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民法 第567条
条文
第567条(目的物の滅失等についての危険の移転)
① 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
② 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。
① 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
② 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。
過去問・解説
(H23 司法 第24問 2)
Aは、Bに対して、A所有の中古住宅を代金3000万円で売却し、Bへの所有権移転登記と同時に代金全額を受け取るという約束でBにこの住宅を引き渡したが、Bに引き渡した2日後に、この住宅は隣人の失火によって全焼した。この場合、Bは、Aに対して、代金3000万円を支払わなければならない。
Aは、Bに対して、A所有の中古住宅を代金3000万円で売却し、Bへの所有権移転登記と同時に代金全額を受け取るという約束でBにこの住宅を引き渡したが、Bに引き渡した2日後に、この住宅は隣人の失火によって全焼した。この場合、Bは、Aに対して、代金3000万円を支払わなければならない。
(正答) 〇
(解説)
危険負担については、一般規定(536条)があるが、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が…滅失し、又は損傷したとき」については、特則である567条が適用される。
567条1項は、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。」と規定している。
本肢の事例では、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したとき」に当たるから、Bは、Aに対して、代金3000万円を支払わなければならない。
567条1項は、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。」と規定している。
本肢の事例では、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したとき」に当たるから、Bは、Aに対して、代金3000万円を支払わなければならない。
(H26 司法 第16問 ア)
売買契約においてその目的物であるワインを種類のみで指定し、買主の住所で引き渡すこととされていた場合において、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したのに、買主がその受領を拒んだ場合には、その後売主がそのワインを故意に滅失させたときであっても、売主は、ワインの引渡債務の不履行を理由とする損害賠償責任を負わない。
売買契約においてその目的物であるワインを種類のみで指定し、買主の住所で引き渡すこととされていた場合において、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したのに、買主がその受領を拒んだ場合には、その後売主がそのワインを故意に滅失させたときであっても、売主は、ワインの引渡債務の不履行を理由とする損害賠償責任を負わない。
(正答) ✕
(解説)
567条1項は、「売買の目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)」を引き渡した時以後における目的物の滅失・損傷に関するリスク分配について定めており、同条2項は、買主の受領遅滞中における目的物(売買の目的として特定したものに限る…)」の滅失・損傷に関するリスク分析について定めている。そして、受領遅滞中の履行不能のリスク分配については、一般規定として413条の2があるが、売買の場合には、その特則として567条2項が優先的に適用される。
本肢の事例では、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したのに、買主がその受領を拒んだのだから、「売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み」という場合に当たる。また、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したことにより、「債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し…た」として、売買の目的物であるワインが持参したワインに特定されているため、「目的物(売買の目的として特定したもの…)」という前提要件も満たす。そうすると、「その履行の提供があった時以後に…その目的物が滅失し、又は損傷したとき」として、売主は、ワインの引渡債務の不履行を理由とする損害賠償責任(415条1項本文)を負わないとも思える。
しかし、売主がワインを故意に滅失させたのだから、「当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失…したとき」には当たらず、567条2項の適用はない。
したがって、売主は、ワインの引渡債務の不履行を理由とする損害賠償責任(415条1項本文)を負う。
本肢の事例では、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したのに、買主がその受領を拒んだのだから、「売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み」という場合に当たる。また、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したことにより、「債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し…た」として、売買の目的物であるワインが持参したワインに特定されているため、「目的物(売買の目的として特定したもの…)」という前提要件も満たす。そうすると、「その履行の提供があった時以後に…その目的物が滅失し、又は損傷したとき」として、売主は、ワインの引渡債務の不履行を理由とする損害賠償責任(415条1項本文)を負わないとも思える。
しかし、売主がワインを故意に滅失させたのだから、「当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失…したとき」には当たらず、567条2項の適用はない。
したがって、売主は、ワインの引渡債務の不履行を理由とする損害賠償責任(415条1項本文)を負う。
(H26 司法 第16問 イ)
