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行政法 土地区画整理事業の事業計画の決定 最大判平成20年9月10日
概要
土地区画整理法に基づく土地区画整理事業計画の決定の後には、換地処分という後続処分が予定されているが、施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定の時点でその法的地位に直接的な影響が生ずる。また、換地処分の段階で取消訴訟を提起しても宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難いから、市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
判例
事案:土地区画整理法に基づく土地区画整理事業計画の決定そのものには、決定を受けた者の権利を制約する効果が伴わず、後に換地処分があって初めて権利制約が生じるところ、土地区画整理事業計画の決定そのものが抗告訴訟の対象としての行政処分に当たるかが問題となった。
判旨:「市町村は、土地区画整理事業を施行しようとする場合においては、施行規程及び事業計画を定めなければならず(法52条1項)、事業計画が定められた場合においては、市町村長は、遅滞なく、施行者の名称、事業施行期間、施行地区その他国土交通省令で定める事項を公告しなければならない(法55条9項)。そして、この公告がされると、換地処分の公告がある日まで、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくはたい積を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならず(法76条1項)、これに違反した者がある場合には、都道府県知事は、当該違反者又はその承継者に対し、当該土地の原状回復等を命ずることができ(同条4項)、この命令に違反した者に対しては刑罰が科される(法140条)。このほか、施行地区内の宅地についての所有権以外の権利で登記のないものを有し又は有することとなった者は、書面をもってその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならず(法85条1項)、施行者は、その申告がない限り、これを存しないものとみなして、仮換地の指定や換地処分等をすることができることとされている(同条5項)。 また、土地区画整理事業の事業計画は、施行地区(施行地区を工区に分ける場合には施行地区及び工区)、設計の概要、事業施行期間及び資金計画という当該土地区画整理事業の基礎的事項を一般的に定めるものであるが(法54条、6条1項)、事業計画において定める設計の概要については、設計説明書及び設計図を作成して定めなければならず、このうち、設計説明書には、事業施行後における施行地区内の宅地の地積(保留地の予定地積を除く。)の合計の事業施行前における施行地区内の宅地の地積の合計に対する割合が記載され(これにより、施行地区全体でどの程度の減歩がされるのかが分かる。)、設計図(縮尺1200分の1以上のもの)には、事業施行後における施行地区内の公共施設等の位置及び形状が、事業施行により新設され又は変更される部分と既設のもので変更されない部分とに区別して表示されることから(平成17年国土交通省令第102号による改正前の土地区画整理法施行規則6条)、事業計画が決定されると、当該土地区画整理事業の施行によって施行地区内の宅地所有者等の権利にいかなる影響が及ぶかについて、一定の限度で具体的に予測することが可能になるのである。そして、土地区画整理事業の事業計画については、いったんその決定がされると、特段の事情のない限り、その事業計画に定められたところに従って具体的な事業がそのまま進められ、その後の手続として、施行地区内の宅地について換地処分が当然に行われることになる。前記の建築行為等の制限は、このような事業計画の決定に基づく具体的な事業の施行の障害となるおそれのある事態が生ずることを防ぐために法的強制力を伴って設けられているのであり、しかも、施行地区内の宅地所有者等は、換地処分の公告がある日まで、その制限を継続的に課され続けるのである。 そうすると、施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。 もとより、換地処分を受けた宅地所有者等やその前に仮換地の指定を受けた宅地所有者等は、当該換地処分等を対象として取消訴訟を提起することができるが、換地処分等がされた段階では、実際上、既に工事等も進ちょくし、換地計画も具体的に定められるなどしており、その時点で事業計画の違法を理由として当該換地処分等を取り消した場合には、事業全体に著しい混乱をもたらすことになりかねない。それゆえ、換地処分等の取消訴訟において、宅地所有者等が事業計画の違法を主張し、その主張が認められたとしても、当該換地処分等を取り消すことは公共の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)がされる可能性が相当程度あるのであり、換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。そうすると、事業計画の適否が争われる場合、実効的な権利救済を図るためには、事業計画の決定がされた段階で、これを対象とした取消訴訟の提起を認めることに合理性があるというべきである。 以上によれば、市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。したがって、上記事業計画の決定は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たると解するのが相当である。」
判旨:「市町村は、土地区画整理事業を施行しようとする場合においては、施行規程及び事業計画を定めなければならず(法52条1項)、事業計画が定められた場合においては、市町村長は、遅滞なく、施行者の名称、事業施行期間、施行地区その他国土交通省令で定める事項を公告しなければならない(法55条9項)。そして、この公告がされると、換地処分の公告がある日まで、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくはたい積を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならず(法76条1項)、これに違反した者がある場合には、都道府県知事は、当該違反者又はその承継者に対し、当該土地の原状回復等を命ずることができ(同条4項)、この命令に違反した者に対しては刑罰が科される(法140条)。このほか、施行地区内の宅地についての所有権以外の権利で登記のないものを有し又は有することとなった者は、書面をもってその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならず(法85条1項)、施行者は、その申告がない限り、これを存しないものとみなして、仮換地の指定や換地処分等をすることができることとされている(同条5項)。 