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行政法 教示の誤りにより法所定の期間経過後に審査請求がなされた場合 最一小判昭和48年6月21日
概要
異議申立人が異議決定書に審査請求期間についての教示がなされていなかったことから、裁定書に教示されていた異議申立期間がそのまま審査請求期間にも妥当するものと誤信したために、法定の期間内に審査請求をしなかったことが、行審法14条1項ただし書所定の「やむをえない理由」に該当すると解する余地があるとしても、行審法14条2項所定の期間経過後に審査請求がなされた場合には、その審査請求は法定の期間経過後になされた不適法なものというべきである。
判例
事案:異議申立人が異議決定書に審査請求期間についての教示がなされていなかったことから、裁定書に教示されていた異議申立期間がそのまま審査請求期間にも妥当するものと誤信したために、行審法14条2項所定の期間経過後に審査請求がなされた事案において、審査請求の適法性が問題となった。
判旨:「本件審査請求が,本件異議決定のあったことを知った日の翌日から起算して恩給法14条1項所定の6か月の期間を経過した後になされたものであることは、原審の確定するところである。ところで、所論は、被上告人総理府恩給局長(以下局長という。)が行政不服審査法(以下行審法という。)47条5項(57条とあるのは上記の誤記と認める。)の規定に違反して本件異議決定書に審査請求期間を教示しなかったから、上告人に対し審査請求期間徒過の不利益を課しえない、と主張する。本件記録によると、本件異議決定書に右の教示がなされていなかったことは所論のとおりであるが、行政庁が異議決定書に記載すべき審査請求期間の教示を怠った場合に、審査請求期間の進行が妨げられるものと解すべき根拠はなく、なお、本件記録によると、本件裁定書には、処分のあったことを知った日の翌日から起算して1年以内に異議申立てができる旨の教示がなされていることが認められるところ、仮に、上告人が本件異議決定書に審査請求期間についての教示がなされていなかったことから、本件裁定書に教示されていた異議申立期間がそのまま審査請求期間にも妥当するものと誤信したために、法定の期間内に本件審査請求をしなかったことが、行審法14条1項ただし書所定の「やむをえない理由」に該当すると解する余地があるとしても、本件記録によると、上告人は昭和39年8月23日に本件審査請求をなしうる期間が本件異議決定のあったことを知った日の翌日から起算して6か月であることを知ったこと、それにもかかわらず、上告人が本件審査請求をしたのは昭和39年9月1日であることが認められるから、本件審査請求は、同条2項所定の期間経過後になされたものといわざるをえず、したがって、同条1項ただし書の規定を根拠にして、これを適法なものと解することはできない。それゆえ、上告人の本件審査請求は、法定の期間経過後になされた不適法なものというべきである。なお、所論は、本件審査請求が行審法58条の不服申立てに該当すると主張するが、それによって、いかなる法的効果を主張しようとするのかが不明であるのみならず、本件審査請求を右不服申立てと解する余地は全くない。」
判旨:「本件審査請求が,本件異議決定のあったことを知った日の翌日から起算して恩給法14条1項所定の6か月の期間を経過した後になされたものであることは、原審の確定するところである。ところで、所論は、被上告人総理府恩給局長(以下局長という。)が行政不服審査法(以下行審法という。)47条5項(57条とあるのは上記の誤記と認める。)の規定に違反して本件異議決定書に審査請求期間を教示しなかったから、上告人に対し審査請求期間徒過の不利益を課しえない、と主張する。本件記録によると、本件異議決定書に右の教示がなされていなかったことは所論のとおりであるが、行政庁が異議決定書に記載すべき審査請求期間の教示を怠った場合に、審査請求期間の進行が妨げられるものと解すべき根拠はなく、なお、本件記録によると、本件裁定書には、処分のあったことを知った日の翌日から起算して1年以内に異議申立てができる旨の教示がなされていることが認められるところ、仮に、上告人が本件異議決定書に審査請求期間についての教示がなされていなかったことから、本件裁定書に教示されていた異議申立期間がそのまま審査請求期間にも妥当するものと誤信したために、法定の期間内に本件審査請求をしなかったことが、行審法14条1項ただし書所定の「やむをえない理由」に該当すると解する余地があるとしても、本件記録によると、上告人は昭和39年8月23日に本件審査請求をなしうる期間が本件異議決定のあったことを知った日の翌日から起算して6か月であることを知ったこと、それにもかかわらず、上告人が本件審査請求をしたのは昭和39年9月1日であることが認められるから、本件審査請求は、同条2項所定の期間経過後になされたものといわざるをえず、したがって、同条1項ただし書の規定を根拠にして、これを適法なものと解することはできない。