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事務管理
第697条
条文
第697条(事務管理)
① 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
② 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。
① 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
② 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。
過去問・解説
(H18 司法 第2問 5)
親が、法律上定められた親の権限に基づいて、法定代理人として子の事務を行う場合にも、事務管理は成立する。
親が、法律上定められた親の権限に基づいて、法定代理人として子の事務を行う場合にも、事務管理は成立する。
(正答)✕
(解説)
親が、法律上定められた親の権限に基づいて、法定代理人として子の事務を行うことは、権利の行使であるともに義務でもある(820条以下)。したがって、「義務なく」という要件を欠くから、事務管理は成立しない。
親が、法律上定められた親の権限に基づいて、法定代理人として子の事務を行うことは、権利の行使であるともに義務でもある(820条以下)。したがって、「義務なく」という要件を欠くから、事務管理は成立しない。
(H30 司法 第28問 オ)
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。BはAの居宅の隣地に居宅を有する。Bが、義務なくAの居宅の防犯をするためだけでなくBの居宅の防犯も目的として自ら生け垣を修理した場合には、Bは、Aに対し、その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。BはAの居宅の隣地に居宅を有する。Bが、義務なくAの居宅の防犯をするためだけでなくBの居宅の防犯も目的として自ら生け垣を修理した場合には、Bは、Aに対し、その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
事務管理の要件である「他人のために」とは、他人のためにする意思を意味するところ、本人のためにする意思が併存しても構わないと解されている。本肢の事例では、Bは、Aの居宅の防犯をする意思を有する一方で、Bの居宅の防犯という意思も有しているが、これをもって「他人のために」という要件は否定されない。したがって、Bには事務管理(697条)が成立し、Bは、Aに対し、その修理に要した費用の支払を請求することはできる(702条1項)。
事務管理の要件である「他人のために」とは、他人のためにする意思を意味するところ、本人のためにする意思が併存しても構わないと解されている。本肢の事例では、Bは、Aの居宅の防犯をする意思を有する一方で、Bの居宅の防犯という意思も有しているが、これをもって「他人のために」という要件は否定されない。したがって、Bには事務管理(697条)が成立し、Bは、Aに対し、その修理に要した費用の支払を請求することはできる(702条1項)。
(R6 司法 第30問 ア)
管理者が他人の事務の管理を始めた時にそれが本人の意思に反することが明らかであったときは、事務管理は、成立しない。
管理者が他人の事務の管理を始めた時にそれが本人の意思に反することが明らかであったときは、事務管理は、成立しない。
(正答)〇
(解説)
本人の自己決定権・財産管理の自由の尊重、及び700条が管理継続につき本人の意思・利益に反することが明白でないことを要求していることとの均衡から、管理者が他人の事務の管理を始めた時にそれが本人の意思に反することが明らかであったときは、事務管理は成立しないと解されている。
本人の自己決定権・財産管理の自由の尊重、及び700条が管理継続につき本人の意思・利益に反することが明白でないことを要求していることとの均衡から、管理者が他人の事務の管理を始めた時にそれが本人の意思に反することが明らかであったときは、事務管理は成立しないと解されている。
(R6 司法 第30問 イ)
管理者は、本人の意思を推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。
管理者は、本人の意思を推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。
(正答)〇
(解説)
697条2項は、「管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。」と規定している。
697条2項は、「管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。」と規定している。
総合メモ
第698条
条文
第698条(緊急事務管理)
管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
過去問・解説
(H18 司法 第2問 2)
車にひかれそうになった人を突き飛ばして助けたが、その人の高価な着物が汚損した場合、着物について損害賠償をする必要はない。
車にひかれそうになった人を突き飛ばして助けたが、その人の高価な着物が汚損した場合、着物について損害賠償をする必要はない。
(正答)〇
(解説)
事務管理の成立が認められる場合、管理者は、緊急事務管理の場合を除き、事務処理に当たり善管注意義務を負う(698条反対解釈)。反対に、緊急事務管理の場合は、管理者の注意義務は、「悪意又は重大な過失」がない限り責任を負わないという形で軽減される。
本肢の事例では、「管理者は、本人の身体…に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたとき」として緊急事務管理が認められる。したがって、管理者は、「悪意又は重大な過失」がないのであれば、着物の汚損について生じた損害を賠償する責任を負わない。
事務管理の成立が認められる場合、管理者は、緊急事務管理の場合を除き、事務処理に当たり善管注意義務を負う(698条反対解釈)。反対に、緊急事務管理の場合は、管理者の注意義務は、「悪意又は重大な過失」がない限り責任を負わないという形で軽減される。
本肢の事例では、「管理者は、本人の身体…に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたとき」として緊急事務管理が認められる。したがって、管理者は、「悪意又は重大な過失」がないのであれば、着物の汚損について生じた損害を賠償する責任を負わない。
(H24 予備 第12問 オ)
本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は、これによって本人に損害を与えたときであっても、悪意又は重大な過失がなければ損害賠償の責任を負わない。
