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民法 第472条の2 - 解答モード
条文
① 引受人は、免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
② 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
過去問・解説
(H29 司法 第20問 オ)
中古自動車の売買契約における売主Aに対する買主Bの代金債務について、Cを引受人とする免責的債務引受の効力が生じた場合において、その自動車に契約不適合があり契約の目的を達成することができないときは、Cはその売買契約を解除することができる。
(R6 司法 第22問 エ)
債権者Aに対する債務者Bのα債務についてCを引受人とする債務の引受けがされた。
本件債務の引受けが免責的債務引受である場合において、BがAに対して有するβ債権を自働債権とし、α債務に係る債権を受働債権とする相殺をすることができたときは、Cは、Aに対し、相殺によってα債務が消滅すべき限度において債務の履行を拒むことができる。
(正答) ✕
(解説)
472条1項は、「引受人は、免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。」と規定している。もっとも、引受人は、債務者が債権者に対して有している債権を自働債権とし、自己の引き受けた債務を受働債権とする相殺を主張することはできない。免責的債務引受けによって債務者が完全に免責される以上、債務者の有する相殺権引受人の債務の帰趨に影響しないし、相殺を認めると他人の権利の処分となってしまうためである(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂546頁)。また、472条2項は、「債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有する」場合における履行拒絶について規定しているが、相殺権は含まれていない。
したがって、Cは、Aに対し、相殺によってα債務が消滅すべき限度において債務の履行を拒むことができない。