違法であることの確認及び③原告らが今後直近に実施される上記②の各選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める各訴えに関する最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決(民集59巻7号2087頁)についての次の記述のうち、正しいものに〇、誤っているものに×を選びなさい。
【記述】
この判決は、上記③の訴えが適法であると判断するに当たり、選挙権は侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであることを考慮している。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭17.9.14)は、「選挙権は、これを行使することができなければ意味がないものといわざるを得ず、侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであるから、その権利の重要性にかんがみると、具体的な選挙につき選挙権を行使する権利の有無につき争いがある場合にこれを有することの確認を求める訴えについては、それが有効適切な手段であると認められる限り、確認の利益を肯定すべきものである。」としている。
判例(最判昭17.9.14)は、「選挙権は、これを行使することができなければ意味がないものといわざるを得ず、侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであるから、その権利の重要性にかんがみると、具体的な選挙につき選挙権を行使する権利の有無につき争いがある場合にこれを有することの確認を求める訴えについては、それが有効適切な手段であると認められる限り、確認の利益を肯定すべきものである。」としている。
(H27 予備 第21問 イ)
国外に居住していて国内の市町村の区域に住所を有していない日本国民が、次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴訟は、「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」に当たる。
国外に居住していて国内の市町村の区域に住所を有していない日本国民が、次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴訟は、「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」に当たる。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判平17.9.14)は、「本件の予備的確認請求に係る訴えは、公法上の当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する確認の訴えと解することができるところ、その内容をみると、公職選挙法附則8項につき所要の改正がされないと、在外国民である別紙当事者目録1記載の上告人らが、今後直近に実施されることになる衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができず、選挙権を行使する権利を侵害されることになるので、そのような事態になることを防止するために、同上告人らが、同項が違憲無効であるとして、当該各選挙につき選挙権を行使する権利を有することの確認をあらかじめ求める訴えであると解することができる。」とした上で、「本件の予備的確認請求に係る訴えについては、引き続き在外国民である同上告人らが、次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を請求する趣旨のものとして適法な訴えということができる。」としている。
判例(最大判平17.9.14)は、「本件の予備的確認請求に係る訴えは、公法上の当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する確認の訴えと解することができるところ、その内容をみると、公職選挙法附則8項につき所要の改正がされないと、在外国民である別紙当事者目録1記載の上告人らが、今後直近に実施されることになる衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができず、選挙権を行使する権利を侵害されることになるので、そのような事態になることを防止するために、同上告人らが、同項が違憲無効であるとして、当該各選挙につき選挙権を行使する権利を有することの確認をあらかじめ求める訴えであると解することができる。」とした上で、「本件の予備的確認請求に係る訴えについては、引き続き在外国民である同上告人らが、次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を請求する趣旨のものとして適法な訴えということができる。」としている。
(R5 予備 第23問 ア)
国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合には、国会議員の立法不作為は、国家賠償法第1条第1項の適用上、違法の評価を受ける。
国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合には、国会議員の立法不作為は、国家賠償法第1条第1項の適用上、違法の評価を受ける。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭17.9.14)は、「国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合…には、…国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。」としている。
判例(最判昭17.9.14)は、「国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合…には、…国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。」としている。
総合メモ