それゆえ、上告人の本件審査請求は、法定の期間経過後になされた不適法なものというべきである。なお、所論は、本件審査請求が行審法58条の不服申立てに該当すると主張するが、それによって、いかなる法的効果を主張しようとするのかが不明であるのみならず、本件審査請求を右不服申立てと解する余地は全くない。」
過去問・解説
(H29 予備 第20問 イ)
処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の法律の定めがある場合において、不適法な審査請求がされたにもかかわらず、裁決庁が誤って審査請求を棄却する旨の裁決をしたときは、適法に処分の取消しの訴えを提起することができる。
処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の法律の定めがある場合において、不適法な審査請求がされたにもかかわらず、裁決庁が誤って審査請求を棄却する旨の裁決をしたときは、適法に処分の取消しの訴えを提起することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.6.21)は、「仮に、上告人が本件異議決定書に審査請求期間についての教示がなされていなかったことから、本件裁定書に教示されていた異議申立期間がそのまま審査請求期間にも妥当するものと誤信したために、法定の期間内に本件審査請求をしなかったことが、行審法14条1項ただし書所定の『やむをえない理由』に該当すると解する余地があるとしても、本件記録によると、上告人は昭和39年8月23日に本件審査請求をなしうる期間が本件異議決定のあったこを知った日の翌日から起算して6か月であることを知ったこと、それにもかかわらず、上告人が本件審査請求をしたのは昭和39年9月1日であることが認められるから、本件審査請求は、同条2項所定の期間経過後になされたものといわざるをえず、したがって、同条1項ただし書の規定を根拠にして、これを適法なものと解することはできない。それゆえ、上告人の本件審査請求は、法定の期間経過後になされた不適法なものというべきである。」としている。
したがって、処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の法律の定めがある場合において、不適法な審査請求がされたにもかかわらず、裁決庁が誤って審査請求を棄却する旨の裁決をしたときであっても、適法に処分の取消しの訴えを提起することはできない。
判例(最判昭48.6.21)は、「仮に、上告人が本件異議決定書に審査請求期間についての教示がなされていなかったことから、本件裁定書に教示されていた異議申立期間がそのまま審査請求期間にも妥当するものと誤信したために、法定の期間内に本件審査請求をしなかったことが、行審法14条1項ただし書所定の『やむをえない理由』に該当すると解する余地があるとしても、本件記録によると、上告人は昭和39年8月23日に本件審査請求をなしうる期間が本件異議決定のあったこを知った日の翌日から起算して6か月であることを知ったこと、それにもかかわらず、上告人が本件審査請求をしたのは昭和39年9月1日であることが認められるから、本件審査請求は、同条2項所定の期間経過後になされたものといわざるをえず、したがって、同条1項ただし書の規定を根拠にして、これを適法なものと解することはできない。それゆえ、上告人の本件審査請求は、法定の期間経過後になされた不適法なものというべきである。」としている。
したがって、処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の法律の定めがある場合において、不適法な審査請求がされたにもかかわらず、裁決庁が誤って審査請求を棄却する旨の裁決をしたときであっても、適法に処分の取消しの訴えを提起することはできない。