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民法 第97条 - 解答モード
条文
① 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
② 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
③ 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
過去問・解説
(H19 司法 第1問 1)
解除の意思表示は、相手方が了知したときにその効力を生ずる。
(H21 司法 第23問 ア)
A(東京在住)は、友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで、AはBに対し、4月1日、そのための手紙を出し、この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。本件手紙が「甲などお手持ちの掛け軸について、お譲りくださるお気持ちはありませんでしょうか」というものであり、これに対し、Bが4月4日、「100万円でよろしければ甲をお譲りします」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いたところ、AがBに、4月7日、「甲を100万円でお譲りくださるとのこと、ありがとうございます」という手紙を出し、この手紙が4月9日にBに届いた場合、甲の売買契約は4月6日に成立する。
(正答) ✕
(解説)
522条1項は、「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」と規定している。本問では、Bの「100万円でよろしければ甲をお譲りします」との返事が申込みにあたり、Aの「甲を100万円でお譲りくださるとのこと、ありがとうございます」との返事が申込みに対する承諾に当たる。そして、97条1項は、「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」と定めているから、上記の承諾についての手紙がBに届いた日である4月9日に甲の売買契約が成立することになる。なお、Aの「甲などお手持ちの掛け軸について、お譲りくださるお気持ちはありませんでしょうか」という手紙は申込みの誘引にすぎない。
(H21 司法 第23問 イ)
A(東京在住)は、友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで、AはBに対し、4月1日、そのための手紙を出し、この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。本件手紙が「甲を100万円でお譲りください」というものであり、これに対し、Bが4月4日、「100万円で甲をお譲りします」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いた場合、甲の売買契約が4月4日に成立する。
(H21 司法 第23問 ウ)
A(東京在住)は、友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで、AはBに対し、4月1日、そのための手紙を出し、この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。本件手紙は「甲を100万円でお譲りください」というものであり、これに対し、Bが4月4日、「120万円でよろしければ甲をお譲りします」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いたところ、AがBに、4月7日、「それでは120万円で甲をお譲りください」という手紙を出し、この手紙が4月9日にBに届いた場合、甲の売買契約が4月9日に成立する。
(正答) 〇
(解説)
528条は、「承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。」と規定している。また、97条1項は、「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」と規定しており、同条1項の到達主義は承諾の意思表示にも適用される。
本肢の事例では、「甲を100万円でお譲りください」というAの申込みに対して、Bが「120万円でよろしければ甲をお譲りします」という返事をしたことにより、これはAの申込みの拒絶とともに、Bによる新たな申込みとみなされる。したがって、AがBに、4月7日、「それでは120万円で甲をお譲りください」という手紙を出し、この手紙が4月9日にBに届いたことにより、申込みの意思表示と承諾の意思表示が合致した(522条1項)ことになり、甲の売買契約が4月9日に成立する。
(H23 司法 第2問 ア)
意思表示の効力は、相手方に到達した時に生ずるから、契約が成立するのは、承諾の意思表示が相手方に到達した時である。
(H23 司法 第2問 エ)
契約の申込みに対し承諾の意思表示を発した後、到達前に承諾者が死亡した場合、相手方が承諾者死亡の事実を知っていれば、承諾の意思表示が到達しても契約は成立しない。
(H23 司法 第2問 オ)
承諾期間の定めのある契約の申込みであっても、申込みの到達前又は到達と同時であれば撤回することができる。
(正答) 〇
(解説)
97条1項は、「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」と規定している。そうすると、申込みの意思表示の到達前であれば申込みを撤回することができる。もっとも、523条1項本文は「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない」と規定していることから、承諾期間の定めのある契約の申込みについては、申込みの到達前又は到達と同時であっても撤回することができないとも思える。しかし、同条の趣旨は、承諾期間に対する相手方の信頼を保護して申込みの撤回により生じる不測の損害を防止することにある。かかる趣旨からすると申込みの到達前であれば承諾期間に対する相手方の信頼は生じていないのであるから、523条1項の適用はないと解される。したがって、承諾期間の定めのある契約の申込みであっても、申込みの到達前又は到達と同時であれば撤回することができると解される。
(H28 共通 第3問 エ)
AがBに対し契約解除の通知を発した後、Aが行為能力を喪失した場合、Bがその事実を知っていたとしても、当該契約解除の効力は生じる。
(H28 共通 第3問 オ)
AがBに対し契約承諾の通知を発した後、Aが行為能力を喪失した場合、Bがその事実を知っていたとしても、当該契約は成立する。
(R2 司法 第22問 ウ)
Bは、Aによる契約の申込みに対し、承諾の通知を発した後に死亡したが、Aは、その承諾の通知の到達前にB死亡の事実を知っていた場合、契約は成立していない。
(R3 共通 第3問 イ)
Aは、Bに対して契約を解除する旨の通知書を何度も発送したが、Bは、正当な理由なく、その受取を拒んだ。この場合、Aがした解除の意思表示は、到達したものとみなされる。
(R3 共通 第3問 ウ)
Aは、Bに対して契約を解除する旨の通知書を発送した後に死亡し、その後、その通知書がBのもとに到達した。この場合、Aがした解除の意思表示は、その効力を妨げられない。
(R3 共通 第3問 エ)
Aは、Bに対して契約を解除する旨の通知を電子メールで発信したが、通信システムの不具合によりその通知はBに到達しなかった。この場合、Aがした解除の意思表示は、その効力を生ずる。