また、土地区画整理事業の事業計画は、施行地区(施行地区を工区に分ける場合には施行地区及び工区)、設計の概要、事業施行期間及び資金計画という当該土地区画整理事業の基礎的事項を一般的に定めるものであるが(法54条、6条1項)、事業計画において定める設計の概要については、設計説明書及び設計図を作成して定めなければならず、このうち、設計説明書には、事業施行後における施行地区内の宅地の地積(保留地の予定地積を除く。)の合計の事業施行前における施行地区内の宅地の地積の合計に対する割合が記載され(これにより、施行地区全体でどの程度の減歩がされるのかが分かる。)、設計図(縮尺1200分の1以上のもの)には、事業施行後における施行地区内の公共施設等の位置及び形状が、事業施行により新設され又は変更される部分と既設のもので変更されない部分とに区別して表示されることから(平成17年国土交通省令第102号による改正前の土地区画整理法施行規則6条)、事業計画が決定されると、当該土地区画整理事業の施行によって施行地区内の宅地所有者等の権利にいかなる影響が及ぶかについて、一定の限度で具体的に予測することが可能になるのである。そして、土地区画整理事業の事業計画については、いったんその決定がされると、特段の事情のない限り、その事業計画に定められたところに従って具体的な事業がそのまま進められ、その後の手続として、施行地区内の宅地について換地処分が当然に行われることになる。前記の建築行為等の制限は、このような事業計画の決定に基づく具体的な事業の施行の障害となるおそれのある事態が生ずることを防ぐために法的強制力を伴って設けられているのであり、しかも、施行地区内の宅地所有者等は、換地処分の公告がある日まで、その制限を継続的に課され続けるのである。 そうすると、施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。 もとより、換地処分を受けた宅地所有者等やその前に仮換地の指定を受けた宅地所有者等は、当該換地処分等を対象として取消訴訟を提起することができるが、換地処分等がされた段階では、実際上、既に工事等も進ちょくし、換地計画も具体的に定められるなどしており、その時点で事業計画の違法を理由として当該換地処分等を取り消した場合には、事業全体に著しい混乱をもたらすことになりかねない。それゆえ、換地処分等の取消訴訟において、宅地所有者等が事業計画の違法を主張し、その主張が認められたとしても、当該換地処分等を取り消すことは公共の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)がされる可能性が相当程度あるのであり、換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。そうすると、事業計画の適否が争われる場合、実効的な権利救済を図るためには、事業計画の決定がされた段階で、これを対象とした取消訴訟の提起を認めることに合理性があるというべきである。 以上によれば、市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。したがって、上記事業計画の決定は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第30問 ア)
最高裁判所の従来の判例は、言わば事業の青写真たるにすぎない一般的抽象的な単なる計画にとどまるなどとして土地区画整理事業計画の決定の処分性を否定していたが、本判決は、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的抽象的なものにすぎなくとも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとして判例を変更した。
最高裁判所の従来の判例は、言わば事業の青写真たるにすぎない一般的抽象的な単なる計画にとどまるなどとして土地区画整理事業計画の決定の処分性を否定していたが、本判決は、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的抽象的なものにすぎなくとも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとして判例を変更した。
(正答)✕
(解説)
従来の判例(最大判平41.2.23)は、「事業計画そのものとしては、…特定個人に向けられた具体的な処分ではなく、いわば当該土地区画整理事業の青写真たるにすぎない一般的・抽象的な単なる計画にとどまるものであって、…争訟の成熟性ないし具体的事件性を欠くものといわなければならない。」として、土地区画整理事業計画の決定の処分性を否定していた。
他方、判例(最大判平20.9.10)は、「施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、…土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。」として、土地区画整理事業計画の決定の処分性を肯定している。
したがって、本判決は、事業計画の決定に伴う法的効果について、一般的抽象的なものにすぎないと捉えていない。
従来の判例(最大判平41.2.23)は、「事業計画そのものとしては、…特定個人に向けられた具体的な処分ではなく、いわば当該土地区画整理事業の青写真たるにすぎない一般的・抽象的な単なる計画にとどまるものであって、…争訟の成熟性ないし具体的事件性を欠くものといわなければならない。」として、土地区画整理事業計画の決定の処分性を否定していた。
他方、判例(最大判平20.9.10)は、「施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、…土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。」として、土地区画整理事業計画の決定の処分性を肯定している。
したがって、本判決は、事業計画の決定に伴う法的効果について、一般的抽象的なものにすぎないと捉えていない。
(H21 司法 第30問 イ)
都市計画法に基づき都市計画決定の一つとしてされる工業地域指定の決定の処分性を否定した最高裁判所の判例があるが、本判決の理由に従えば、同指定の決定についても、当該地域内において建築物の建築が制約されるという法的効果が発生するから、処分性が肯定されることになる。
都市計画法に基づき都市計画決定の一つとしてされる工業地域指定の決定の処分性を否定した最高裁判所の判例があるが、本判決の理由に従えば、同指定の決定についても、当該地域内において建築物の建築が制約されるという法的効果が発生するから、処分性が肯定されることになる。
(正答)✕
(解説)
