現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

行政法 機関訴訟と法律上の争訟の区別 最二小判平成13年7月13日

概要
那覇市情報公開条例の実施機関である那覇市長が、同条例5条に基づき公文書公開請求をした請求者らに対し、国の機関である那覇防衛施設局長が建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出した海上自衛隊第5航空群司令部庁舎の建築工事に関する建築工事計画通知書及びその添付図書を公開する旨の各決定をしたことについて、国が各処分は違法であるとしてその一部取消しを求める訴えは、法律上の訴訟に当たる。
判例
事案:那覇市情報公開条例の実施機関である那覇市長が、同条例5条に基づき公文書公開請求をした請求者らに対し、国の機関である那覇防衛施設局長が建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出した海上自衛隊第5航空群司令部庁舎の建築工事に関する建築工事計画通知書及びその添付図書を公開する旨の各決定をしたことについて、国が各処分は違法であるとしてその一部取消しを求める訴えが、「法律上の訴訟」(裁判所法3条1項)に当たるかが問題となった。

判旨:「1 本件訴えは、那覇市情報公開条例(昭和63年那覇市条例第1号。以下「本件条例」という。)の実施機関である那覇市長が、本件条例5条に基づき公文書公開請求をした請求者らに対し、国の機関である那覇防衛施設局長が建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出した海上自衛隊第5航空群司令部庁舎(以下「本件建物」という。)の建築工事に関する建築工事計画通知書及びその添付図書(以下これらを「本件文書」という。)を公開する旨の各決定(以下「本件各処分」という。)をしたところ、国が、本件各処分は違法であるとしてその一部取消しを求めるものである。
 原審は、本件においては、那覇市長の本件条例に基づく行政権限の行使と国の防衛行政権限の行使との間に抵触が生じ、これをめぐって両当事者間に権限の行使に関する紛争が発生しているのであるから、本件訴えは裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらないと判断し、本件訴えを却下すべきものとした。 
 しかし、記録によると、本件文書は、建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出された建築工事計画通知書及びこれに添付された本件建物の設計図面等であり、国は、本件文書の公開によって国有財産である本件建物の内部構造等が明らかになると、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により本件建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることをも理由として、本件各処分の取消しを求めていると理解することができる。そうすると、本件訴えは、法律上の争訟に当たるというべきであり、本件訴えは法律上の争訟に当たらないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるものというべきである。
 2 ところで、行政事件訴訟法9条にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数の者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁参照)。
 この点を本件条例についてみるに、本件条例6条1項は、同項各号所定の情報が記録されている公文書は非公開とすることができる旨を定めているが、その趣旨、文言等に照らし、同項が国の主張に係る利益を個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできず、他に、国の主張に係る利益を個別的利益として保護する趣旨を含むことをうかがわせる規定も見当たらない。そうすると、国が本件各処分の取消しを求める原告適格を有するということはできないから、本件訴えは、結局、不適法なものに帰するというべきである。」
過去問・解説
(R5 予備 第21問 エ)
地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由とするものであっても、行政主体間の権限の行使に関する紛争に該当し、行政事件訴訟法第6条の機関訴訟である。

(正答)

(解説)
行訴法42条は、「民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。」と規定している。
判例(最判平13.7.13)は、本肢と同種の事案において、「本件文書は、建築基準法18条2項に基づき那覇市建築主事に提出された建築工事計画通知書及びこれに添付された本件建物の設計図面等であり、国は、本件文書の公開によって国有財産である本件建物の内部構造等が明らかになると、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により本件建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることをも理由として、本件各処分の取消しを求めていると理解することができる。そうすると、本件訴えは、法律上の争訟に当たるというべきであ…る。」と判示している。
地方公共団体の長が情報公開条例に基づいてした自衛隊庁舎の設計図面の公開決定に対して国が提起する、当該決定の取消しを求める訴えは、国が建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由とするものであれば、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)に当たり、機関訴訟ではない。
総合メモ
前の判例 次の判例