①所得税法(昭和40年法律第33号による改正前のもの)63条及び70条10号に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、憲法35条の法意に反するものではない。
②所得税法(昭和40年法律第33号による改正前のもの)63条、70条10号及び12号に規定する質問・検査は、憲法38条1項にいう「自己に不利益な供述」の「強要」にあたらない。
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行政法 旧所得税法の規定の合憲性 最大判昭和47年11月22日
概要
判例
事案:食肉販売業を営みA県民主商工会B支部に属する団体に加入する被告人が、税務署収税官吏が被告人に対する所得税確定申告調査のため帳簿書類等の検査をしようとするに際し事前通知がなければ調査に応じられない等と大声を上げるなどして右検査を拒み、所得税法違反の有罪判決が言い渡された事案において、①旧所得税法63条に基づく収税官吏の質問・検査について裁判所の令状を要するか、②旧所得税法は、同法63条に基づく収税官吏の「検査を拒み、妨げ又は忌避した者」や「質問に対し答弁をなさない者」に対する罰則として1年以下の懲役又は20万円以下の罰金を定めているところ、質問に対する不答弁をも罰則の対象とすることは、憲法38条1項に違反するかなどが問題となった。
判旨:①「所論のうち、憲法35条違反をいう点は、旧所得税法70条10号、63条の規定が裁判所の令状なくして強制的に検査することを認めているのは違憲である旨の主張である。 たしかに、旧所得税法70条10号の規定する検査拒否に対する罰則は、同法63条所定の収税官吏による当該帳簿等の検査の受忍をその相手方に対して強制する作用を伴なうものであるが、同法63条所定の収税官吏の検査は、もっぱら、所得税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であって、その性質上、刑事責任の追及を目的とする手続ではない。 また、右検査の結果過少申告の事実が明らかとなり、ひいて所得税逋脱の事実の発覚にもつながるという可能性が考えられないわけではないが、そうであるからといって、右検査が、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものと認めるべきことにはならない。けだし、この場合の検査の範囲は、前記の目的のため必要な所得税に関する事項にかぎられており、また、その検査は、同条各号に列挙されているように、所得税の賦課徴収手続上一定の関係にある者につき、その者の事業に関する帳簿その他の物件のみを対象としているのであって、所得税の逋脱その他の刑事責任の嫌疑を基準に右の範囲が定められているのではないからである。 さらに、この場合の強制の態様は、収税官吏の検査を正当な理由がなく拒む者に対し、同法70条所定の刑罰を加えることによって、間接的心理的に右検査の受忍を強制しようとするものであり、かつ、右の刑罰が行政上の義務違反に対する制裁として必ずしも軽微なものとはいえないにしても、その作用する強制の度合いは、それが検査の相手方の自由な意思をいちじるしく拘束して、実質上、直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達しているものとは、いまだ認めがたいところである。国家財政の基本となる徴税権の適正な運用を確保し、所得税の公平確実な賦課徴収を図るという公益上の目的を実現するために収税官吏による実効性のある検査制度が欠くべからざるものであることは、何人も否定しがたいものであるところ、その目的、必要性にかんがみれば、右の程度の強制は、実効性確保の手段として、あながち不均衡、不合理なものとはいえないのである。 憲法35条1項の規定は、本来、主として刑事責任追及の手続における強制について、それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。しかしながら、前に述べた諸点を総合して判断すれば、旧所得税法70条10号、63条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、これを憲法35条の法意に反するものとすることはできず、前記規定を違憲であるとする所論は、理由がない。」
②「所論のうち、憲法38条違反をいう点は、旧所得税法70条10号、12号、63条の規定に基づく検査、質問の結果、所得税逋脱(旧所得税法69条)の事実が明らかになれば、税務職員は右の事実を告発できるのであり、右検査、質問は、刑事訴追をうけるおそれのある事項につき供述を強要するもので違憲である旨の主張である。 しかし、同法70条10号、63条に規定する検査が、もっぱら所得税の公平確実な賦課徴収を目的とする手続であって、刑事責任の追及を目的とする手続ではなく、また、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもないこと、および、このような検査制度に公益上の必要性と合理性の存することは、前示のとおりであり、これらの点については、同法70条12号、63条に規定する質問も同様であると解すべきである。そして、憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものであると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例…とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。しかし、旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右各規定そのものが憲法38条1項にいう『自己に不利益な供述』を強要するものとすることはできず、この点の所論も理由がない。」
判旨:①「所論のうち、憲法35条違反をいう点は、旧所得税法70条10号、63条の規定が裁判所の令状なくして強制的に検査することを認めているのは違憲である旨の主張である。 たしかに、旧所得税法70条10号の規定する検査拒否に対する罰則は、同法63条所定の収税官吏による当該帳簿等の検査の受忍をその相手方に対して強制する作用を伴なうものであるが、同法63条所定の収税官吏の検査は、もっぱら、所得税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であって、その性質上、刑事責任の追及を目的とする手続ではない。 また、右検査の結果過少申告の事実が明らかとなり、ひいて所得税逋脱の事実の発覚にもつながるという可能性が考えられないわけではないが、そうであるからといって、右検査が、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものと認めるべきことにはならない。けだし、この場合の検査の範囲は、前記の目的のため必要な所得税に関する事項にかぎられており、また、その検査は、同条各号に列挙されているように、所得税の賦課徴収手続上一定の関係にある者につき、その者の事業に関する帳簿その他の物件のみを対象としているのであって、所得税の逋脱その他の刑事責任の嫌疑を基準に右の範囲が定められているのではないからである。 さらに、この場合の強制の態様は、収税官吏の検査を正当な理由がなく拒む者に対し、同法70条所定の刑罰を加えることによって、間接的心理的に右検査の受忍を強制しようとするものであり、かつ、右の刑罰が行政上の義務違反に対する制裁として必ずしも軽微なものとはいえないにしても、その作用する強制の度合いは、それが検査の相手方の自由な意思をいちじるしく拘束して、実質上、直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達しているものとは、いまだ認めがたいところである。国家財政の基本となる徴税権の適正な運用を確保し、所得税の公平確実な賦課徴収を図るという公益上の目的を実現するために収税官吏による実効性のある検査制度が欠くべからざるものであることは、何人も否定しがたいものであるところ、その目的、必要性にかんがみれば、右の程度の強制は、実効性確保の手段として、あながち不均衡、不合理なものとはいえないのである。 憲法35条1項の規定は、本来、主として刑事責任追及の手続における強制について、それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。しかしながら、前に述べた諸点を総合して判断すれば、旧所得税法70条10号、63条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、これを憲法35条の法意に反するものとすることはできず、前記規定を違憲であるとする所論は、理由がない。」
