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行政法 自動車等運転免許証の有効期間の経過 最二小判昭和40年8月2日
概要
道路交通法105条が、免許証の有効期間の更新を受けなかったときは免許は効力を失うものとしたのは、現に免許証を行使しつつある者に対し、定期検査を強行し、不適格者には適宜の処置をとる目的に出でたものであることにかんがみれば、免許が現在取り消されており、その取消しの適否が訴訟によって争われている場合についてまで適用を予定したものとは解しがたい。取消処分の係争中の免許については、その取消処分の取消しが確定して免許証を行使しうる状態に復帰した際に、その適性検査の時期に至ったものとして取り扱うのが相当であり、道交法上もそのような取扱いを許されないとする根拠は認められない。したがって、自動車等運転免許の取消処分の取消を求める訴訟の継続中、当該運転免許証の有効期間が経過した場合でも、その訴えは利益を失われない。
判例
事案:自動車等運転免許の取消処分の取消訴訟の係属中に、当該運転免許証の有効期間が経過した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は失われるかが問題となった。
判旨:「被上告人が道路交通法(以下道交法と称する。)101条の規定に従い、免許証の有効期間の更新を受けるために、その期間の満了する日の1月前から当該期間の満了の日までの間に上告人に対して適性検査を求めなかったのは、取消判決が確定しない以上、本件免許取消処分はなお効力を有し、右更新の手続をとりがたかったためと認められる。したがって、その免許取消処分が違法で取り消されるべきものであるかぎり、右更新のできなかったのは、これを上告人の違法処分に基づくものということができる。そして右道交法101条が、免許証有効期間満了にあたり適性検査を行ない、その結果自動車等の運転に支障がないと認められる者については免許証の有効期間を更新して免許を存続させることにし、同法105条が、免許証の有効期間の更新を受けなかったときは免許は効力を失うものとしたのは、現に免許証を行使しつつある者に対し、その運転適性を維持しているかどうかについての定期検査を強行し、不適格者には適宜の処置をとる目的に出でたものであることにかんがみれば、これら規定は、本件のように免許が現在取り消されており、その取消しの適否が訴訟によって争われている場合についてまで適用を予定したものとは解しがたい。むしろかような取消処分の係争中の免許については、その取消処分の取消しが確定して免許証を行使しうる状態に復帰した際に、その適性検査の時期に至ったものとして取り扱うのが相当であり、道交法上もそのような取扱いを許されないとする根拠は認められない。してみれば、本件被上告人の免許証の有効期間の経過は、なんら本件訴の利益の存続に影響するところはないと解するのを相当とする。」
判旨:「被上告人が道路交通法(以下道交法と称する。)101条の規定に従い、免許証の有効期間の更新を受けるために、その期間の満了する日の1月前から当該期間の満了の日までの間に上告人に対して適性検査を求めなかったのは、取消判決が確定しない以上、本件免許取消処分はなお効力を有し、右更新の手続をとりがたかったためと認められる。したがって、その免許取消処分が違法で取り消されるべきものであるかぎり、右更新のできなかったのは、これを上告人の違法処分に基づくものということができる。そして右道交法101条が、免許証有効期間満了にあたり適性検査を行ない、その結果自動車等の運転に支障がないと認められる者については免許証の有効期間を更新して免許を存続させることにし、同法105条が、免許証の有効期間の更新を受けなかったときは免許は効力を失うものとしたのは、現に免許証を行使しつつある者に対し、その運転適性を維持しているかどうかについての定期検査を強行し、不適格者には適宜の処置をとる目的に出でたものであることにかんがみれば、これら規定は、本件のように免許が現在取り消されており、その取消しの適否が訴訟によって争われている場合についてまで適用を予定したものとは解しがたい。むしろかような取消処分の係争中の免許については、その取消処分の取消しが確定して免許証を行使しうる状態に復帰した際に、その適性検査の時期に至ったものとして取り扱うのが相当であり、道交法上もそのような取扱いを許されないとする根拠は認められない。してみれば、本件被上告人の免許証の有効期間の経過は、なんら本件訴の利益の存続に影響するところはないと解するのを相当とする。」
過去問・解説
(H19 司法 第34問 イ)
運転免許取消処分の取消訴訟の係属中に運転免許証の有効期間が経過したときは、もはや運転免許証の更新を受けることができないから、処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
運転免許取消処分の取消訴訟の係属中に運転免許証の有効期間が経過したときは、もはや運転免許証の更新を受けることができないから、処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭40.8.2)は、本肢と同種の事案において、「取消処分の係争中の免許については、その取消処分の取消しが確定して免許証を行使しうる状態に復帰した際に、その適性検査の時期に至ったものとして取り扱うのが相当であり、道交法上もそのような取扱いを許されないとする根拠は認められない。してみれば、本件被上告人の免許証の有効期間の経過は、なんら本件訴の利益の存続に影響するところはないと解するのを相当とする。」としている。
したがって、有効期間の経過によっても、処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。
判例(最判昭40.8.2)は、本肢と同種の事案において、「取消処分の係争中の免許については、その取消処分の取消しが確定して免許証を行使しうる状態に復帰した際に、その適性検査の時期に至ったものとして取り扱うのが相当であり、道交法上もそのような取扱いを許されないとする根拠は認められない。してみれば、本件被上告人の免許証の有効期間の経過は、なんら本件訴の利益の存続に影響するところはないと解するのを相当とする。」としている。
したがって、有効期間の経過によっても、処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。