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行政法 執行停止決定の効力 最三小判昭和29年6月22日
概要
執行停止決定は、既になされた行政処分について将来に向かってその執行を停止する将来効のみを有するのであって、行政処分そのものの効力をも消滅させるものではないことから、農地買収計画の執行停止決定は、単に農地買収計画に基づく買収手続の進行を停止する効力を有するだけであり、すでに執行された買収手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものではない。
判例
事案:農地買収計画に基づき農地買収処分及び売渡処分が完了した後に、元の農地所有者が農地買収計画の執行停止の申立てをしてこれが認められた場合に、農地買収計画の執行停止決定によって、既に完了した農地買収処分・売渡処分の効力も失われることで、元所有者の所有権が暫定的に回復するかが問題となった。
判旨:「農地の元所有者が、その買収計画に対する行政処分取消の訴訟を提起し、その行政処分の執行停止決定を得たとしても債権者が右買収計画手続によって農地の所有権を取得したとし、その保全のために元所有者を相手方としてした仮処分決定はその理由を失ったものと解すべきではない。何故ならば右執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」
判旨:「農地の元所有者が、その買収計画に対する行政処分取消の訴訟を提起し、その行政処分の執行停止決定を得たとしても債権者が右買収計画手続によって農地の所有権を取得したとし、その保全のために元所有者を相手方としてした仮処分決定はその理由を失ったものと解すべきではない。何故ならば右執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」
過去問・解説
(H22 司法 第35問 ア)
免許を受けることが法律上必要とされる職業に就いている者に対して、その法律の規定に基づき一定期間の業務の停止の処分がされた事案において、処分を受けた者がその後の間もない時期に行政事件訴訟法(以下「法」という。)第25条の規定に基づく執行停止の申立てをしようとするとき、上記の処分については、処分がされた時にさかのぼって効力の停止を求めることができる。
免許を受けることが法律上必要とされる職業に就いている者に対して、その法律の規定に基づき一定期間の業務の停止の処分がされた事案において、処分を受けた者がその後の間もない時期に行政事件訴訟法(以下「法」という。)第25条の規定に基づく執行停止の申立てをしようとするとき、上記の処分については、処分がされた時にさかのぼって効力の停止を求めることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.6.22)は、「執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」として、執行停止の申立ては、既に執行された処分の効力には影響がないことを示している。
したがって、処分を受けた者がその後の間もない時期に執行停止の申立てをしようとするとき、その処分の効力の停止を求めることはできない。
判例(最判昭29.6.22)は、「執行停止決定は単に農地買収計画に基く買収手続の進行を停止する効力を有するだけであって、すでに執行されたその手続の効果を覆滅して元所有者の所有権を確定する効力を有するものと解すべきではなく、従って仮処分債権者の被保全権利は右の執行停止決定により直ちに失われたものとすることはできないからである。」として、執行停止の申立ては、既に執行された処分の効力には影響がないことを示している。
したがって、処分を受けた者がその後の間もない時期に執行停止の申立てをしようとするとき、その処分の効力の停止を求めることはできない。