現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
行政法 登記等を受けた者が登録免許税法31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知 最一小判平成17年4月14日
概要
登記等を受けた者が登録免許税法31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができるという手続上の地位を否定する法的効果を有するから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
判例
事案:登記等を受けた者が登録免許税法31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか。
判旨:「登録免許税については、納税義務は登記の時に成立し、納付すべき税額は納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定する(国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)15条2項14号、3項6号)。そこで、登録免許税の納税義務者は、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた場合には、そのことによって当然に還付請求権を取得し、同法56条、74条により5年間は過誤納金の還付を受けることができるのであり(登録免許税法31条6項4号参照)、その還付がされないときは、還付金請求訴訟を提起することができる。 この点につき登録免許税法31条1項は、同項各号のいずれかに該当する事実があるときは、登記機関が職権で遅滞なく所轄税務署長に過誤納金の還付に関する通知をしなければならないことを規定している。これは、登録免許税については、登記等をするときに登記機関がその課税標準及び税額の認定をして登録免許税の額の納付の事実の確認を行うこととしていることに対応する規定であり、登記機関が職権で所轄税務署長に対して過誤納金の存在及びその額を通知することとし、これにより登録免許税の過誤納金の還付が円滑かつ簡便に行われるようにすることを目的とする。そして、同条2項は、登記等を受けた者が登記機関に申し出て上記の通知をすべき旨の請求をすることができることとし、登記等を受けた者が職権で行われる上記の通知の手続を利用して簡易迅速に過誤納金の還付を受けることができるようにしている。 同条1項及び2項の趣旨は、上記のとおり、過誤納金の還付が円滑に行われるようにするために簡便な手続を設けることにある。同項が上記の請求につき1年の期間制限を定めているのも、登記等を受けた者が上記の簡便な手続を利用するについてその期間を画する趣旨であるにすぎないのであって、当該期間経過後は還付請求権が存在していても一切その行使をすることができず、登録免許税の還付を請求するには専ら同項所定の手続によらなければならないこととする手続の排他性を定めるものであるということはできない。 このように解さないと、税務署長が登記等を受けた者から納付していない登録免許税の納付不足額を徴収する場合には、国税通則法72条所定の国税の徴収権の消滅時効期間である5年間はこれを行うことが可能であるにもかかわらず、登録免許税の還付については、同法74条所定の還付金の消滅時効期間である5年間が経過する前に、1年の期間の経過によりその還付を受けることができなくなることとなり、納付不足額の徴収と権衡を失するものといわざるを得ない。 なお、申告納税方式の国税については、納税義務者が、自己の管理、支配下において生じた課税の根拠等となる事実に基づき、自己の責任で行う確定申告により納付すべき税額が確定するという原則が採られているため、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときなどには、当該申告書に係る国税の法定申告期限から1年以内に限り、税務署長に対し、更正をすべき旨の請求をすることができるのであって、上記期間を超えて上記の請求をすることができるのはやむを得ない理由がある場合に限られることとされている(国税通則法23条1項及び2項)。これは、申告納税方式の下では、自己の責任において確定申告をするために、その誤りを是正するについて法的安定の要請に基づき短期の期間制限を設けられても、納税義務者としてはやむを得ないことであるということができるからである。これに対し、登録免許税は、納税義務は登記の時に成立し、納付すべき税額は納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定するのであるから、登録免許税法31条2項所定の請求は、申告納税方式の国税について定める国税通則法23条所定の更正の請求とはその前提が異なるといわざるを得ず、これらを同列に論ずることはできない。 ちなみに、同法70条は、申告納税方式の国税について行うことがある更正、決定等について所定の場合に応じた期間制限を定めているのであり、更正については、偽りその他不正の行為により税額を免れたような場合を除くと、その更正に係る国税の法定申告期限から3年を経過した日以後においては、更正をすることができないこととしている(同条1項)。 以上のとおり、登録免許税法31条2項は、登録免許税の還付を請求するには専ら上記の請求の手続によるべきであるとする手続の排他性を規定するものということはできない。したがって、登記等を受けた者は、過大に登録免許税を納付した場合には、同項所定の請求に対する拒否通知の取消しを受けなくても、国税通則法56条に基づき、登録免許税の過誤納金の還付を請求することができるものというべきである。 そうすると、同項が登録免許税の過誤納金の還付につき排他的な手続を定めていることを理由に、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解することはできないといわざるを得ない。 しかしながら、上述したところにかんがみると、登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。」
判旨:「登録免許税については、納税義務は登記の時に成立し、納付すべき税額は納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定する(国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)15条2項14号、3項6号)。そこで、登録免許税の納税義務者は、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた場合には、そのことによって当然に還付請求権を取得し、同法56条、74条により5年間は過誤納金の還付を受けることができるのであり(登録免許税法31条6項4号参照)、その還付がされないときは、還付金請求訴訟を提起することができる。 この点につき登録免許税法31条1項は、同項各号のいずれかに該当する事実があるときは、登記機関が職権で遅滞なく所轄税務署長に過誤納金の還付に関する通知をしなければならないことを規定している。これは、登録免許税については、登記等をするときに登記機関がその課税標準及び税額の認定をして登録免許税の額の納付の事実の確認を行うこととしていることに対応する規定であり、登記機関が職権で所轄税務署長に対して過誤納金の存在及びその額を通知することとし、これにより登録免許税の過誤納金の還付が円滑かつ簡便に行われるようにすることを目的とする。そして、同条2項は、登記等を受けた者が登記機関に申し出て上記の通知をすべき旨の請求をすることができることとし、登記等を受けた者が職権で行われる上記の通知の手続を利用して簡易迅速に過誤納金の還付を受けることができるようにしている。 