売買契約においてその目的物であるワインを種類のみで指定し、買主の住所で引き渡すこととされていた場合において、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したが、買主がその受領を拒んだ場合、その後そのワインが保管されていた倉庫が第三者の放火によって焼失し、ワインが滅失したときには、売主は、ワインの引渡債務を免れる。
売買契約においてその目的物であるワインを種類のみで指定し、買主の住所で引き渡すこととされていた場合において、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したが、買主がその受領を拒んだ場合、その後そのワインが保管されていた倉庫が第三者の放火によって焼失し、ワインが滅失したときには、売主は、ワインの引渡債務を免れる。
(正答) 〇
(解説)
567条1項は、「売買の目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)」を引き渡した時以後における目的物の滅失・損傷に関するリスク分配について定めており、同条2項は、買主の受領遅滞中における目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)」の滅失・損傷に関するリスク分配について定めている。そして、受領遅滞中の履行不能のリスク分配については、一般規定として413条の2があるが、売買の場合には、その特則として567条2項が優先的に適用される。
本肢の事例では、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したが、買主が正当な理由なくその受領を拒んだのだから、「売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み」(567条2項)という場合に当たる。そして、買主の受領遅滞後に、そのワインが保管されていた倉庫が第三者の放火によって焼失し、ワインが滅失したのだから、「その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し…たとき」に当たる。したがって、売主は、ワインの引渡債務を免れる一方で、買主は、代金の支払いを拒むことができない。なお、売主が引渡債務を免れるのは、567条2項の適用によるものではなく、目的物の滅失による履行不能(412条の2第1項)によるものである。
本肢の事例では、売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したが、買主が正当な理由なくその受領を拒んだのだから、「売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み」(567条2項)という場合に当たる。そして、買主の受領遅滞後に、そのワインが保管されていた倉庫が第三者の放火によって焼失し、ワインが滅失したのだから、「その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し…たとき」に当たる。したがって、売主は、ワインの引渡債務を免れる一方で、買主は、代金の支払いを拒むことができない。なお、売主が引渡債務を免れるのは、567条2項の適用によるものではなく、目的物の滅失による履行不能(412条の2第1項)によるものである。
(R2 司法 第15問 オ)
AとBは、Aが所有する骨董品甲をBに100万円で売却する旨の売買契約を締結した。Aが引渡期日に甲の引渡しの提供をしたところ、Bが正当な理由なく受領を拒絶したため、Aの下で甲を保管中に、Aの重過失により甲が滅失したときは、Bは、代金の支払を拒むことができない。
AとBは、Aが所有する骨董品甲をBに100万円で売却する旨の売買契約を締結した。Aが引渡期日に甲の引渡しの提供をしたところ、Bが正当な理由なく受領を拒絶したため、Aの下で甲を保管中に、Aの重過失により甲が滅失したときは、Bは、代金の支払を拒むことができない。
(正答) ✕
(解説)
567条1項は、「売買の目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)」を引き渡した時以後における目的物の滅失・損傷に関するリスク分配について定めており、同条2項は、買主の受領遅滞中における目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)」の滅失・損傷に関するリスク分配について定めている。そして、受領遅滞中の履行不能のリスク分配については、一般規定として413条の2があるが、売買の場合には、その特則として567条2項が優先的に適用される。
本肢の事例では、Aが引渡期日に甲の引渡しの提供をしたところ、Bが正当な理由なく受領を拒絶したのだから、「売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み」(567条2項)という場合に当たる。また、受領遅滞の効果として、Aの目的物保存義務の水準は、「自己の財産に対するのと同一の注意」へと軽減される(413条1項)。そうすると、「その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失…したとき」として、Bは、567条2項に基づいて、代金の支払を拒むことができそうである。しかし、Aの下で甲を保管中に、Aの重過失により甲が滅失しているため、Aが「自己の財産に対するのと同一の注意」を尽くしたとはいえないから、「その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失…したとき」には当たらず、567条2項の適用はない。したがって、Bは、代金の支払を拒むことができる。
本肢の事例では、Aが引渡期日に甲の引渡しの提供をしたところ、Bが正当な理由なく受領を拒絶したのだから、「売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み」(567条2項)という場合に当たる。また、受領遅滞の効果として、Aの目的物保存義務の水準は、「自己の財産に対するのと同一の注意」へと軽減される(413条1項)。そうすると、「その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失…したとき」として、Bは、567条2項に基づいて、代金の支払を拒むことができそうである。しかし、Aの下で甲を保管中に、Aの重過失により甲が滅失しているため、Aが「自己の財産に対するのと同一の注意」を尽くしたとはいえないから、「その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失…したとき」には当たらず、567条2項の適用はない。したがって、Bは、代金の支払を拒むことができる。