従来の判例(最判昭57.4.22)は、「都市計画区域内において工業地域を指定する決定…が、当該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、その限度で一定の法状態の変動を生ぜしめるものであることは否定できないが、かかる効果は、あたかも新たに右のような制約を課する法令が制定された場合におけると同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず、このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。…なお、右地域内の土地上に現実に前記のような建築の制限を超える建物の建築をしようとしてそれが妨げられている者が存する場合には、…右建築の実現を阻止する行政庁の具体的処分をとらえ、前記の地域指定が違法であることを主張して右処分の取消を求めることにより権利救済の目的を達する途が残されていると解されるから、前記のような解釈をとっても格別の不都合は生じないというべきである。」として、工業地域指定の決定の処分性を否定している。
他方、判例(最大判平20.9.10)は、「施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。」という理由に加え、「換地処分等の取消訴訟において、宅地所有者等が事業計画の違法を主張し、その主張が認められたとしても、当該換地処分等を取り消すことは公共の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)がされる可能性が相当程度あるのであり、換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。」という理由で、土地区画整理事業の事業計画の決定の処分性を肯定している。
したがって、後者の判例に従えば、工業地域指定の決定についても、当該地域内において建築物の建築が制約されるという法的効果に加え、その後の処分がなされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難いといえて初めて、処分性が肯定されうる。
従来の判例(最判昭57.4.22)は、「都市計画区域内において工業地域を指定する決定…が、当該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、その限度で一定の法状態の変動を生ぜしめるものであることは否定できないが、かかる効果は、あたかも新たに右のような制約を課する法令が制定された場合におけると同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず、このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。…なお、右地域内の土地上に現実に前記のような建築の制限を超える建物の建築をしようとしてそれが妨げられている者が存する場合には、…右建築の実現を阻止する行政庁の具体的処分をとらえ、前記の地域指定が違法であることを主張して右処分の取消を求めることにより権利救済の目的を達する途が残されていると解されるから、前記のような解釈をとっても格別の不都合は生じないというべきである。」として、工業地域指定の決定の処分性を否定している。
他方、判例(最大判平20.9.10)は、「施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。」という理由に加え、「換地処分等の取消訴訟において、宅地所有者等が事業計画の違法を主張し、その主張が認められたとしても、当該換地処分等を取り消すことは公共の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)がされる可能性が相当程度あるのであり、換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。」という理由で、土地区画整理事業の事業計画の決定の処分性を肯定している。
したがって、後者の判例に従えば、工業地域指定の決定についても、当該地域内において建築物の建築が制約されるという法的効果に加え、その後の処分がなされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難いといえて初めて、処分性が肯定されうる。
(H21 司法 第30問 ウ)
土地改良法に基づく国営又は都道府県営の土地改良事業の事業計画の決定について行政上の不服申立てが認められていることを根拠の一つとして、市町村営の土地改良事業に関し都道府県知事が行う事業施行の認可の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業計画の決定に行政上の不服申立てが認められていることを理由に処分性を認めた。
土地改良法に基づく国営又は都道府県営の土地改良事業の事業計画の決定について行政上の不服申立てが認められていることを根拠の一つとして、市町村営の土地改良事業に関し都道府県知事が行う事業施行の認可の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業計画の決定に行政上の不服申立てが認められていることを理由に処分性を認めた。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判平20.9.10)は、「施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。」とした上で、「換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。そうすると、事業計画の適否が争われる場合、実効的な権利救済を図るためには、事業計画の決定がされた段階で、これを対象とした取消訴訟の提起を認めることに合理性があるというべきである。」としており、この2つを根拠として土地区画整理事業計画の決定の処分性を肯定している。
判例(最大判平20.9.10)は、「施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるものということができ、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきであり、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的、抽象的なものにすぎないということはできない。」とした上で、「換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。そうすると、事業計画の適否が争われる場合、実効的な権利救済を図るためには、事業計画の決定がされた段階で、これを対象とした取消訴訟の提起を認めることに合理性があるというべきである。」としており、この2つを根拠として土地区画整理事業計画の決定の処分性を肯定している。