全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加した県議会議員に随行した県職員が県に対し旅費相当額の不当利得返還義務 最二小判平成15年1月17日
概要
地方公務員法の規定によれば、地方公共団体の職員は、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないものとされており(同法32条)、上司の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、これに従う義務を負うものと解される。上記服務関係からすれば、地方公共団体の職員が職務命令である旅行命令に従って旅行をした場合には、職員は、旅行命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、当該旅行に対して旅費の支給を受けることができ、それが不当利得となるものではない。
判例
事案:県議会の議員が全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加するために、それに随行した及び事務局職員が支出した旅費について、住民であるXらが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、県に代位して、議員らに対して不当利得又は損害賠償の返還を求めた事案において、職務命令に従ったにすぎない職員が県に対し不当利得返還義務を負うかが問題となった。
判旨:「地方公務員法の規定によれば、地方公共団体の職員は、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないものとされており(同法32条)、上司の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、これに従う義務を負うものと解される。上記服務関係からすれば、地方公共団体の職員が職務命令である旅行命令に従って旅行をした場合には、職員は、旅行命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、当該旅行に対して旅費の支給を受けることができ、それが不当利得となるものではない。 これを本件についてみると、原審の適法に確定したところによれば、議会事務局職員に対する旅行命令は、議会において本件野球大会に議員を派遣することが決定されたことを受けて、議会事務局職員を議員に随行させ、実行委員会本部との連絡調整、用具の運搬管理、本件野球大会の記録その他の補助業務に当たらせるために発せられたものであるから、上記旅行命令に重大かつ明白な瑕疵があったとはいえない。したがって、これに従って旅行をした上告人Dに支給された旅費は不当利得とはならない。」
判旨:「地方公務員法の規定によれば、地方公共団体の職員は、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないものとされており(同法32条)、上司の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、これに従う義務を負うものと解される。上記服務関係からすれば、地方公共団体の職員が職務命令である旅行命令に従って旅行をした場合には、職員は、旅行命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、当該旅行に対して旅費の支給を受けることができ、それが不当利得となるものではない。 これを本件についてみると、原審の適法に確定したところによれば、議会事務局職員に対する旅行命令は、議会において本件野球大会に議員を派遣することが決定されたことを受けて、議会事務局職員を議員に随行させ、実行委員会本部との連絡調整、用具の運搬管理、本件野球大会の記録その他の補助業務に当たらせるために発せられたものであるから、上記旅行命令に重大かつ明白な瑕疵があったとはいえない。したがって、これに従って旅行をした上告人Dに支給された旅費は不当利得とはならない。」
過去問・解説
(H20 司法 第23問 エ)
最高裁判所の判例によれば、職員が通達を違法と考えた場合、その通達に沿った上司の命令に服従すべき義務はなく、服従拒否を理由とする懲戒処分は違法になると解されている。
最高裁判所の判例によれば、職員が通達を違法と考えた場合、その通達に沿った上司の命令に服従すべき義務はなく、服従拒否を理由とする懲戒処分は違法になると解されている。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平15.1.17)は、「地方公共団体の職員は、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないものとされており(同法32条)、上司の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、これに従う義務を負うものと解される。」としている。
したがって、職員が通達を違法と考えた場合でも、その通達に沿った上司の命令に服従すべき義務がある。また、そうであるとすると、服従拒否を理由とする懲戒処分は適法となると考えられる。
判例(最判平15.1.17)は、「地方公共団体の職員は、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないものとされており(同法32条)、上司の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、これに従う義務を負うものと解される。」としている。
したがって、職員が通達を違法と考えた場合でも、その通達に沿った上司の命令に服従すべき義務がある。また、そうであるとすると、服従拒否を理由とする懲戒処分は適法となると考えられる。
総合メモ
普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約の効力 最三小判昭和62年5月19日
概要
