現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
民法 第538条 - 解答モード
条文
① 前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。
② 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第1項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。
過去問・解説
(H18 司法 第23問 ウ)
Aが宝石をBに売り、代金は、AがDと連帯してCに対して負っている借入金債務を弁済するため、BがCに支払うとの契約を締結した場合、既にDがCに対する債務を弁済していたときは、Cが受益の意思表示をした後であっても、Aは、Bとの契約を合意解除することができる。
(正答) ✕
(解説)
第三者のためにする契約における「第三者の権利」とは、「第三者」が「債務者に対して直接にその給付を請求する権利」であり(537条1項)、これは「第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する」ものである(同条3項)。そして、538条2項は、「前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第1項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。」と規定している。
本肢の事例では、第三者(受益者)Cが諾約者(債務者)Bに対して受益の意思表示をした時点で、第三者Cが「第三者の権利」を取得するから、それ以降、要約者(債権者)Aは、第三者Cの承諾を得なければ、諾約者Bとの契約を合意解除することができない。
(R2 司法 第23問 オ)
AB間においてAの所有する中古の時計甲の売買契約が締結された。売買契約において第三者Gに甲の所有権を取得させることが定められ、Gの受益の意思表示がされた後、Aが甲の引渡しを遅滞した場合、Bは、Gの承諾を得なければ、売買契約を解除することができない。
(正答) 〇
(解説)
第三者のためにする契約における「第三者の権利」とは、「第三者」が「債務者に対して直接にその給付を請求する権利」であり(537条1項)、これは「第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する」ものである(同条3項)。そして、538条2項は、「前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第1項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。」と規定している。
本肢の事例では、第三者(受益者)Gが諾約者(債務者)Aに対して受益の意思表示をした時点で、第三者Gが「第三者の権利」を取得するから、それ以降、要約者(債権者)Bは、第三者Gの承諾を得なければ、売買契約を解除することができない。
(R4 予備 第10問 ウ)
AとBは、AがBに絵画甲を代金50万円で売り、Bがその代金全額をCに支払う旨の契約を締結した。AとBは、CがBに対して受益の意思を表示するまでは、合意により代金額を変更することができる。
(R4 予備 第10問 エ)
AとBは、AがBに絵画甲を代金50万円で売り、Bがその代金全額をCに支払う旨の契約を締結した。CがBに対して受益の意思を表示した後は、BがCに対して50万円の支払をしない場合であっても、Aは、Cの承諾を得なければ、Bとの契約を解除することができない。
(正答) 〇
(解説)
第三者のためにする契約における「第三者の権利」とは、「第三者」が「債務者に対して直接にその給付を請求する権利」であり(537条1項)、これは「第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する」ものである(同条3項)。そして、538条2項は、「前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第1項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。」と規定している。
したがって、第三者(受益社)Cが諾約者(債務者)Bに対して受益の意思を表示した後は、諾約者Bが第三者Cに対して50万円の支払をしない場合であっても、要約者(債権者)Aは、第三者Cの承諾を得なければ、諾約者Bとの契約を解除することができない。