②「所論のうち、憲法38条違反をいう点は、旧所得税法70条10号、12号、63条の規定に基づく検査、質問の結果、所得税逋脱(旧所得税法69条)の事実が明らかになれば、税務職員は右の事実を告発できるのであり、右検査、質問は、刑事訴追をうけるおそれのある事項につき供述を強要するもので違憲である旨の主張である。 しかし、同法70条10号、63条に規定する検査が、もっぱら所得税の公平確実な賦課徴収を目的とする手続であって、刑事責任の追及を目的とする手続ではなく、また、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもないこと、および、このような検査制度に公益上の必要性と合理性の存することは、前示のとおりであり、これらの点については、同法70条12号、63条に規定する質問も同様であると解すべきである。そして、憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものであると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例…とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。しかし、旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右各規定そのものが憲法38条1項にいう『自己に不利益な供述』を強要するものとすることはできず、この点の所論も理由がない。」
過去問・解説
(H19 司法 第28問 ア)
Aは、公衆浴場法の許可を行政庁Bから得て公衆浴場を経営している。あるとき、Bの職員CがAの公衆浴場に現れ、公衆浴場法第6条第1項に基づく立入検査を実施するとAに告げた。
Aは、Cに対し、裁判官の発した令状の提示を求めることができ、令状の提示がない場合にはCの立入りを拒否することができる。
【参照条文】公衆浴場法
第3条 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。
2 (略)
第6条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該吏員に公衆浴場に立ち入り、第2条第4項の規定により付した条件の遵守若しくは第3条第1項の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。
2 当該吏員が前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第9条 第6条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該吏員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを2000円以下の罰金に処する。
Aは、公衆浴場法の許可を行政庁Bから得て公衆浴場を経営している。あるとき、Bの職員CがAの公衆浴場に現れ、公衆浴場法第6条第1項に基づく立入検査を実施するとAに告げた。
Aは、Cに対し、裁判官の発した令状の提示を求めることができ、令状の提示がない場合にはCの立入りを拒否することができる。
【参照条文】公衆浴場法
第3条 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。
2 (略)
第6条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該吏員に公衆浴場に立ち入り、第2条第4項の規定により付した条件の遵守若しくは第3条第1項の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。
2 当該吏員が前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第9条 第6条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該吏員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを2000円以下の罰金に処する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭47.11.22)は、旧所得税法63条に基づく収税官吏の質問・検査について裁判所の令状を要するか問題となった事案において、「旧所得税法70条10号、63条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、これを憲法35条の法意に反するものとすることはでき…ない。」としている。
公衆浴場法第6条第1項に基づく立入検査についても、上記判例と同様、令状によることを要件としていないことをもって憲法35条に反するとはいえない。
したがって、Aは、令状の呈示がない場合にもCの立入りを拒否することができない。
判例(最判昭47.11.22)は、旧所得税法63条に基づく収税官吏の質問・検査について裁判所の令状を要するか問題となった事案において、「旧所得税法70条10号、63条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、これを憲法35条の法意に反するものとすることはでき…ない。」としている。
公衆浴場法第6条第1項に基づく立入検査についても、上記判例と同様、令状によることを要件としていないことをもって憲法35条に反するとはいえない。
したがって、Aは、令状の呈示がない場合にもCの立入りを拒否することができない。
(H19 司法 第28問 エ)
Aは、公衆浴場法の許可を行政庁Bから得て公衆浴場を経営している。あるとき、Bの職員CがAの公衆浴場に現れ、公衆浴場法第6条第1項に基づく立入検査を実施するとAに告げた。
後日、AはBから営業に関する報告をするように求められた。Aは、ありのままを報告すると、売上げが明らかになって課税面で不利益を受ける可能性があると考えた。この場合、最高裁判所の判例によれば、Aは憲法第38条第1項に基づき報告を拒否できる。
【参照条文】公衆浴場法
第3条 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。
2 (略)
第6条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該吏員に公衆浴場に立ち入り、第2条第4項の規定により付した条件の遵守若しくは第3条第1項の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。
2 当該吏員が前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第9条 第6条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該吏員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを2000円以下の罰金に処する。
Aは、公衆浴場法の許可を行政庁Bから得て公衆浴場を経営している。あるとき、Bの職員CがAの公衆浴場に現れ、公衆浴場法第6条第1項に基づく立入検査を実施するとAに告げた。