本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は、これによって本人に損害を与えたときであっても、悪意又は重大な過失がなければ損害賠償の責任を負わない。
(正答)〇
(解説)
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。
(H30 予備 第12問 5)
本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は、これによって本人に損害が生じたときであっても、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害賠償の責任を負わない。
本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は、これによって本人に損害が生じたときであっても、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害賠償の責任を負わない。
(正答)〇
(解説)
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。
(R4 司法 第28問 オ)
管理者は、本人の財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした場合には、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
管理者は、本人の財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした場合には、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
(正答)〇
(解説)
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。
(R6 司法 第30問 エ)
管理者が本人の身体に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした場合において、管理者に故意又は過失があったときは、管理者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
管理者が本人の身体に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした場合において、管理者に故意又は過失があったときは、管理者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(正答)✕
(解説)
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。したがって、緊急事務管理が認められる場合において、管理者に過失があるにとどまるときは、管理者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
698条は、緊急事務管理について、「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定している。したがって、緊急事務管理が認められる場合において、管理者に過失があるにとどまるときは、管理者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
総合メモ
第699条
条文
第699条(管理者の通知義務)
管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。
管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。
総合メモ
第700条
条文
第700条(管理者による事務管理の継続)
管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない。
管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない。
過去問・解説
(H30 予備 第12問 4)
事務管理の管理者は、本人が現に管理に着手するまで、事務管理を継続しなければならない。
事務管理の管理者は、本人が現に管理に着手するまで、事務管理を継続しなければならない。
(正答)✕
(解説)
700条は、「管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。」と規定している。
700条は、「管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。」と規定している。
(H30 司法 第28問 エ)
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBが、自ら生け垣の修理を始めたが、途中で放置したために生け垣全体が枯れてしまった場合には、Aは、Bに対し、生け垣が枯れた分の損害の賠償を請求することはできない。
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBが、自ら生け垣の修理を始めたが、途中で放置したために生け垣全体が枯れてしまった場合には、Aは、Bに対し、生け垣が枯れた分の損害の賠償を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
事務管理の成立が認められる場合、管理者は、緊急事務管理の場合を除き、事務処理に当たり善管注意義務を負う(698条反対解釈)。本肢の事例では、Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した後に、Bが自ら生け垣の修理を始めたにすぎないため、「本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたとき」として緊急事務管理が認められるとはいえない。したがって、Bは、事務管理の管理者として、Aに対して、善良な管理者の注意をもって生け垣の修理を行う義務を負う。
そして、本肢の事例では、Bが事務管理として生け垣の修理を行うことが「本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるとき」には当たらないから、Bは、「管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで」、善良な管理者の注意をもって「事務管理を継続しなければならない」という義務を負う(700条)。
にもかかわらず、Bは、途中で生け垣を放置することにより上記義務に違反し、これによりAには生け垣全体が枯れてしまったことによる損害が発生しているのだから、Aは、Bに対し、415条1項本文に基づき、生け垣が枯れた分の損害の賠償を請求することができる。
