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不当利得

第703条

条文
第703条(不当利得の返還義務)
 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
過去問・解説
(H22 司法 第28問 4)
第三者による弁済も有効であるから、錯誤により他人の債務を弁済した場合であっても、その弁済をした者は、債権者に対して返還を請求することはできない。

(正答)

(解説)
錯誤により他人の債務を弁済した場合は、主観的には自己の債務を弁済するつもりだったのだから、その弁済は第三者弁済(474条)として無効である。したがって、その弁済をした者は、債権者に対して不当利得返還請求(703条、704条)をすることができる。
総合メモ

第704条

条文
第704条(悪意の受益者の返還義務等)
 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
過去問・解説
(H22 司法 第28問 1)
不当利得における悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならず、なお損害があるときはその賠償の責任も負う。

(正答)

(解説)
704条は、悪意受益者の返還義務等について、「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。」と規定している。
総合メモ

第705条

条文
第705条(債務の不存在を知ってした弁済)
 債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。
過去問・解説
(H22 司法 第28問 2)
債務が存在しないにもかかわらず、その事実を知り、又は過失により知らないで、債務の弁済として給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。

(正答)

(解説)
705条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定しており、同条は「債務の存在しないこと」を過失により知らなかった場合には適用されない。

(H28 司法 第28問 ア)
債務が存在しないにもかかわらず、その事実を過失により知らないで債務の弁済として給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。

(正答)

(解説)
705条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定しており、同条は「債務の存在しないこと」を過失により知らなかった場合には適用されない。

(H30 司法 第22問 イ)
債務の免除があった場合において、債務者が債務の免除を受けたことを忘れて弁済したときは、債務者はその返還を求めることはできない。

(正答)

(解説)
705条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定しており、同条は「債務の存在しないこと」を過失により知らなかった場合には適用されない。

(R5 司法 第36問 エ)
債務の弁済として給付をした者は、給付の時において債務の存在しないことを知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、その給付したものの返還を請求することができない。

(正答)

(解説)
705条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定しており、同条は「債務の存在しないこと」を過失により知らなかった場合には適用されない。
総合メモ

第706条

条文
第706条(期限前の弁済)
 債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。
過去問・解説
(H22 司法 第28問 3)
債務者は、錯誤により弁済期にあると誤信して、弁済期にない自己の債務の弁済として給付をした場合には、その給付の返還を請求することができる。

(正答)

(解説)
706条本文は、「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。したがって、債務者は、錯誤により弁済期にあると誤信して、弁済期にない自己の債務の弁済として給付をした場合であっても、その給付の返還を請求することはできない。
なお、706条但書は「ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」と規定しているところ、ここでいう「これによって得た利益」とは、給付された金銭を弁済期まで運用することにより得られたであろう利息などを意味しており、「給付したもの」そのものを含まないから、給付そのものの返還請求は認められない(潮見佳男「民法(全)」第3版補訂版496頁)。

(H23 司法 第29問 2)
Aは、Bに対して債務を負っており、その弁済期前であることを知りながらその債務を全額弁済した場合、Bがそれを弁済期までの間に運用して利益を得ていたときは、その利益は、Aとの関係で不当利得となる。

(正答)

(解説)
706条は、「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」と規定しており、債務者が債権者に対して「その給付…によって得た利益」の返還を請求することができるのは、「債務者が錯誤によってその給付をしたとき」に限られる。
本肢の事例では、Aは、Bに対して債務を負っており、その弁済期前であることを知りながらその債務を全額弁済しているから、「債務者が錯誤によってその給付をしたとき」に当たらない。したがって、
Bがそれを弁済期までの間に運用して利益を得ていたとしても、その利益は、Aとの関係で不当利得とならない。

(R2 司法 第28問 ウ)
過失により弁済期が到来したものと誤信をして、弁済期が到来する前に債務の弁済としての給付を行った者は、弁済期が到来するまでは、その給付したものの返還を求めることができる。

(正答)

(解説)
706条本文は、「債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。したがって、債務者は、錯誤により弁済期にあると誤信して、弁済期にない自己の債務の弁済として給付をした場合であっても、その給付の返還を請求することはできない。
なお、706条但書は「ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。」と規定しているところ、ここでいう「これによって得た利益」とは、給付された金銭を弁済期まで運用することにより得られたであろう利息などを意味しており、「給付したもの」そのものを含まないから、給付そのものの返還請求は認められない(潮見佳男「民法(全)」第3版補訂版496頁)。
総合メモ

第707条

条文
第707条(他人の債務の弁済)
① 債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は時効によってその債権を失ったときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。
② 前項の規定は、弁済をした者から債務者に対する求償権の行使を妨げない。
過去問・解説
(H21 司法 第5問 3)
債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で担保を放棄したときは、弁済をした者は、重大な過失がなくても返還の請求をすることができない。

(正答)

(解説)
707条1項は、「債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で…担保を放棄し…たときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。」と規定している。

(R2 司法 第28問 オ)
自らを債務者であると誤信して他人の債務を弁済した者は、債権者が善意でその債権を消滅時効により消滅させてしまった場合、債権者に対し弁済金の返還請求をすることができない。

(正答)

(解説)
707条1項は、「債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で…時効によってその債権を失ったときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。」と規定している。
総合メモ

第708条

条文
第708条(不法原因給付)
 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
過去問・解説
(R5 司法 第29問 エ)
不法な原因のために給付をした者は、不法な原因が受益者についてのみ存した場合であっても、給付したものの返還を請求することができない。

(正答)

(解説)
708条は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」と規定している。したがって、不法な原因のために給付をした者であっても、不法な原因が受益者についてのみ存した場合には、給付したものの返還を請求することができる。
総合メモ