普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考察する必要があり、かかる違法な契約であっても私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる場合として前記令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になる。
判例
事案:売却処分の無効等確認請求訴訟において、普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約の効力が問題となった。
判旨:「法234条2項は、普通地方公共団体が締結する契約の方法について『指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。』と規定し、これを受けて令167条の2第1項は、随意契約によることができる場合を列挙しているのであるから、右列挙された事由のいずれにも該当しないのに随意契約の方法により締結された契約は違法というべきことが明らかである。しかしながら、このように随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考察する必要があり、かかる違法な契約であっても私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる場合として前記令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になるものと解するのが相当である。けだし、前記法及び令の規定は、専ら一般的抽象的な見地に立って普通地方公共団体の締結する契約の適正を図ることを目的として右契約の締結方法について規制を加えるものと解されるから、右法令に違反して契約が締結されたということから直ちにその契約の効力を全面的に否定しなければならないとまでいうことは相当でなく、他方、契約の相手方にとっては、そもそも当該契約の締結が、随意契約によることができる場合として前記令の規定が列挙する事由のいずれに該当するものとして行われるのか必ずしも明らかであるとはいえないし、また、右事由の中にはそれに該当するか否かが必ずしも客観的一義的に明白とはいえないようなものも含まれているところ、普通地方公共団体の契約担当者が右事由に該当すると判断するに至った事情も契約の相手方において常に知り得るものとはいえないのであるから、もし普通地方公共団体の契約担当者の右判断が後に誤りであるとされ当該契約が違法とされた場合にその私法上の効力が当然に無効であると解するならば、契約の相手方において不測の損害を被ることにもなりかねず相当とはいえないからである。そして、当該契約が仮に随意契約の制限に関する法令に違反して締結された点において違法であるとしても、それが私法上当然無効とはいえない場合には、普通地方公共団体は契約の相手方に対して当該契約に基づく債務を履行すべき義務を負うのであるから、右債務の履行として行われる行為自体はこれを違法ということはできず、このような場合に住民が法242条の2第1項1号所定の住民訴訟の手段によって普通地方公共団体の執行機関又は職員に対し右債務の履行として行われる行為の差止めを請求することは、許されないものというべきである。 そうすると、随意契約の方法によって締結された本件売買契約の私法上の効力を確定することなく、単に同契約が随意契約の制限に関する法令に違反し違法であるとして、それに基づく債務の履行として行われる所有権移転登記手続の差止めを求める被上告人らの本件請求を認容した原審の判断は、法令の解釈を誤りひいては理由不備の違法を犯すものというほかなく、上告論旨の検討に入るまでもなく原判決はこの点において破棄を免れないこととなる。そして、本件においては、本件売買契約を随意契約の方法によって締結したことが仮に違法であるとしても、原審の適法に確定した前記事実関係に照らして、随意契約の方法による契約の締結が許されないことが何人の目にも明らかであるとか契約の相手方である上岡富輝において随意契約の方法によることが許されないことを知り又は知り得べきであったなど右契約を無効とすべき前記特段の事情があるということはできないから、本件売買契約は私法上当然に無効であるということはできず…、令121条の2第2項、別表第2に違反する旨の被上告人らの主張に理由がないことは原判決の判示するとおりであり、また、原審の適法に確定した前記事実関係によれば、本件…の土地の売却価格が不当に廉価であって地方財政法8条に違反する旨の被上告人らの主張に理由がないことも明白である。」
判旨:「法234条2項は、普通地方公共団体が締結する契約の方法について『指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。』と規定し、これを受けて令167条の2第1項は、随意契約によることができる場合を列挙しているのであるから、右列挙された事由のいずれにも該当しないのに随意契約の方法により締結された契約は違法というべきことが明らかである。しかしながら、このように随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考察する必要があり、かかる違法な契約であっても私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる場合として前記令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になるものと解するのが相当である。けだし、前記法及び令の規定は、専ら一般的抽象的な見地に立って普通地方公共団体の締結する契約の適正を図ることを目的として右契約の締結方法について規制を加えるものと解されるから、右法令に違反して契約が締結されたということから直ちにその契約の効力を全面的に否定しなければならないとまでいうことは相当でなく、他方、契約の相手方にとっては、そもそも当該契約の締結が、随意契約によることができる場合として前記令の規定が列挙する事由のいずれに該当するものとして行われるのか必ずしも明らかであるとはいえないし、また、右事由の中にはそれに該当するか否かが必ずしも客観的一義的に明白とはいえないようなものも含まれているところ、普通地方公共団体の契約担当者が右事由に該当すると判断するに至った事情も契約の相手方において常に知り得るものとはいえないのであるから、もし普通地方公共団体の契約担当者の右判断が後に誤りであるとされ当該契約が違法とされた場合にその私法上の効力が当然に無効であると解するならば、契約の相手方において不測の損害を被ることにもなりかねず相当とはいえないからである。