事務管理の成立が認められる場合、管理者は、緊急事務管理の場合を除き、事務処理に当たり善管注意義務を負う(698条反対解釈)。本肢の事例では、Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した後に、Bが自ら生け垣の修理を始めたにすぎないため、「本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたとき」として緊急事務管理が認められるとはいえない。したがって、Bは、事務管理の管理者として、Aに対して、善良な管理者の注意をもって生け垣の修理を行う義務を負う。
そして、本肢の事例では、Bが事務管理として生け垣の修理を行うことが「本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるとき」には当たらないから、Bは、「管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで」、善良な管理者の注意をもって「事務管理を継続しなければならない」という義務を負う(700条)。
にもかかわらず、Bは、途中で生け垣を放置することにより上記義務に違反し、これによりAには生け垣全体が枯れてしまったことによる損害が発生しているのだから、Aは、Bに対し、415条1項本文に基づき、生け垣が枯れた分の損害の賠償を請求することができる。
総合メモ
第701条
条文
第701条(委任の規定の準用)
第645条から第647条までの規定は、事務管理について準用する。
第645条から第647条までの規定は、事務管理について準用する。
過去問・解説
(H19 司法 第30問 5)
管理者は、その事務が終了した後は、本人に対して、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
管理者は、その事務が終了した後は、本人に対して、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
(正答)〇
(解説)
645条は「受任者は…委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しており、701条は645条を事務管理について準用している。
645条は「受任者は…委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しており、701条は645条を事務管理について準用している。
(H26 司法 第27問 ア)
Aが首輪の付いている飼い主不明の犬を自分の家に犬を連れて帰り、世話をしている場合、犬の飼い主に対して報酬を請求することはできない。
Aが首輪の付いている飼い主不明の犬を自分の家に犬を連れて帰り、世話をしている場合、犬の飼い主に対して報酬を請求することはできない。
(正答)〇
(解説)
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、受任者の報酬に関する648条は準用していない。したがって、管理者は本人に対して報酬を請求することはできない。
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、受任者の報酬に関する648条は準用していない。したがって、管理者は本人に対して報酬を請求することはできない。
(H26 司法 第27問 ウ)
Aが首輪の付いている飼い主不明の犬を自分の家に犬を連れて帰り、世話をしていたところ、犬が下駄箱の上に置かれていた花瓶を倒し、壊してしまった。この場合、Aに過失がなかったとすると、Aは犬の飼い主に対して損害賠償を請求することができる。
Aが首輪の付いている飼い主不明の犬を自分の家に犬を連れて帰り、世話をしていたところ、犬が下駄箱の上に置かれていた花瓶を倒し、壊してしまった。この場合、Aに過失がなかったとすると、Aは犬の飼い主に対して損害賠償を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、「受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。」とする650条3項は準用していない。したがって、Aに過失がなかったとしても、Aは犬の飼い主に対して損害賠償を請求することができない。
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、「受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。」とする650条3項は準用していない。したがって、Aに過失がなかったとしても、Aは犬の飼い主に対して損害賠償を請求することができない。
(H30 予備 第12問 3)
事務管理の管理者は、本人の請求があるときは、いつでも事務管理の状況を報告しなければならない。
事務管理の管理者は、本人の請求があるときは、いつでも事務管理の状況を報告しなければならない。
(正答)〇
(解説)
645条は「受任者は…委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しており、701条は645条を事務管理について準用している。
645条は「受任者は…委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しており、701条は645条を事務管理について準用している。
(H30 司法 第28問 ア)
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBがAのために義務なく自ら生け垣を修理した場合には、Bは、Aに対し、その修理に対する報酬の支払を請求することはできない。
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBがAのために義務なく自ら生け垣を修理した場合には、Bは、Aに対し、その修理に対する報酬の支払を請求することはできない。
(正答)〇
(解説)
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、受任者の報酬に関する648条は準用していない。したがって、管理者は本人に対して報酬を請求することはできない。
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、受任者の報酬に関する648条は準用していない。したがって、管理者は本人に対して報酬を請求することはできない。
(R4 司法 第28問 ア)
管理者は、事務の管理をするにつき自己に過失なく損害を受けたときでも、本人に対し、その賠償を請求することができない。
管理者は、事務の管理をするにつき自己に過失なく損害を受けたときでも、本人に対し、その賠償を請求することができない。
(正答)〇
(解説)
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、「受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。」とする650条3項は準用していない。したがって、管理者は、事務の管理をするにつき自己に過失なく損害を受けたときでも、本人に対し、その賠償を請求することができない。
