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民法 第542条 - 解答モード
条文
① 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
② 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
過去問・解説
(H21 司法 第26問 ア)
建物の建築請負契約において、仕事の目的物である建物に種類又は品質に関する契約不適合があり、そのために契約した目的を達することができないときは、注文者は、そのことを理由として契約の解除をすることができる。
(H23 司法 第24問 4)
Aは、Bとの間で、「Bが大学を卒業した際には、Aは、A所有の特定の自動車を10万円でBに売り渡す」という契約をしたが、Aの失火によってこの自動車は焼失し、その後、Bは、大学を卒業した。この場合、Bは、この売買契約を解除することはできない。
(H23 共通 第25問 イ)
売買の目的物の種類・品質に契約不適合があった場合、債権者が追完の催告をしても契約した目的を達するのに足りる追完がされる見込みがないことが明らかであるときは、買主は、契約を解除することができる。
(正答) 〇
(解説)
542条1項5号は、無催告解除できる場合として、「債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき」を挙げている。
したがって、売買の目的物の種類・品質に契約不適合があった場合、債権者が追完の催告をしても契約した目的を達するのに足りる追完がされる見込みがないことが明らかであるときは、買主は、「債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかである」ことを理由として、無催告で契約を解除することができる。
(H25 司法 第17問 ウ)
建物を目的物とする売買契約が締結された後、その引渡期日が到来する前に売主の占有下で当該建物の全部が滅失した場合、当該建物の滅失が売主の責めに帰すべき事由による場合、買主は、既に売主に代金を支払っているときは、契約を解除して、その代金の返還を請求することができる。
(H25 司法 第17問 オ)
建物を目的物とする売買契約が締結された後、その引渡期日が到来する前に売主の占有下で当該建物の全部が滅失した場合、当該建物の滅失が不可抗力による場合、買主は、既に売主に代金を支払っているときは、その返還を請求することができる。
(正答) ✕
(解説)
542条1項1号は、無催告解除できる場合として、「債務の全部の履行が不能であるとき」を挙げており、また、平成29年改正民法下では債務者の帰責事由は解除要件とされていない。したがって、その引渡期日が到来する前に売主の占有下で当該建物の全部が滅失した場合、当該建物の滅失が不可抗力による場合、買主は、「債務の全部の履行が不能である」ことを理由として、売買契約を解除して、原状回復請求権(545条1項本文)を行使してその代金の返還を請求することができる。
もっとも、540条1項は、「契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。」と規定しているから、契約解除の効果が発生するためには、解除の意思表示が必要である。したがって、541条又は542条所定の解除事由が認められる場合であっても、解除の意思表示がなければ、契約は解除により消滅しない。よって、買主は、売買契約を解除することなく、代金の返還を請求することはできない。
(H29 共通 第24問 エ)
売主が目的物を引き渡したが、買主が代金を履行期の経過後も支払わない場合において、売主が買主に対して相当の期間を定めて代金の支払を催告したにもかかわらず、買主が代金の支払を拒絶する意思を明確に表示したときは、売主は、相当の期間が経過する前であっても、当該売買契約を解除することができる。
(正答) 〇
(解説)
542条1項5号は、無催告解除できる場合として、「債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき」を挙げている。
したがって、売主が目的物を引き渡したが、買主が代金を履行期の経過後も支払わない場合において、売主が買主に対して相当の期間を定めて代金の支払を催告したにもかかわらず、買主が代金の支払を拒絶する意思を明確に表示したときは、売主は、相当の期間が経過する前であっても、「債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかである」ことを理由として、無催告で当該売買契約を解除することができる。
(R2 予備 第10問 ウ)
債務の一部の履行が不能である場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときは、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の全部の解除をすることができる。
(R3 司法 第22問 ウ)
債務の一部の履行が不能である場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときは、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の全部の解除をすることができる。
(R5 共通 第24問 ウ)
債務者が債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかなときは、債権者は、催告をせずに直ちに契約を解除することができる。