そして、当該契約が仮に随意契約の制限に関する法令に違反して締結された点において違法であるとしても、それが私法上当然無効とはいえない場合には、普通地方公共団体は契約の相手方に対して当該契約に基づく債務を履行すべき義務を負うのであるから、右債務の履行として行われる行為自体はこれを違法ということはできず、このような場合に住民が法242条の2第1項1号所定の住民訴訟の手段によって普通地方公共団体の執行機関又は職員に対し右債務の履行として行われる行為の差止めを請求することは、許されないものというべきである。 そうすると、随意契約の方法によって締結された本件売買契約の私法上の効力を確定することなく、単に同契約が随意契約の制限に関する法令に違反し違法であるとして、それに基づく債務の履行として行われる所有権移転登記手続の差止めを求める被上告人らの本件請求を認容した原審の判断は、法令の解釈を誤りひいては理由不備の違法を犯すものというほかなく、上告論旨の検討に入るまでもなく原判決はこの点において破棄を免れないこととなる。そして、本件においては、本件売買契約を随意契約の方法によって締結したことが仮に違法であるとしても、原審の適法に確定した前記事実関係に照らして、随意契約の方法による契約の締結が許されないことが何人の目にも明らかであるとか契約の相手方である上岡富輝において随意契約の方法によることが許されないことを知り又は知り得べきであったなど右契約を無効とすべき前記特段の事情があるということはできないから、本件売買契約は私法上当然に無効であるということはできず…、令121条の2第2項、別表第2に違反する旨の被上告人らの主張に理由がないことは原判決の判示するとおりであり、また、原審の適法に確定した前記事実関係によれば、本件…の土地の売却価格が不当に廉価であって地方財政法8条に違反する旨の被上告人らの主張に理由がないことも明白である。」
過去問・解説
(H26 予備 第17問 ウ)
最高裁判所の判例によれば、地方自治法及び地方自治法施行令に定める随意契約の制限に違反して締結された契約であっても、私法上当然に無効になるものではない。
最高裁判所の判例によれば、地方自治法及び地方自治法施行令に定める随意契約の制限に違反して締結された契約であっても、私法上当然に無効になるものではない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭62.5.19)は、「このように随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考察する必要があり、かかる違法な契約であっても私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる場合として前記令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になるものと解するのが相当である。」としている。
したがって、随意契約の制限に違反して締結された契約であっても、私法上当然に無効になるものではないといえる。
判例(最判昭62.5.19)は、「このように随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考察する必要があり、かかる違法な契約であっても私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる場合として前記令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になるものと解するのが相当である。」としている。
したがって、随意契約の制限に違反して締結された契約であっても、私法上当然に無効になるものではないといえる。
(R5 予備 第16問 ウ)
地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約は、当該契約を無効としなければ、随意契約の締結に制限を加える法令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になる。
地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約は、当該契約を無効としなければ、随意契約の締結に制限を加える法令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭62.5.19)は、「このように随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考察する必要があり、かかる違法な契約であっても私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる場合として前記令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になるものと解するのが相当である。」としている。
判例(最判昭62.5.19)は、「このように随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約の私法上の効力については別途考察する必要があり、かかる違法な契約であっても私法上当然に無効になるものではなく、随意契約によることができる場合として前記令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効になるものと解するのが相当である。」としている。
総合メモ
機関訴訟と法律上の争訟の区別 最二小判平成13年7月13日
概要
那覇市情報公開条例の実施機関である那覇市長が、同条例5条に基づき公文書公開請求をした請求者らに対し、国の機関である那覇防衛施設局長が建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出した海上自衛隊第5航空群司令部庁舎の建築工事に関する建築工事計画通知書及びその添付図書を公開する旨の各決定をしたことについて、国が各処分は違法であるとしてその一部取消しを求める訴えは、法律上の訴訟に当たる。