701条は、委任に関する規定のうち645条から647条までの規定を事務管理に準用しているが、「受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。」とする650条3項は準用していない。したがって、管理者は、事務の管理をするにつき自己に過失なく損害を受けたときでも、本人に対し、その賠償を請求することができない。
(R4 司法 第28問 エ)
管理者は、その事務が終了した後、本人に対し、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
管理者は、その事務が終了した後、本人に対し、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
(正答)〇
(解説)
645条は「受任者は…委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しており、701条は645条を事務管理について準用している。
645条は「受任者は…委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定しており、701条は645条を事務管理について準用している。
(R6 司法 第30問 オ)
管理者は、本人に引き渡すべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。
管理者は、本人に引き渡すべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。
(正答)〇
(解説)
647条は「受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。」と規定しており、701条は647条を事務管理について準用している。
647条は「受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。」と規定しており、701条は647条を事務管理について準用している。
総合メモ
第702条
条文
第702条(管理者による費用の償還請求等)
① 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
② 第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。
③ 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。
① 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
② 第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。
③ 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。
過去問・解説
(H18 司法 第2問 4)
台風が来て倒れた隣家の垣根を直したが、隣家はその垣根を近くブロック塀にする予定だったという場合、修理箇所が翌週の別の台風でまた倒壊したときは、修理費用の償還請求はできなくなる。
台風が来て倒れた隣家の垣根を直したが、隣家はその垣根を近くブロック塀にする予定だったという場合、修理箇所が翌週の別の台風でまた倒壊したときは、修理費用の償還請求はできなくなる。
(正答)〇
(解説)
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
本肢の事例では、台風が来て倒れた隣家の垣根を直したという事務管理は「本人の意思に反して」行われたものであり、かつ、修理箇所が翌週の別の台風でまた倒壊したことにより「本人が現に利益を受けている」とはいえないから、修理費用の償還請求はできない。
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
本肢の事例では、台風が来て倒れた隣家の垣根を直したという事務管理は「本人の意思に反して」行われたものであり、かつ、修理箇所が翌週の別の台風でまた倒壊したことにより「本人が現に利益を受けている」とはいえないから、修理費用の償還請求はできない。
(H19 司法 第30問 1)
本人の意思に反していても事務管理が成立することがあり、その場合には、管理者は、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、本人のために支出した費用の償還を請求することができる。
本人の意思に反していても事務管理が成立することがあり、その場合には、管理者は、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、本人のために支出した費用の償還を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
(H21 司法 第25問 3)
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務管理が本人の意思に反するものであるときは、本人のために有益な費用を支出したとしても、本人に対し、その償還を請求することができない。
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務管理が本人の意思に反するものであるときは、本人のために有益な費用を支出したとしても、本人に対し、その償還を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
したがって、義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務管理が本人の意思に反するものである場合において、本人のために有益な費用を支出したときは、「本人が現に利益を受けている限度において」であれば、本人に対し、その償還を請求することができる。
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
したがって、義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務管理が本人の意思に反するものである場合において、本人のために有益な費用を支出したときは、「本人が現に利益を受けている限度において」であれば、本人に対し、その償還を請求することができる。
(H23 司法 第11問 オ)
事務管理における管理者が本人の意思に反して事務管理をした場合であっても、管理者は、本人のために有益な費用を出したときは、本人に対し、その全額の償還を請求することができる。
事務管理における管理者が本人の意思に反して事務管理をした場合であっても、管理者は、本人のために有益な費用を出したときは、本人に対し、その全額の償還を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
(H24 予備 第12問 イ)
