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民法 第505条 - 解答モード
条文
① 2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
② 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。
過去問・解説
(R3 共通 第21問 エ)
AのBに対する金銭債権(甲債権)とBのAに対する金銭債権(乙債権)との相殺について、甲債権の弁済期が到来した後に、Aの債権者であるFが甲債権を差し押さえた場合には、Bは、差押え前に取得していた乙債権の弁済期到来前であっても、乙債権と甲債権との相殺をもってFに対抗することができる。
(正答) ✕
(解説)
511条1項は、「差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。」として、自働債権が受働債権の差押え前に取得されたものである場合には、自働債権の弁済期が受働債権の弁済期よりも後に到来するときであっても相殺は禁止されないとする無制限説(最大判昭45.6.24)を明文化している。本肢の事例では、Bは、Aの債権者であるFが甲債権を差し押さえる前に、Aに対する乙債権を取得しているから、乙債権は「差押え前に取得した債権」に当たる。
しかし、505条1項本文は、相殺適状の一つとして、「双方の債務が弁済期にある」ことを必要としている。したがって、Bは、差押え前に取得していた乙債権の弁済期到来前であれば、「双方の債務が弁済期にある」という要件を満たさないため、乙債権と甲債権との相殺をもってFに対抗することができない。相殺の対抗可能性という問題以前に、相殺適状を満たさないとの理由から相殺が認められないのである。
(R4 司法 第22問 イ)
弁済期が到来していない債権の債務者は、その債権を受働債権とする相殺をすることができない。
(正答) ✕
(解説)
505条1項は、相殺について、「双方の債務が弁済期にある」ことを必要としている。もっとも、受働債権については、その債権者が期限の利益を放棄(136条2項)することにより、弁済期を到来させることができる。したがって、弁済期が到来していない債権の債務者は、期限の利益を放棄して弁済期を到来させることにより、その債権を受働債権とする相殺をすることができる。なお、判例(最判平25.2.28)は、「既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、受働債権につき、期限の利益を放棄することができるというだけではなく、期限の利益の放棄又は喪失等により、その弁済期が現実に到来していることを要するというべきである。」としている。
(R5 共通 第21問 オ)
AのBに対する金銭債権(甲債権)とBのAに対する金銭債権(乙債権)との相殺について、甲債権について弁済期が到来していなくても、乙債権について弁済期が到来していれば、Aは、相殺をもってBに対抗することができる。