判例
事案:那覇市情報公開条例の実施機関である那覇市長が、同条例5条に基づき公文書公開請求をした請求者らに対し、国の機関である那覇防衛施設局長が建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出した海上自衛隊第5航空群司令部庁舎の建築工事に関する建築工事計画通知書及びその添付図書を公開する旨の各決定をしたことについて、国が各処分は違法であるとしてその一部取消しを求める訴えが、「法律上の訴訟」(裁判所法3条1項)に当たるかが問題となった。
判旨:「1 本件訴えは、那覇市情報公開条例(昭和63年那覇市条例第1号。以下「本件条例」という。)の実施機関である那覇市長が、本件条例5条に基づき公文書公開請求をした請求者らに対し、国の機関である那覇防衛施設局長が建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出した海上自衛隊第5航空群司令部庁舎(以下「本件建物」という。)の建築工事に関する建築工事計画通知書及びその添付図書(以下これらを「本件文書」という。)を公開する旨の各決定(以下「本件各処分」という。)をしたところ、国が、本件各処分は違法であるとしてその一部取消しを求めるものである。
原審は、本件においては、那覇市長の本件条例に基づく行政権限の行使と国の防衛行政権限の行使との間に抵触が生じ、これをめぐって両当事者間に権限の行使に関する紛争が発生しているのであるから、本件訴えは裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらないと判断し、本件訴えを却下すべきものとした。
しかし、記録によると、本件文書は、建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出された建築工事計画通知書及びこれに添付された本件建物の設計図面等であり、国は、本件文書の公開によって国有財産である本件建物の内部構造等が明らかになると、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により本件建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることをも理由として、本件各処分の取消しを求めていると理解することができる。そうすると、本件訴えは、法律上の争訟に当たるというべきであり、本件訴えは法律上の争訟に当たらないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるものというべきである。
2 ところで、行政事件訴訟法9条にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数の者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁参照)。
この点を本件条例についてみるに、本件条例6条1項は、同項各号所定の情報が記録されている公文書は非公開とすることができる旨を定めているが、その趣旨、文言等に照らし、同項が国の主張に係る利益を個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできず、他に、国の主張に係る利益を個別的利益として保護する趣旨を含むことをうかがわせる規定も見当たらない。そうすると、国が本件各処分の取消しを求める原告適格を有するということはできないから、本件訴えは、結局、不適法なものに帰するというべきである。」
判旨:「1 本件訴えは、那覇市情報公開条例(昭和63年那覇市条例第1号。以下「本件条例」という。)の実施機関である那覇市長が、本件条例5条に基づき公文書公開請求をした請求者らに対し、国の機関である那覇防衛施設局長が建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出した海上自衛隊第5航空群司令部庁舎(以下「本件建物」という。)の建築工事に関する建築工事計画通知書及びその添付図書(以下これらを「本件文書」という。)を公開する旨の各決定(以下「本件各処分」という。)をしたところ、国が、本件各処分は違法であるとしてその一部取消しを求めるものである。
原審は、本件においては、那覇市長の本件条例に基づく行政権限の行使と国の防衛行政権限の行使との間に抵触が生じ、これをめぐって両当事者間に権限の行使に関する紛争が発生しているのであるから、本件訴えは裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらないと判断し、本件訴えを却下すべきものとした。
しかし、記録によると、本件文書は、建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出された建築工事計画通知書及びこれに添付された本件建物の設計図面等であり、国は、本件文書の公開によって国有財産である本件建物の内部構造等が明らかになると、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により本件建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることをも理由として、本件各処分の取消しを求めていると理解することができる。そうすると、本件訴えは、法律上の争訟に当たるというべきであり、本件訴えは法律上の争訟に当たらないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるものというべきである。
2 ところで、行政事件訴訟法9条にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数の者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁参照)。
この点を本件条例についてみるに、本件条例6条1項は、同項各号所定の情報が記録されている公文書は非公開とすることができる旨を定めているが、その趣旨、文言等に照らし、同項が国の主張に係る利益を個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできず、他に、国の主張に係る利益を個別的利益として保護する趣旨を含むことをうかがわせる規定も見当たらない。そうすると、国が本件各処分の取消しを求める原告適格を有するということはできないから、本件訴えは、結局、不適法なものに帰するというべきである。」
