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行政法 違法建築物についての給水装置新設工事申込みの受理を事実上拒絶した市の不法行為責任 最一小判昭和56年7月16日
概要
市の水道局給水課長が給水装置新設工事申込に対し、当該建物が建築基準法に違反することを指摘して、その受理を事実上拒絶し申込書をその申込者に返戻した場合であっても、それは、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎない。他方、右申込者はその後1年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたのであるから、市は、右申込者に対し右工事申込の受理の拒否を理由とする不法行為法上の損害賠償の責任を負うものではない。
判例
事案:建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について、水道事業者である市(被上告人)に給水装置新設工事の申込みがなされた事案において、給水契約の拒否が適法であるかが問題となった。
判旨:「給水装置新設工事申込の受理を事実上拒絶し、申込書を返戻した措置は、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、…右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎないと認められる…その後1年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右工事申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたのであるから、右の事実関係の下においては、前記被上告人市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらないと解するのが相当である。」
判旨:「給水装置新設工事申込の受理を事実上拒絶し、申込書を返戻した措置は、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、…右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎないと認められる…その後1年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右工事申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたのであるから、右の事実関係の下においては、前記被上告人市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第27問 イ)
建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について、水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合、その趣旨が、建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであっても、それは申込みに対する違法な拒否に当たる。
建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について、水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合、その趣旨が、建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであっても、それは申込みに対する違法な拒否に当たる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭56.7.16)は、「給水装置新設工事申込の…申込書を返戻した措置は、…上告人に対し、右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎない…。」とした上で、「市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらない…。」としている。
したがって、違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであれば、申込みに対する違法な拒否に当たらない。
判例(最判昭56.7.16)は、「給水装置新設工事申込の…申込書を返戻した措置は、…上告人に対し、右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎない…。」とした上で、「市の水道局給水課長の当初の措置のみによっては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらない…。」としている。
したがって、違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度、当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであれば、申込みに対する違法な拒否に当たらない。