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民法 代位弁済権と相殺 最二小判昭和47年12月22日
概要
委任者は、受任者が650条2項前段の規定に基づき委任者に対して有する代弁済請求権を受働債権とし、委任者が受任者に対して有する金銭債権を自働債権として相殺をすることはできない。
判例
事案:委任者が受任者に対して債権を有する場合において、当該債権を自働債権とし、受任者が650条2項に基づき委任者に対して有する代弁済請求権を受働債権として相殺をすることができるかが問題となった。
判旨:「委任者は、受任者が同法650条2項前段の規定に基づき委任者をして受任者に代わつて第三者に弁済をなさしめうる権利を受働債権とし、委任者が受任者に対して有する金銭債権を自働債権として相殺することはできないと解するのが相当であり、大審院の判例(大正14年(オ)第603号同年9月8日判決・民集4巻458頁)の結論は、今なお、これを変更する必要はない。なんとなれば、委任契約は、通常、委任者のために締結されるものであるから、委任者は受任者に対しなんらの経済的負担をかけず、また損失を被らせることのないようにはかる義務を負うものであるところ、同条項は、受任者が自己の名で委任事務を処理するため第三者に対して直接金銭債務を負担した場合には、委任者は、受任者の請求があるときは、受任者の負う債務を免れさせるため、受任者に代わつて第三者に対してその債務を弁済する義務を負うことを定めているのであり、受任者の有するこの代弁済請求権は、通常の金銭債権とは異なる目的を有するものであつて、委任者が受任者に対して有する金銭債権と同種の目的を有する権利ということはできない。したがつて、委任者が受任者に対する既存の債権をもつて受任者の代弁済請求権と相殺することは、同法505条1項の相殺の要件を欠くものとして許されないからである。」
判旨:「委任者は、受任者が同法650条2項前段の規定に基づき委任者をして受任者に代わつて第三者に弁済をなさしめうる権利を受働債権とし、委任者が受任者に対して有する金銭債権を自働債権として相殺することはできないと解するのが相当であり、大審院の判例(大正14年(オ)第603号同年9月8日判決・民集4巻458頁)の結論は、今なお、これを変更する必要はない。なんとなれば、委任契約は、通常、委任者のために締結されるものであるから、委任者は受任者に対しなんらの経済的負担をかけず、また損失を被らせることのないようにはかる義務を負うものであるところ、同条項は、受任者が自己の名で委任事務を処理するため第三者に対して直接金銭債務を負担した場合には、委任者は、受任者の請求があるときは、受任者の負う債務を免れさせるため、受任者に代わつて第三者に対してその債務を弁済する義務を負うことを定めているのであり、受任者の有するこの代弁済請求権は、通常の金銭債権とは異なる目的を有するものであつて、委任者が受任者に対して有する金銭債権と同種の目的を有する権利ということはできない。したがつて、委任者が受任者に対する既存の債権をもつて受任者の代弁済請求権と相殺することは、同法505条1項の相殺の要件を欠くものとして許されないからである。」