過去問・解説
(R5 予備 第21問 エ)
地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由とするものであっても、行政主体間の権限の行使に関する紛争に該当し、行政事件訴訟法第6条の機関訴訟である。
地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由とするものであっても、行政主体間の権限の行使に関する紛争に該当し、行政事件訴訟法第6条の機関訴訟である。
(正答)✕
(解説)
行訴法42条は、「民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。」と規定している。
判例(最判平13.7.13)は、本肢と同種の事案において、「本件文書は、建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出された建築工事計画通知書及びこれに添付された本件建物の設計図面等であり、国は、本件文書の公開によって国有財産である本件建物の内部構造等が明らかになると、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により本件建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることをも理由として、本件各処分の取消しを求めていると理解することができる。そうすると、本件訴えは、法律上の争訟に当たるというべきであ…る。」と判示している。
地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由とするものであれば、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)に当たり、機関訴訟ではない。
行訴法42条は、「民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。」と規定している。
判例(最判平13.7.13)は、本肢と同種の事案において、「本件文書は、建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出された建築工事計画通知書及びこれに添付された本件建物の設計図面等であり、国は、本件文書の公開によって国有財産である本件建物の内部構造等が明らかになると、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により本件建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることをも理由として、本件各処分の取消しを求めていると理解することができる。そうすると、本件訴えは、法律上の争訟に当たるというべきであ…る。」と判示している。
地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由とするものであれば、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)に当たり、機関訴訟ではない。
総合メモ
市議会の議決無効確認を求める訴えの適否 最二小判昭和28年6月12日
概要
執行機関と議決機関との関係は、地方公共団体の内部の機関相互間の関係であり、法律が内部的解決に委ねることを不適当として特に訴えの提起を許している場合を除き、機関相互間の権限の紛争は、訴訟の対象とはならないから、市議会議員が、市議会議員としての資格において、市又は市長を被告として市議会の議決の無効又は議決の不存在の確認を求める訴えは、これを許容する法律の規定がない以上、市長が市議会の議決に拘束されるとしても、不適法である。
判例
事案:市議会の議決の無効確認訴訟において、市議会の議決のように行政機関相互の内部的権限について争いのある場合に、その無効を求める訴えの適法性が問題となった。
判旨:「上告人の布施市議会の本件議決の不存在又は無効確認を求める訴について考えて見るに、市議会の議決は法人格を有する市の内部的意思決定に過ぎないのであって、市の行為としての効力を有するものではなく、従って市を被告として不存在又は無効確認を求めることは全く無意味である。上告人は布施市議会議員なるが故にこのような確認を求める利益を有すると主張するのであるが、なるほど市長は市議会の議決に拘束されるけれども、このような執行機関と議決機関との関係は市の内部の機関相互間の関係であって若しその間に紛争があるならば市が内部的に解決すべく、訴訟をもって争うべき問題ではない。機関相互間の権限の争は法人格者間の権利義務に関する争とは異り、法律上の争として当然に訴訟の対象となるものではなく、法律が内部的解決に委せることを不適当として、例えば地方自治法176条5項のように特に訴の提起を許している場合にのみ、訴訟の対象となるものと解すべきである。そして市議会の議員が、市又は市長を被告として議決の無効又は不存在の確認を求める訴は、地方自治法その他の法律中に、これを許した規定がないのであるから、原判決が本訴を不適法としたのは正当である。
右説明のように議決はそれ自体訴訟の対象とすることはできないけれども、市長が市議会の議決に従って執行をした場合、その行為は市の行為として効力を持つに至るから、その無効を主張するについて利益を有する者は、議決の無効を理由として市の行為の効力を争うことはできる。本件建設大臣及大阪府知事に対する許可、認可の申請又はその変更認可の申請は、法人格を有する市の行為である点において、さきに説明した議会の議決と性質を異にする。しかしながら、その申請によって生ずる法律上の関係は布施市と相手方たる建設大臣又は大阪府知事との関係であって、第三者に利害関係のないことである。従って第三者は申請の効力について争う法律上の利益を有しないものと言わなければならない。このことは申請に対する所轄庁の許可認可についても同様であって、第三者がよって自己の法律上の利益を害される特別の事情のある場合は格別、通常の場合第三者は許可認可の効力を争う利益を有するものではない。そして本件の場合、上告人等はかかる特別の事情があるとの主張をしないのであるから原判決が本訴について訴の利益がないとしたのは正当である。上告人は布施市議会の議員であるが故に、本件申請及許可認可等の効力を争う利益を有するというのであるが、市議会議員は地方自治法の定めるところにより議決機関たる議会の構成員として市の意思決定に参与することができるけれども、議員としてなし得る事項は地方自治法その他法律中に定められており、これら法律の規定をはなれて議員なるが故に他の市民と異る立場に立つものではない。また市の住民なるが故に一般的に市の行為の効力を争う利益があるものということはできない。」