(R6 司法 第25問 エ)
特定物甲の売主Aが買主Bから代金の支払を受けるまでに、甲は、ABいずれの責めにも帰することができない事由によって滅失又は損傷した。
AB間の売買契約に甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約が付されていた場合において、甲の滅失がBへの引渡し後であったときは、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
特定物甲の売主Aが買主Bから代金の支払を受けるまでに、甲は、ABいずれの責めにも帰することができない事由によって滅失又は損傷した。
AB間の売買契約に甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約が付されていた場合において、甲の滅失がBへの引渡し後であったときは、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
(正答) ✕
(解説)
危険負担については、一般規定(536条)があるが、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が…滅失し、又は損傷したとき」については、特則である567条が適用される。567条は、平成29年改正民法による新設された規定であり、目的物の引渡しにより目的物の支配が売主から買主に移転することに着目したものである。
567条1項は、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。」と規定している。
AB間の売買契約に甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約が付されているが、甲の滅失がBへの引渡し後である以上は、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が…滅失し、又は損傷したとき」に当たる。したがって、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができない。
567条1項は、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。」と規定している。
AB間の売買契約に甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約が付されているが、甲の滅失がBへの引渡し後である以上は、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が…滅失し、又は損傷したとき」に当たる。したがって、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができない。
(R6 司法 第25問 オ)
特定物甲の売主Aが買主Bから代金の支払を受けるまでに、甲は、ABいずれの責めにも帰することができない事由によって滅失又は損傷した。
AがBに甲を引き渡そうとしたところ、その品質が契約の内容に適合しないものであったためにBがその受領を拒んだときは、その後に甲の滅失が生じたとしても、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
特定物甲の売主Aが買主Bから代金の支払を受けるまでに、甲は、ABいずれの責めにも帰することができない事由によって滅失又は損傷した。
AがBに甲を引き渡そうとしたところ、その品質が契約の内容に適合しないものであったためにBがその受領を拒んだときは、その後に甲の滅失が生じたとしても、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
(正答) 〇
(解説)
567条1項は、「売買の目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)」を引き渡した時以後における目的物の滅失・損傷に関するリスク分配について定めており、同条2項は、買主の受領遅滞中における目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)」の滅失・損傷に関するリスク分配について定めている。そして、受領遅滞中の履行不能のリスク分配については、一般規定として413条の2があるが、売買の場合には、その特則として567条2項が優先的に適用される。
本肢の事例では、Bが甲の受領を拒んでいるから、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が…滅失…したとき」には当たらないから、567条1項は適用されない。また、Bは、甲の品質が契約の内容に適合しないものであったという正当な理由に基づいてその受領を拒んだのだから、「買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合」にも当たらず、567条2項も適用されない。したがって、567条ではなく、一般規定である536条1項が適用される。そして、536条1項は、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」と規定しているところ、本肢の事例では、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったとき」に当たる。以上より、Bは、危険負担の抗弁(536条1項)を主張して代金の支払を拒むことができる。
本肢の事例では、Bが甲の受領を拒んでいるから、「売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る…。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が…滅失…したとき」には当たらないから、567条1項は適用されない。また、Bは、甲の品質が契約の内容に適合しないものであったという正当な理由に基づいてその受領を拒んだのだから、「買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合」にも当たらず、567条2項も適用されない。したがって、567条ではなく、一般規定である536条1項が適用される。そして、536条1項は、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」と規定しているところ、本肢の事例では、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったとき」に当たる。以上より、Bは、危険負担の抗弁(536条1項)を主張して代金の支払を拒むことができる。