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行政法 道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定をある一定期間留保したこと 最二小判昭和57年4月23日
概要
道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定が約5か月間留保されても、判示の事実関係のもとにおいては、道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまり、国家賠償法1条1項にいう違法性を欠くものと解すべきである。
判例
事案: 建築主Xが、建築資材を建築現場へ搬入するために、車両制限令12条により道路管理者であるY区長に対し特殊車両の本件区道の通行について通行認定申請をしたが、正当な理由なく長期間にわたり認定手続をしないまま漫然と放置したとして、Yに対し、工事遅延による損害の国家賠償を請求した事案において、認定を留保したことに国家賠償法上の違法が認められるか問題となった。
判旨:「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、車両の通行の禁止又は制限を解除する性格を有する許可(同法47条1項から3項まで、47条の2第1項)とは法的性格を異にし、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかであるが、他方右認定については条件を附することができること(同令12条但し書)、右認定の制度の具体的効用が許可の制度のそれと比較してほとんど変るところがないことなどを勘案すると、右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。
これを本件についてみるのに、原審の適法に確定したところによれば、被上告人の道路管理者としての権限を行う中野区長が本件認定申請に対して約5か月間認定を留保した理由は、右認定をすることによって本件建物の建築に反対する附近住民と上告人側との間で実力による衝突が起こる危険を招来するとの判断のもとにこの危険を回避するためということであり、右留保期間は約5か月間に及んではいるが、結局、中野区長は当初予想された実力による衝突の危険は回避されたと判断して本件認定に及んだというのである。右事実関係によれば、中野区長の本件認定留保は、その理由及び留保期間から見て前記行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまるものというべく、国家賠償法1条1項の定める違法性はないものといわなければならない。」
判旨:「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、車両の通行の禁止又は制限を解除する性格を有する許可(同法47条1項から3項まで、47条の2第1項)とは法的性格を異にし、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかであるが、他方右認定については条件を附することができること(同令12条但し書)、右認定の制度の具体的効用が許可の制度のそれと比較してほとんど変るところがないことなどを勘案すると、右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。
これを本件についてみるのに、原審の適法に確定したところによれば、被上告人の道路管理者としての権限を行う中野区長が本件認定申請に対して約5か月間認定を留保した理由は、右認定をすることによって本件建物の建築に反対する附近住民と上告人側との間で実力による衝突が起こる危険を招来するとの判断のもとにこの危険を回避するためということであり、右留保期間は約5か月間に及んではいるが、結局、中野区長は当初予想された実力による衝突の危険は回避されたと判断して本件認定に及んだというのである。右事実関係によれば、中野区長の本件認定留保は、その理由及び留保期間から見て前記行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまるものというべく、国家賠償法1条1項の定める違法性はないものといわなければならない。」
過去問・解説
(R2 予備 第14問 ア)
車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定は、同令所定の車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであるから、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することは、許されない。
車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定は、同令所定の車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであるから、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することは、許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭57.4.23)は、「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、…基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかである…。」とした上で、「右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。」としている。
したがって、車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定において、具体的事案に応じて道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することも許されうる。
判例(最判昭57.4.23)は、「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず、…基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかである…。」とした上で、「右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。」としている。
したがって、車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定において、具体的事案に応じて道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することも許されうる。