判旨:「上告人の布施市議会の本件議決の不存在又は無効確認を求める訴について考えて見るに、市議会の議決は法人格を有する市の内部的意思決定に過ぎないのであって、市の行為としての効力を有するものではなく、従って市を被告として不存在又は無効確認を求めることは全く無意味である。上告人は布施市議会議員なるが故にこのような確認を求める利益を有すると主張するのであるが、なるほど市長は市議会の議決に拘束されるけれども、このような執行機関と議決機関との関係は市の内部の機関相互間の関係であって若しその間に紛争があるならば市が内部的に解決すべく、訴訟をもって争うべき問題ではない。機関相互間の権限の争は法人格者間の権利義務に関する争とは異り、法律上の争として当然に訴訟の対象となるものではなく、法律が内部的解決に委せることを不適当として、例えば地方自治法176条5項のように特に訴の提起を許している場合にのみ、訴訟の対象となるものと解すべきである。そして市議会の議員が、市又は市長を被告として議決の無効又は不存在の確認を求める訴は、地方自治法その他の法律中に、これを許した規定がないのであるから、原判決が本訴を不適法としたのは正当である。
右説明のように議決はそれ自体訴訟の対象とすることはできないけれども、市長が市議会の議決に従って執行をした場合、その行為は市の行為として効力を持つに至るから、その無効を主張するについて利益を有する者は、議決の無効を理由として市の行為の効力を争うことはできる。本件建設大臣及大阪府知事に対する許可、認可の申請又はその変更認可の申請は、法人格を有する市の行為である点において、さきに説明した議会の議決と性質を異にする。しかしながら、その申請によって生ずる法律上の関係は布施市と相手方たる建設大臣又は大阪府知事との関係であって、第三者に利害関係のないことである。従って第三者は申請の効力について争う法律上の利益を有しないものと言わなければならない。このことは申請に対する所轄庁の許可認可についても同様であって、第三者がよって自己の法律上の利益を害される特別の事情のある場合は格別、通常の場合第三者は許可認可の効力を争う利益を有するものではない。そして本件の場合、上告人等はかかる特別の事情があるとの主張をしないのであるから原判決が本訴について訴の利益がないとしたのは正当である。上告人は布施市議会の議員であるが故に、本件申請及許可認可等の効力を争う利益を有するというのであるが、市議会議員は地方自治法の定めるところにより議決機関たる議会の構成員として市の意思決定に参与することができるけれども、議員としてなし得る事項は地方自治法その他法律中に定められており、これら法律の規定をはなれて議員なるが故に他の市民と異る立場に立つものではない。また市の住民なるが故に一般的に市の行為の効力を争う利益があるものということはできない。」
過去問・解説
(R1 予備 第21問 ウ)
執行機関と議決機関との関係は、地方公共団体の内部の機関相互間の関係であり、法律が内部的解決に委ねることを不適当として特に訴えの提起を許している場合を除き、機関相互間の権限の紛争は、訴訟の対象とはならないから、市議会議員が、市議会議員としての資格において、市又は市長を被告として市議会の議決の無効又は議決の不存在の確認を求める訴えは、これを許容する法律の規定がない以上、市長が市議会の議決に拘束されるとしても、不適法なものとして却下を免れない。
執行機関と議決機関との関係は、地方公共団体の内部の機関相互間の関係であり、法律が内部的解決に委ねることを不適当として特に訴えの提起を許している場合を除き、機関相互間の権限の紛争は、訴訟の対象とはならないから、市議会議員が、市議会議員としての資格において、市又は市長を被告として市議会の議決の無効又は議決の不存在の確認を求める訴えは、これを許容する法律の規定がない以上、市長が市議会の議決に拘束されるとしても、不適法なものとして却下を免れない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭28.6.12)は、「執行機関と議決機関との関係は市の内部の機関相互間の関係であって若しその間に紛争があるならば市が内部的に解決すべく、訴訟をもって争うべき問題ではない。機関相互間の権限の争は法人格者間の権利義務に関する争とは異り、法律上の争として当然に訴訟の対象となるものではなく、法律が内部的解決に委せることを不適当として、例えば地方自治法176条5項のように特に訴の提起を許している場合にのみ、訴訟の対象となるものと解すべきである。そして市議会の議員が、市又は市長を被告として議決の無効又は不存在の確認を求める訴は、地方自治法その他の法律中に、これを許した規定がないのであるから、原判決が本訴を不適法としたのは正当である。」としている。
判例(最判昭28.6.12)は、「執行機関と議決機関との関係は市の内部の機関相互間の関係であって若しその間に紛争があるならば市が内部的に解決すべく、訴訟をもって争うべき問題ではない。機関相互間の権限の争は法人格者間の権利義務に関する争とは異り、法律上の争として当然に訴訟の対象となるものではなく、法律が内部的解決に委せることを不適当として、例えば地方自治法176条5項のように特に訴の提起を許している場合にのみ、訴訟の対象となるものと解すべきである。そして市議会の議員が、市又は市長を被告として議決の無効又は不存在の確認を求める訴は、地方自治法その他の法律中に、これを許した規定がないのであるから、原判決が本訴を不適法としたのは正当である。」としている。