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民法 第494条 - 解答モード
条文
① 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
② 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
過去問・解説
(H20 司法 第19問 ア)
弁済供託は、債権者が弁済の受領を拒むとき、債権者が弁済を受領することができないとき、又は債務者が過失なく債権者を確知することができないときに、することができる。
(H20 司法 第19問 イ)
弁済供託がされた債務は、債権者が供託物を受領した時に消滅する。
(H20 司法 第19問 オ)
債務者以外の者は、弁済供託をすることができない。
(H22 司法 第2問 イ)
Aから動産甲を購入する旨の契約を締結したBが、契約締結時に代金のうち一部を支払い、その後、残代金の弁済を提供して動産甲の引渡しを求めたにもかかわらずAがこれに応ぜず、それから相当期間が経過した後にAがその住所を去って行方が分からなくなった。Bは、債権者を確知することができないとの理由により、残代金を供託してその債務を免れることができる。
(正答) ✕
(解説)
494条2項は、弁済供託ができる場合について、「弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。」と規定している。ここでいう「弁済者が債権者を確知することができないとき」(債権者不確知)とは、誰が債権者であるのかが分からないときを意味し、債権者の住所が分からないにとどまるときは、これに当たらない。
本肢の事例では、Bは、債権者がAであることは確知で来ており、単にAの行方が分からなくなっているにすぎないから、「弁済者が債権者を確知することができないとき」に当たらない。したがって、Bは、債権者を確知することができないとの理由により、残代金を供託してその債務を免れることができない。
(H24 司法 第22問 1)
建物賃貸借契約の終了について争いがあり、賃貸人が賃料の受領を拒んでいるときは、賃借人は、賃借人の住所地の供託所又は賃貸人の住所地の供託所に賃料を供託することができる。
(H26 司法 第20問 1)
債務の弁済について正当な利益を有する第三者が弁済の提供をしたのに、債権者がその受領を拒む場合には、当該第三者は、債務者の意思に反するときであっても、供託をすることができる。
(正答) 〇
(解説)
まず、494条1項柱書は、弁済供託の主体について、「債務者」ではなく「弁済者」と規定しているところ、「弁済者」とは、「弁済をすることができる者」を意味し(482条)、第三者弁済も認められている(474条)ため、「弁済者」には、第三者弁済の要件を満たす第三者も含まれる。したがって、債務者以外の者であっても、第三者弁済の要件を満たせば、弁済供託をすることができる。次に、474条2項本文は、「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。」と規定しており、この規定の反対解釈により、弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができると解されている。したがって、債務の弁済について正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反するときであっても、弁済供託をすることができる「弁済者」に当たる。
そして、債務の弁済について正当な利益を有する第三者が弁済の提供をしたのに、債権者がその受領を拒む場合は、「弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき」(494条1項1号)として弁済供託ができる場合に当たる。
したがって、債務の弁済について正当な利益を有する第三者が弁済の提供をしたのに、債権者がその受領を拒む場合には、当該第三者は、債務者の意思に反するときであっても、供託をすることができる。
(H26 司法 第20問 2)
債務者が債権者を確知することができない場合には、確知することができないことについての過失の有無を問わず、供託をすることができる。
(H26 司法 第20問 4)
債務者が供託をした場合であっても、債権者が供託物を受け取らない限り、債務は消滅しない。
(H30 司法 第20問 ア)
債務の弁済について正当な利益を有する第三者が債権者に弁済の提供をしたのに債権者がその受領を拒んだ場合、当該第三者は、債務者の意思に反するときは、供託することができない。
(正答) ✕
(解説)
まず、494条1項柱書は、弁済供託の主体について、「債務者」ではなく「弁済者」と規定しているところ、「弁済者」とは、「弁済をすることができる者」を意味し(482条)、第三者弁済も認められている(474条)ため、「弁済者」には、第三者弁済の要件を満たす第三者も含まれる。したがって、債務者以外の者であっても、第三者弁済の要件を満たせば、弁済供託をすることができる。次に、474条2項本文は、「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。」と規定しており、この規定の反対解釈により、弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができると解されている。したがって、債務の弁済について正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反するときであっても、弁済供託をすることができる「弁済者」に当たる。
そして、債務の弁済について正当な利益を有する第三者が弁済の提供をしたのに、債権者がその受領を拒む場合は、「弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき」(494条1項1号)として弁済供託ができる場合に当たる。
したがって、債務の弁済について正当な利益を有する第三者が弁済の提供をしたのに、債権者がその受領を拒む場合には、当該第三者は、債務者の意思に反するときであっても、供託をすることができる。
(H30 司法 第20問 ウ)
債権が二重に譲渡され、確定日付のある2つの譲渡通知が債務者に到達したが、その先後関係が不明である場合、債務者は供託することができる。
(正答) 〇
(解説)
494条2項は、弁済供託ができる場合について、「弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。」と規定している。
債権が二重に譲渡され、確定日付のある2つの譲渡通知が債務者に到達したが、その先後関係が不明である場合、「弁済者が債権者を確知することができないとき」に当たると解されている(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂306頁)。したがって、債権が二重に譲渡され、確定日付のある2つの譲渡通知が債務者に到達したが、その先後関係が不明である場合、債務者は供託することができる。
(H30 司法 第20問 エ)
金銭債務について弁済供託がされた場合、債権者が供託金を受け取った時に債務は消滅する。
(R4 司法 第21問 イ)
弁済者は、債権者を確知することができず、それについて過失がないときは、弁済の目的物を供託することができる。