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民法 先順位共同抵当権者が抵当権の一部を放棄した場合における次順位抵当権者との優劣 最一小判昭和44年7月3日

概要
甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産には次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合であっても、乙不動産が物上保証人の所有であるときは、先順位抵当権者は、甲不動産の代価から自己の債権の全額について満足を受けることができ、一方、後順位抵当権者は物上保証人所有の土地に対する抵当権について代位することができない。
判例
事案:甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産には次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合において、乙不動産が物上保証人の所有であるとき、甲不動産の後順位抵当権者が物上保証人所有の土地に対する抵当権について代位することができるかどうかが問題となった。

判旨:「債権者が…甲、乙2個の不動産に第1順位の共同抵当権を有し、その後右甲不動産に第2順位の抵当権が設定された場合、共同抵当権者が甲不動産についてのみ抵当権を実行したと…い…う…例で乙不動産が第三者の所有であつた場合に、たとえば、共同抵当権者が乙不動産のみについて抵当権を実行し、債権の満足を得たときは、右物上保証人は、民法500条により、右共同抵当権者が甲不動産に有した抵当権の全額について代位するものと解するのが相当である。けだし、この場合、物上保証人としては、他の共同抵当物件である甲不動産から自己の求償権の満足を得ることを期待していたものというべく、その後に甲不動産に第2順位の抵当権が設定されたことにより右期待を失わしめるべきではないからである(大審院昭和2年(オ)第933号、同4年1月30日判決参照)。これを要するに、第2順位の抵当権者のする代位と物上保証人のする代位とが衝突する場合には、後者が保護されるのであつて、甲不動産について競売がされたときは、もともと第2順位の抵当権者は、乙不動産について代位することができないものであり、共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄しても、なんら不利益を被る地位にはないのである。したがつて、かような場合には、共同抵当権者は、乙不動産の抵当権を放棄した後に甲不動産の抵当権を実行したときであつても、その代価から自己の債権の全額について満足を受けることができるというべきであり、このことは、保証人などのように弁済により当然甲不動産の抵当権に代位できる者が右抵当権を実行した場合でも、同様である。」
過去問・解説
(R5 司法 第14問 イ)
Aは、Bに対して有するα債権の担保として、甲土地及び乙土地について第1順位の抵当権を共同抵当として有している。甲土地がBの所有であり、乙土地がCの所有であって、甲土地には第2順位の抵当権者Dがいる場合において、Aが甲土地のみについて抵当権を実行し、その代価からα債権の全部の弁済を受けたときは、Dは、乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.3)は、本肢と同種の事案において、甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産には次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合であっても、乙不動産が物上保証人の所有であるときは、後順位抵当権者は物上保証人所有の土地に対する抵当権について代位することができない旨判示している。したがって、甲土地がBの所有であるのに対し、乙土地が物上保証人Cの所有であるならば、Aが甲土地のみについて抵当権を実行し、その代価からα債権の全部の弁済を受けたとき、Dは、乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができない。
総合メモ
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