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民法 第525条 - 解答モード

条文
第525条(承諾の期間の定めのない申込み)
① 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
② 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
③ 対話者に対してした第1項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。
過去問・解説

(H21 司法 第23問 エ)
A(東京在住)は、友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで、AはBに対し、4月1日、そのための手紙を出し、この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。本件手紙は「甲を100万円でお譲りください」というもので、4月3日午後3時にBに届いたが、Aは、本件手紙を投函した後、気が変わり、4月3日午後9時に、「本件手紙が届くかと思いますが、事情により、甲をお譲り願う件はなかったことにしてください」という内容の文書をファクシミリでBに送信し、当該ファクシミリ文書は同日時にB宅に届いた。しかし、Bは、4月4日、「100万円で甲をお譲りします」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いた場合、甲の売買契約が4月6日に成立する。

(正答)  

(解説)
525条1項本文は、「承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。」と規定している。
本肢の事例では、申込みがBに到達してから撤回まで6時間しか経過しておらず、「申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間」が経過したとはいえないから、Aは、申込みを撤回することができない。したがって、4月6日に、Bの手紙がAに到達することでBの承諾の意思表示がその効力を生じ(97条1項)、甲の売買契約が成立する。


(H21 司法 第23問 オ)
A(東京在住)は、友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで、AはBに対し、4月1日、そのための手紙を出し、この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。本件手紙は「甲を100万円でお譲りください」というものであったが、Aは、手紙を投函した後、気が変わり、4月2日午後9時、「本件手紙が届くかと思いますが、事情により、甲をお譲り願う件はなかったことにしてください」という内容の文書をファクシミリでBに送信し、当該ファクシミリ文書は同日時にB宅に届いた。その翌日である4月3日、本件手紙がBに届いた。しかし、Bは、4月5日、「100万円で甲をお譲りします」という返事の手紙を出し、この手紙が4月7日にAに届いた場合、甲の売買契約が4月5日に成立する。

(正答)  

(解説)
確かに、525条1項本文は、「承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない」と規定しており、本問では、AはBに対し、4月1日、申込みに係る本件手紙を出し、本件手紙が4月3日にBに届いていることから、AのBに送信した「本件手紙が届くかと思いますが、事情により、甲をお譲り願う件はなかったことにしてください」という内容のファクシミリ文書がB宅に届いた4月2日午後9時の時点では、「申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間」が経過したとはいえない。
しかし、97条1項は、「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」と規定しているから、本件手紙がBに届いていない4月2日午後9時の時点では、Aの申込み意思表示はその効力を生じていない。525条1項本文は、申込みの意思表示の効力が生じている場合を前提とした規定であるから、4月2日午後9時の時点では、525条1項本文の要件を満たすかどうかにかかわらず、Aは自由に申込みの意思表示を撤回することができる。
したがって、4月2日午後9時に当該ファクシミリ文書がB宅に届いたことにより、Aは申込みの意思表示は撤回されているから、甲の売買契約は成立しない。


(R2 司法 第22問 イ)
Aが対話中にその終了後も契約の申込みが効力を失わない旨を表示せずに対話者であるBに対して契約の申込みをしたところ、Bは対話終了後の翌日に承諾した場合、契約は成立していない。

(正答)  

(解説)
525条3項本文は、対話者間における承諾の期間の定めのない申込みについて、「対話者に対してした第1項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。」と規定している。
本肢の事例では、Aが対話中にその終了後も契約の申込みが効力を失わない旨を表示せずに対話者であるBに対して契約の申込みをしたところ、Bは、対話が継続している間に承諾しておらず、対話終了後の翌日に承諾したにとどまるから、Bが承諾をした時点では、既にAの申込みはその効力を失っている。したがって、申込みの意思表示と承諾の意思表示が合致した(522条1項)とはいえず、契約は成立しない。


(R4 司法 第36問 イ)
隔地者に対して承諾期間を定めないでした申込みは、申込者が撤回する権利を留保した場合を除き、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。

(正答)  

(解説)
525条1項は、「承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。」と規定している。


(R6 司法 第24問 イ)
Aが対話者Bに対して承諾の期間を定めないで申込みをしたときは、対話が継続している間は、Aは、申込みを撤回することができる。

(正答)  

(解説)
525条は、対話者間における承諾の期間の定めのない申込みについて、1項において「承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。」と規定する一方で、2項において「対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。」と規定している。
したがって、525条2項の適用により、Aが対話者Bに対して「承諾の期間を定めないでした申込み」について、「対話が継続している間」は、Aはこれを撤回することができる。

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