事務管理が本人の意思に反してされた場合には、本人のために有益な費用を支出した管理者は、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、費用の償還を受けることができる。
事務管理が本人の意思に反してされた場合には、本人のために有益な費用を支出した管理者は、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、費用の償還を受けることができる。
(正答)〇
(解説)
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
(H24 予備 第12問 ウ)
事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には、管理者は、自己に代わってその弁済をすることを本人に対して請求することができる。
事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には、管理者は、自己に代わってその弁済をすることを本人に対して請求することができる。
(正答)〇
(解説)
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
(H26 共通 第36問 ア)
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、本人のために有益な債務を負担した場合において、その債務が弁済期にあるときは、本人に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、本人のために有益な債務を負担した場合において、その債務が弁済期にあるときは、本人に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
(正答)〇
(解説)
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
(H30 予備 第12問 2)
事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には、管理者は、自己に代わってその債務の弁済をすることを本人に対して請求することができる。
事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には、管理者は、自己に代わってその債務の弁済をすることを本人に対して請求することができる。
(正答)〇
(解説)
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
(H30 司法 第28問 イ)
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBが、造園業者に依頼して生け垣の修理をさせた場合には、Bは、Aに対し、造園業者へ未払の請負代金を支払うよう請求することはできない。
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBが、造園業者に依頼して生け垣の修理をさせた場合には、Bは、Aに対し、造園業者へ未払の請負代金を支払うよう請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
したがって、Bは、Aに対し、造園業者へ未払の請負代金を支払うよう請求することができる。
650条2項前段は「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。」と規定している。702条2項は「第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。」と規定している。
したがって、Bは、Aに対し、造園業者へ未払の請負代金を支払うよう請求することができる。
(H30 司法 第28問 ウ)
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBが、自ら生け垣を修理した後、台風により生け垣全体が倒壊した場合において、生け垣の修理がAの意思に反していたときは、Bは、Aに対し、その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
Aが長期出張で不在中に、Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後、Aの居宅の隣地に居宅を有するBが、自ら生け垣を修理した後、台風により生け垣全体が倒壊した場合において、生け垣の修理がAの意思に反していたときは、Bは、Aに対し、その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
(正答)〇
(解説)
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
本肢の事例では、Bの事務管理は「本人の意思に反して」行われたものであるが、Bは、Aに対し、「本人が現に利益を受けている限度において」、生け垣全の修理に要した費用の支払を請求することができる。
(R4 司法 第28問 イ)
事務管理の開始後に、その管理が本人の意思に反することが明らかになった場合、管理者は、本人に対し、既に支出した費用の償還を請求することができない。
事務管理の開始後に、その管理が本人の意思に反することが明らかになった場合、管理者は、本人に対し、既に支出した費用の償還を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
702条は、1項において「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する一方で、3項において「管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。」と規定している。
(R6 司法 第30問 ウ)
事務管理をするについて費用を要するときは、本人は、管理者の請求により、その前払をしなければならない。
事務管理をするについて費用を要するときは、本人は、管理者の請求により、その前払をしなければならない。
(正答)✕
(解説)
702条は「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定しているから、管理者は本人に対して有益費の償還を請求することができる。
もっとも、701条は、受任者による費用の前払請求に関する649条を事務管理について準用していないから、管理者は、本人に対して、事務管理をするについて必要な費用の前払いを請求することはできない。
702条は「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定しているから、管理者は本人に対して有益費の償還を請求することができる。
もっとも、701条は、受任者による費用の前払請求に関する649条を事務管理について準用していないから、管理者は、本人に対して、事務管理をするについて必要な費用の前払いを請求することはできない。