後日、AはBから営業に関する報告をするように求められた。Aは、ありのままを報告すると、売上げが明らかになって課税面で不利益を受ける可能性があると考えた。この場合、最高裁判所の判例によれば、Aは憲法第38条第1項に基づき報告を拒否できる。
【参照条文】公衆浴場法
第3条 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。
2 (略)
第6条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該吏員に公衆浴場に立ち入り、第2条第4項の規定により付した条件の遵守若しくは第3条第1項の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。
2 当該吏員が前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第9条 第6条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該吏員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを2000円以下の罰金に処する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭47.11.22)は、旧所得税法63条に基づく収税官吏の質問・検査が憲法38条1項に反しないかが問題となった事案で、「憲法38条1項…による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。」とした上で、「旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右各規定そのものが憲法38条1項にいう『自己に不利益な供述』を強要するものとすることはでき…ない。」としている。
公衆衛生法6条に基づく質問・検査は、公衆浴場の衛生及び風紀の確保を目的とするものであるから、刑事責任の追及を目的としておらず、「自己に不利益な供述」を強要するものとはいえない。
したがって、Aは報告を拒否できない。
判例(最判昭47.11.22)は、旧所得税法63条に基づく収税官吏の質問・検査が憲法38条1項に反しないかが問題となった事案で、「憲法38条1項…による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。」とした上で、「旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右各規定そのものが憲法38条1項にいう『自己に不利益な供述』を強要するものとすることはでき…ない。」としている。
公衆衛生法6条に基づく質問・検査は、公衆浴場の衛生及び風紀の確保を目的とするものであるから、刑事責任の追及を目的としておらず、「自己に不利益な供述」を強要するものとはいえない。
したがって、Aは報告を拒否できない。
(H23 予備 第16問 エ)
所得税法による検査については、法律上、裁判官の発する令状が要件とされていないが、このことが憲法第35条に違反するかどうかが争われた事例において、最高裁判所は、強制の程度が直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達していないことを考慮要素の1つとして、憲法違反ではないという判断を下している。
【参照条文】食品衛生法
第28条 厚生労働大臣、内閣総理大臣又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、当該職員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨検し、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。
2 (略)
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 (略)
第75条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを50万円以下の罰金に処する。
一 第28条第1項(中略)の規定による当該職員の臨検検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
二 第28条第1項(中略)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三、四 (略)
所得税法による検査については、法律上、裁判官の発する令状が要件とされていないが、このことが憲法第35条に違反するかどうかが争われた事例において、最高裁判所は、強制の程度が直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達していないことを考慮要素の1つとして、憲法違反ではないという判断を下している。
【参照条文】食品衛生法
第28条 厚生労働大臣、内閣総理大臣又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、当該職員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨検し、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。
2 (略)
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 (略)
第75条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを50万円以下の罰金に処する。
一 第28条第1項(中略)の規定による当該職員の臨検検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
二 第28条第1項(中略)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三、四 (略)
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭47.11.22)は、「検査が、もっぱら所得税の公平確実な賦課徴収を目的とする手続であって、刑事責任の追及を目的とする手続ではなく、また、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもないこと、および、このような検査制度に公益上の必要性と合理性の存することは、前示のとおりであり、これらの点については、同法70条12号、63条に規定する質問も同様であると解すべきである。」とした上で、「旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右各規定そのものが憲法38条1項にいう『自己に不利益な供述』を強要するものとすることはでき…ない。」としている。
したがって、本判例は、強制の程度が直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達していないことを考慮要素の1つとしているといえる。
判例(最判昭47.11.22)は、「検査が、もっぱら所得税の公平確実な賦課徴収を目的とする手続であって、刑事責任の追及を目的とする手続ではなく、また、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもないこと、および、このような検査制度に公益上の必要性と合理性の存することは、前示のとおりであり、これらの点については、同法70条12号、63条に規定する質問も同様であると解すべきである。」とした上で、「旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右各規定そのものが憲法38条1項にいう『自己に不利益な供述』を強要するものとすることはでき…ない。」としている。
したがって、本判例は、強制の程度が直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達していないことを考慮要素の1つとしているといえる。