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第110条
条文
前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
過去問・解説
(R6 司法 第4問 イ)
AがA所有の土地をBに売却し、その所有権移転登記手続をCに委任し、その代理権を与えた場合において、CがDとの間で権限外の行為をした。Cに当該行為についての権限があるとDが信ずべき正当な理由があるときは、Aは、Dに対して当該行為についての責任を負う。
(正答) 〇
(解説)
110条は、「前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。」と規定している。
本肢の事例では、①AがA所有の土地をBに売却し、その所有権移転登記手続をCに委任し、その代理権を与えたことが「代理人のその権限」(基本代理権の授与)を、②CがDとの間で権限外の行為をしたことが「代理人がその権限外の行為をした」ことを、③Cに当該行為についての権限があるとDが信ずべき正当な理由があることが「第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」を、それぞれ根拠づけるから、110条の表見代理が成立する。
(R8 司法 第4問 イ)
AからA所有の甲土地に抵当権を設定する代理権を授与されていたBが、Aに無断で、Aの代理人として、Cとの間で甲土地の売買契約を締結した。Cは、Bがその代理権の範囲外の行為をしているとは知らなかったが、知らなかったことに過失があった。この場合、甲土地の売買契約の効力はAに帰属しない。
(正答)〇
(解説)
110条は、「前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。」と規定している。
本肢では、AがBに甲土地に抵当権を設定する代理権を授与しているため基本代理権は存在している。しかし、Cには、Bが甲土地を売却する代理権を有すると信じたことについて過失があった。したがって、「正当な理由」があるとはいえない。
よって、110条の表見代理は成立せず、甲土地の売買契約の効力はAに帰属しない。