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第376条
条文
① 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
② 前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。
過去問・解説
(R3 司法 第14問 イ)
AがBに対する債務を担保するために、Aの所有する甲土地に第1順位の抵当権を設定し、その登記がされた。BがAの一般債権者Dに対してその抵当権を譲渡するには、Aの承諾を必要としない。
(正答) 〇
(解説)
376条1項は、抵当権の譲渡について、主債務者の承諾を必要としていない。したがって、BがAの一般債権者Dに対してその抵当権を譲渡するには、Aの承諾を必要としない。
(R3 司法 第14問 エ)
AがBに対する債務を担保するために、Aの所有する甲土地に第1順位の抵当権を設定し、その登記がされた。Aが、甲土地について、Gのために第2順位の抵当権、Hのために第3順位の抵当権を設定し、その登記がされている場合において、BのHに対する抵当権の順位の譲渡は、その登記をしなければ譲渡の効力は生じない。
(正答) ✕
(解説)
376条2項は、「抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。」と規定しているため、抵当権の順位の譲渡においては、登記は、効力要件ではなく対抗要件にすぎない。
(R4 司法 第14問 イ)
Aは、その所有する甲土地に、Bのために第1順位の、Cのために第2順位の各抵当権を設定し、その登記をした。この場合、BがCのために抵当権の順位を放棄したときは、BとCの抵当権の順位が入れ替わる。
(正答) ✕
(解説)
抵当権の順位の放棄(376条1項)とは、先順位抵当権者が後順位抵当権者のために、その優先順位を放棄することをいう。本肢の事例では、BがCのために抵当権の順位を放棄したときは、BとCの抵当権の順位が入れ替わる(これは、抵当権の順位の譲渡である。)のではなく、BとCの配当の合計額をBとCの債権額に比例して平等に分配することになる。
(R8 司法 第16問 ア)
Aに対し、Bは1000万円の債権を、Cは2000万円の債権を、Dは3000万円の債権を有しており、これらの債権を被担保債権として、A所有の甲土地に、Bは第一順位の抵当権の設定を、Cは第二順位の抵当権の設定を、Dは第三順位の抵当権の設定をそれぞれ受け、いずれも抵当権設定登記を備えた。また、Aに対して250万円の債権を有する一般債権者Eがいる。この場合において、甲土地の競売により4000万円が配当されることになった。
競売の申立て前に、BがEの利益のために抵当権を放棄し、その旨の登記が具備されたときは、Bに800万円、Cに2000万円、Dに1000万円、Eに200万円が配当される。
なお、各債権者が有する債権の利息及び損害金並びに執行費用は考慮しないものとする。
(正答)〇
(解説)
376条1項は、「抵当権者は、その抵当権を…同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権…を…放棄することができる。」と規定している。そして、抵当権を他の債権者のために放棄した場合には、抵当権者と他の債権者は、抵当権者が本来受けるべき配当額を、両者の債権額に比例して分配することになる。
本肢では、Bが本来受けるべき1000万円を、BとEの債権額1000万円対250万円の割合で分配するため、Bに800万円、Eに200万円が配当される。また、Bによる抵当権の放棄は、BとEとの間における優先弁済権の処分であって、C及びDが本来受けるべき配当額には影響しないため、Cに2000万円、Dに1000万円が配当される。
(R8 司法 第16問 イ)
Aに対し、Bは1000万円の債権を、Cは2000万円の債権を、Dは3000万円の債権を有しており、これらの債権を被担保債権として、A所有の甲土地に、Bは第一順位の抵当権の設定を、Cは第二順位の抵当権の設定を、Dは第三順位の抵当権の設定をそれぞれ受け、いずれも抵当権設定登記を備えた。また、Aに対して250万円の債権を有する一般債権者Eがいる。この場合において、甲土地の競売により4000万円が配当されることになった。
競売の申立て前に、BがEの利益のために抵当権を譲渡し、その旨の登記が具備されたときは、Cに2000万円、Dに1750万円、Eに250万円が配当される。
なお、各債権者が有する債権の利息及び損害金並びに執行費用は考慮しないものとする。
(正答)✕
(解説)
376条1項は、「抵当権者は、その抵当権を…同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権…を譲渡…することができる。」と規定している。そして、抵当権を他の債権者のために譲渡した場合には、譲受人は、譲渡人が本来受けるべき配当額について、譲渡人に優先して弁済を受けることになる。
本肢では、Bが本来受けるべき1000万円について、Eがその債権額250万円の弁済を優先して受け、残額750万円はBに配当される。また、Bによる抵当権の譲渡は、BとEとの間における優先弁済権の処分であって、C及びDが本来受けるべき配当額には影響しないため、Cに2000万円、Dに1000万円が配当される。
(R8 司法 第16問 エ)
Aに対し、Bは1000万円の債権を、Cは2000万円の債権を、Dは3000万円の債権を有しており、これらの債権を被担保債権として、A所有の甲土地に、Bは第一順位の抵当権の設定を、Cは第二順位の抵当権の設定を、Dは第三順位の抵当権の設定をそれぞれ受け、いずれも抵当権設定登記を備えた。また、Aに対して250万円の債権を有する一般債権者Eがいる。この場合において、甲土地の競売により4000万円が配当されることになった。
競売の申立て前に、BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡し、その旨の登記が具備されたときは、Cに2000万円、Dに2000万円が配当される。
なお、各債権者が有する債権の利息及び損害金並びに執行費用は考慮しないものとする。
(正答)〇
(解説)
376条1項は、「抵当権者は、その抵当権を…同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権…の順位を譲渡…することができる。」と規定している。そして、抵当権の順位を他の抵当権者のために譲渡した場合には、譲受人は、譲渡人及び譲受人が本来受けるべき配当額の合計額について、譲渡人に優先して弁済を受けることになる。
本肢では、Bが本来受けるべき1000万円とDが本来受けるべき1000万円の合計2000万円について、DがBに優先して弁済を受けるため、Dに2000万円が配当され、Bには配当されない。また、Bによる抵当権の順位の譲渡は、BとDとの間における順位の処分であって、Cが本来受けるべき配当額には影響しないため、Cに2000万円が配当される。
(R8 司法 第16問 オ)
Aに対し、Bは1000万円の債権を、Cは2000万円の債権を、Dは3000万円の債権を有しており、これらの債権を被担保債権として、A所有の甲土地に、Bは第一順位の抵当権の設定を、Cは第二順位の抵当権の設定を、Dは第三順位の抵当権の設定をそれぞれ受け、いずれも抵当権設定登記を備えた。また、Aに対して250万円の債権を有する一般債権者Eがいる。この場合において、甲土地の競売により4000万円が配当されることになった。
競売の申立て前に、BがDの利益のために抵当権の順位を放棄し、その旨の登記が具備されたときは、Cに1000万円、Dに3000万円が配当される。
なお、各債権者が有する債権の利息及び損害金並びに執行費用は考慮しないものとする。
(正答)✕
(解説)
376条1項は、「抵当権者は、その抵当権を…同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権…の順位を…放棄することができる。」と規定している。そして、抵当権の順位を他の抵当権者のために放棄した場合には、放棄者及び受益者が本来受けるべき配当額の合計額を、両者の債権額に比例して分配することになる。
本肢では、Bが本来受けるべき1000万円とDが本来受けるべき1000万円の合計2000万円を、BとDの債権額1000万円対3000万円の割合で分配するため、Bに500万円、Dに1500万円が配当される。また、Bによる抵当権の順位の放棄は、BとDとの間における順位の処分であって、Cが本来受けるべき配当額には影響しないため、Cに2000万円が配当される。