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短答判例
滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法に基づいて差押えを受けた場合における当該不動産の他の共有者 最二小判平成25年7月12日
概要
滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法に基づいて差押えを受けた場合、当該不動産の他の共有者は、当該差押処分の法的効果による権利の制限を受けるのであれば、その処分の取消を求める原告適格が認められる。
判例
事案:Xが国税を滞納したため、特定の財産について差押処分を受けたため、その処分の取消訴訟等を提起した事案において、原告適格の有無が問題となった。
判旨:「行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき『法律上の利益を有する者』とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解すべきである(最高裁昭和49年(行ツ)第99号同53年3月14日第三小法廷判決・民集32巻2号211頁、最高裁平成元年(行ツ)第131号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号1090頁等参照)。そして、処分の名宛人以外の者が処分の法的効果による権利の制限を受ける場合には、その者は、処分の名宛人として権利の制限を受ける者と同様に、当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり、その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。
…しかるところ、国税徴収法47条1項に基づく差押処分は、滞納者の所有する特定の財産につき、その名宛人である滞納者に対しその譲渡や用益権設定等の処分を禁止する効力を有するものであるから、滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が同項に基づいて差し押さえられた場合には、滞納者において、当該持分の譲渡や当該不動産に係る用益権設定等の処分が禁止されるため、滞納処分による差押登記後に当該不動産につき賃貸や地上権設定等をしてもこれを公売処分による当該持分の買受人に対抗することができず、その結果、滞納者の持分と使用収益上の不可分一体をなす持分を有する他の共有者についても当該不動産に係る用益権設定等の処分が制約を受け、その処分の権利が制限されることとなる。加えて、不動産につき同項に基づく差押処分がされた場合の使用又は収益については、当該不動産の価値を著しく減耗させる行為がされると認められるときに、税務署長は滞納者及び当該不動産につき使用又は収益をする権利を有する第三者に対しその使用又は収益を制限することができるものとされており(同法69条1項ただし書、同条2項)、滞納者と他の者との共有に係る不動産における滞納者以外の共有者は上記の第三者に当たるものと解されるので、滞納者の持分が差し押さえられた土地上に建物を新築するなど、当該不動産の価値を著しく減耗させる使用又は収益に関しては、滞納者のみならず、他の共有者についても同法69条所定の上記制限が及ぶこととなる。
以上に鑑みると、滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は、その差押処分の法的効果による権利の制限を受けるものであって、当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、その差押処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり、その取消訴訟における原告適格を有するものと解するのが相当である。」
判旨:「行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき『法律上の利益を有する者』とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解すべきである(最高裁昭和49年(行ツ)第99号同53年3月14日第三小法廷判決・民集32巻2号211頁、最高裁平成元年(行ツ)第131号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号1090頁等参照)。そして、処分の名宛人以外の者が処分の法的効果による権利の制限を受ける場合には、その者は、処分の名宛人として権利の制限を受ける者と同様に、当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり、その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。
…しかるところ、国税徴収法47条1項に基づく差押処分は、滞納者の所有する特定の財産につき、その名宛人である滞納者に対しその譲渡や用益権設定等の処分を禁止する効力を有するものであるから、滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が同項に基づいて差し押さえられた場合には、滞納者において、当該持分の譲渡や当該不動産に係る用益権設定等の処分が禁止されるため、滞納処分による差押登記後に当該不動産につき賃貸や地上権設定等をしてもこれを公売処分による当該持分の買受人に対抗することができず、その結果、滞納者の持分と使用収益上の不可分一体をなす持分を有する他の共有者についても当該不動産に係る用益権設定等の処分が制約を受け、その処分の権利が制限されることとなる。加えて、不動産につき同項に基づく差押処分がされた場合の使用又は収益については、当該不動産の価値を著しく減耗させる行為がされると認められるときに、税務署長は滞納者及び当該不動産につき使用又は収益をする権利を有する第三者に対しその使用又は収益を制限することができるものとされており(同法69条1項ただし書、同条2項)、滞納者と他の者との共有に係る不動産における滞納者以外の共有者は上記の第三者に当たるものと解されるので、滞納者の持分が差し押さえられた土地上に建物を新築するなど、当該不動産の価値を著しく減耗させる使用又は収益に関しては、滞納者のみならず、他の共有者についても同法69条所定の上記制限が及ぶこととなる。
以上に鑑みると、滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は、その差押処分の法的効果による権利の制限を受けるものであって、当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、その差押処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり、その取消訴訟における原告適格を有するものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R7 予備 第19問 ウ)
滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法に基づいて差押えを受けた場合、当該不動産の他の共有者には、当該差押処分の法的効果による権利の制限を受けるとしても、当該差押処分の取消しを求める原告適格は認められない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平25.7.12)は、本肢と同種の事案において、「滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は、その差押処分の法的効果による権利の制限を受けるものであって、当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、その差押処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり、その取消訴訟における原告適格を有するものと解するのが相当である。」として、当該不動産の他の共有者の原告適格を肯定している。