同条1項及び2項の趣旨は、上記のとおり、過誤納金の還付が円滑に行われるようにするために簡便な手続を設けることにある。同項が上記の請求につき1年の期間制限を定めているのも、登記等を受けた者が上記の簡便な手続を利用するについてその期間を画する趣旨であるにすぎないのであって、当該期間経過後は還付請求権が存在していても一切その行使をすることができず、登録免許税の還付を請求するには専ら同項所定の手続によらなければならないこととする手続の排他性を定めるものであるということはできない。 このように解さないと、税務署長が登記等を受けた者から納付していない登録免許税の納付不足額を徴収する場合には、国税通則法72条所定の国税の徴収権の消滅時効期間である5年間はこれを行うことが可能であるにもかかわらず、登録免許税の還付については、同法74条所定の還付金の消滅時効期間である5年間が経過する前に、1年の期間の経過によりその還付を受けることができなくなることとなり、納付不足額の徴収と権衡を失するものといわざるを得ない。 なお、申告納税方式の国税については、納税義務者が、自己の管理、支配下において生じた課税の根拠等となる事実に基づき、自己の責任で行う確定申告により納付すべき税額が確定するという原則が採られているため、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときなどには、当該申告書に係る国税の法定申告期限から1年以内に限り、税務署長に対し、更正をすべき旨の請求をすることができるのであって、上記期間を超えて上記の請求をすることができるのはやむを得ない理由がある場合に限られることとされている(国税通則法23条1項及び2項)。これは、申告納税方式の下では、自己の責任において確定申告をするために、その誤りを是正するについて法的安定の要請に基づき短期の期間制限を設けられても、納税義務者としてはやむを得ないことであるということができるからである。これに対し、登録免許税は、納税義務は登記の時に成立し、納付すべき税額は納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定するのであるから、登録免許税法31条2項所定の請求は、申告納税方式の国税について定める国税通則法23条所定の更正の請求とはその前提が異なるといわざるを得ず、これらを同列に論ずることはできない。 ちなみに、同法70条は、申告納税方式の国税について行うことがある更正、決定等について所定の場合に応じた期間制限を定めているのであり、更正については、偽りその他不正の行為により税額を免れたような場合を除くと、その更正に係る国税の法定申告期限から3年を経過した日以後においては、更正をすることができないこととしている(同条1項)。 以上のとおり、登録免許税法31条2項は、登録免許税の還付を請求するには専ら上記の請求の手続によるべきであるとする手続の排他性を規定するものということはできない。したがって、登記等を受けた者は、過大に登録免許税を納付した場合には、同項所定の請求に対する拒否通知の取消しを受けなくても、国税通則法56条に基づき、登録免許税の過誤納金の還付を請求することができるものというべきである。 そうすると、同項が登録免許税の過誤納金の還付につき排他的な手続を定めていることを理由に、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解することはできないといわざるを得ない。 しかしながら、上述したところにかんがみると、登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H24 司法 第31問 ウ)
過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者が、登録免許税法に基づいて、登記機関に対し税務署長への還付通知を行うよう請求した事例において、登記機関が当該請求を拒否する旨の通知を行った場合、当該拒否通知は、登記等を受けた者に対して簡易迅速に還付を受ける手続を利用することができる地位を否定する法的効果を有するから、処分性が認められるものといえる。
過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者が、登録免許税法に基づいて、登記機関に対し税務署長への還付通知を行うよう請求した事例において、登記機関が当該請求を拒否する旨の通知を行った場合、当該拒否通知は、登記等を受けた者に対して簡易迅速に還付を受ける手続を利用することができる地位を否定する法的効果を有するから、処分性が認められるものといえる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平17.4.14)は、「登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる…。」としている。
判例(最判平17.4.14)は、「登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる…。」としている。
(H29 予備 第19問 エ)
国に対して過誤納金の還付に係る請求権の存在を主張して給付の訴えを提起することができる場合であっても、当該請求権に係る手続上の地位を否定する内容の行政庁の拒否通知を対象とする取消訴訟を提起して、当該請求権の存否を争えることがある。
国に対して過誤納金の還付に係る請求権の存在を主張して給付の訴えを提起することができる場合であっても、当該請求権に係る手続上の地位を否定する内容の行政庁の拒否通知を対象とする取消訴訟を提起して、当該請求権の存否を争えることがある。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平17.4.14)は、「登録免許税の納税義務者は、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた場合には、そのことによって当然に還付請求権を取得し、同法56条、74条により5年間は過誤納金の還付を受けることができるのであり(登録免許税法31条6項4号参照)、その還付がされないときは、還付金請求訴訟を提起することができる。」として、給付の訴えを提起することができる場合であることを示した上で、「登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる…。」として、行政庁の拒否通知の処分性を肯定している。
判例(最判平17.4.14)は、「登録免許税の納税義務者は、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた場合には、そのことによって当然に還付請求権を取得し、同法56条、74条により5年間は過誤納金の還付を受けることができるのであり(登録免許税法31条6項4号参照)、その還付がされないときは、還付金請求訴訟を提起することができる。」として、給付の訴えを提起することができる場合であることを示した上で、「登録免許税法31条2項は、登記等を受けた者に対し、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。そして、同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた拒否通知は、登記機関が還付通知を行わず、還付手続を執らないことを明らかにするものであって、これにより、登記等を受けた者は、簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができなくなる。そうすると、上記の拒否通知は、登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる…。」として、行政庁の拒否通知の処分性を肯定している。