(H21 司法 第30問 エ)
都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の施行地区内の土地の所有者等は、特段の事情のない限り、自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされるなど、その法的地位に直接的な影響を受けるとして、当該事業に係る事業計画の決定の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業の事業計画の施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすとの理由で同事業計画の決定の処分性を認めた。
都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の施行地区内の土地の所有者等は、特段の事情のない限り、自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされるなど、その法的地位に直接的な影響を受けるとして、当該事業に係る事業計画の決定の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業の事業計画の施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすとの理由で同事業計画の決定の処分性を認めた。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平4.11.26)は、「再開発事業計画の決定は、その公告の日から、土地収用法上の事業の認定と同一の法律効果を生ずるものであるから(同法26条4項)、市町村は、右決定の公告により、同法に基づく収用権限を取得するとともに、その結果として、施行地区内の土地の所有者等は、特段の事情のない限り、自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされることとなる。…そうであるとすると、公告された再開発事業計画の決定は、施行地区内の土地の所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであって、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。」として、都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業に係る事業計画の決定の処分性を肯定している。
そして、その後の判例(最大判平20.9.10)も、「市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ…る。」として、土地区画整理事業の事業計画の処分性を肯定している。
判例(最判平4.11.26)は、「再開発事業計画の決定は、その公告の日から、土地収用法上の事業の認定と同一の法律効果を生ずるものであるから(同法26条4項)、市町村は、右決定の公告により、同法に基づく収用権限を取得するとともに、その結果として、施行地区内の土地の所有者等は、特段の事情のない限り、自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされることとなる。…そうであるとすると、公告された再開発事業計画の決定は、施行地区内の土地の所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであって、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。」として、都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業に係る事業計画の決定の処分性を肯定している。
そして、その後の判例(最大判平20.9.10)も、「市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ…る。」として、土地区画整理事業の事業計画の処分性を肯定している。
(R2 予備 第18問 ウ)
行政計画に基づき将来具体的な事業が施行されることが予定されている、いわゆる非完結型の計画につき、土地区画整理事業の事業計画の決定は、後続の仮換地指定や換地処分の取消訴訟によって権利救済の目的が十分達成でき、事件の成熟性が欠けることから、処分性は認められない。
行政計画に基づき将来具体的な事業が施行されることが予定されている、いわゆる非完結型の計画につき、土地区画整理事業の事業計画の決定は、後続の仮換地指定や換地処分の取消訴訟によって権利救済の目的が十分達成でき、事件の成熟性が欠けることから、処分性は認められない。
(正答)✕
(解説)
非完結型の計画(計画決定後に特定の事業を施行することを予定している計画)について、判例(最判平20.9.10)は、「事業計画決定によって、建築制限を伴う土地区画整理事業の手続に従って、換地処分を受けるべき地位に立たされるという意味で、法的地位に直接具体的な影響が生じる。」とした上で、「換地処分等の取消訴訟において、宅地所有者等が事業計画の違法を主張し、その主張が認められたとしても、当該換地処分等を取り消すことは公共の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)がされる可能性が相当程度あるのであり、換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。」として、土地区画整理事業の事業計画の決定の処分性を肯定している。
したがって、後続の仮換地指定や換地処分の取消訴訟によって権利救済の目的が十分達成でき、事件の成熟性が欠けるとはいえず、土地区画整理事業の事業計画の決定にも処分性が認められる。
非完結型の計画(計画決定後に特定の事業を施行することを予定している計画)について、判例(最判平20.9.10)は、「事業計画決定によって、建築制限を伴う土地区画整理事業の手続に従って、換地処分を受けるべき地位に立たされるという意味で、法的地位に直接具体的な影響が生じる。」とした上で、「換地処分等の取消訴訟において、宅地所有者等が事業計画の違法を主張し、その主張が認められたとしても、当該換地処分等を取り消すことは公共の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)がされる可能性が相当程度あるのであり、換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。」として、土地区画整理事業の事業計画の決定の処分性を肯定している。
したがって、後続の仮換地指定や換地処分の取消訴訟によって権利救済の目的が十分達成でき、事件の成熟性が欠けるとはいえず、土地区画整理事業の事業計画の決定にも処分性が認められる。