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行政法 都市計画の変更の裁量逸脱・濫用 最一小判平成18年11月2日

概要
都知事が行った都市高速鉄道に係る都市計画の変更は、鉄道の構造として高架式を採用した点において裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえない。
判例
事案:鉄道事業認可の前提となる都市計画に係る平成5年決定が、周辺地域の環境に与える影響等の面で優れた代替案である地下式を理由もなく不採用として、高架式を採用した点で違法であるなどとして、建設大臣の事務承継者であるYに対し、Xが本件鉄道事業認可の取消しを求めた事案において、都市計画事業認可の前提となる都市計画決定に、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があるかどうかが問題となった。

判旨:「都市計画法(平成4年法律第82号による改正前のもの。以下同じ。)は、都市計画事業認可の基準の1つとして、事業の内容が都市計画に適合することを掲げているから(61条)、都市計画事業認可が適法であるためには、その前提となる都市計画が適法であることが必要である。都市計画法は、都市計画について、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと等の基本理念の下で(2条)、都市施設の整備に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを一体的かつ総合的に定めなければならず、当該都市について公害防止計画が定められているときは当該公害防止計画に適合したものでなければならないとし(13条1項柱書)、都市施設について、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めることとしているところ(同項5号)、このような基準に従って都市施設の規模、配置等に関する事項を定めるに当たっては、当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で、政策的、技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると、このような判断は、これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきであって、裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては、当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として、その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合、又は、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当である。
 …以上のとおり、平成5年決定が本件高架式を採用した点において裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるということはできないから、これを基礎としてされた本件鉄道事業認可が違法となるということもできない。」
過去問・解説
(H22 司法 第24問 ア)
都市計画法に基づいて都市施設の規模、配置等に関する事項を定めるに当たっては、当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で、政策的、技術的な見地から判断することが不可欠であるが、このような決定をする行政庁に広範な裁量までは認められていない。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.11.2)は、「都市施設の規模、配置等に関する事項を定めるに当たっては、当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で、政策的、技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると、このような判断は、これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられている…。」としている。

(H22 司法 第31問 イ)
最高裁判所の判例によれば、裁判所は、地方公共団体が判断の過程において考慮すべき事情を考慮していないことを理由に挙げて、地方公共団体による都市施設に関する都市計画の決定の内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠き違法であると判断することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.11.2)は、「裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては、当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として、その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合、又は、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる…。」としている。

(H27 予備 第16問 ウ)
都市施設に係る都市計画決定に当たっては、当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で、政策的、技術的な見地から判断することが不可欠であり、このような判断は、これを決定する行政庁の広範な裁量に委ねられている。したがって、裁判所は、行政庁が判断の過程において考慮すべき事項を考慮せずに都市計画決定を行ったことを理由に挙げて、当該決定を違法とすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.11.2)は、「裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては、当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として、その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合、又は、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべき…。」としている。
したがって、裁判所は、行政庁が判断の過程において考慮すべき事項を考慮せずに都市計画決定を行ったことを理由に挙げて、当該決定を違法とすることができる。

(R1 予備 第17問 ウ)
都市計画法第61条第1号は、同法第59条の規定による都市計画事業認可の基準の一つとして、事業の内容が都市計画に適合することを掲げているが、同号は、都市計画決定と事業内容との適合性のみを求める趣旨であり、都市計画決定自体が適法であることまでも必要とする趣旨ではない。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.11.2)は、「都市計画法…は、都市計画事業認可の基準の一つとして、事業の内容が都市計画に適合することを掲げているから(61条)、都市計画事業認可が適法であるためには、その前提となる都市計画が適法であることが必要である。」としている。
したがって、都市計画法61条1号は、都市計画決定自体が適法であることまで必要とする趣旨である。
総合メモ
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