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刑法 共同正犯と事前共謀の要否 最三小判昭和23年12月14日 - 解答モード
概要
判例
判旨:「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。原審の採用した証拠によれば、被告人等の間に判示の犯行について共同行為の意思聯絡のもとに、互に他の一方の行為を利用し、協力して両巡査の職務執行を妨害したものであることを認め得るのであるから、原審が挙示の証拠により被告人等は共謀して本犯行をなしたと認めたことは虚無の証拠によったものとは言い得ない。」
過去問・解説
(H20 司法 第5問 ウ)
甲と乙が、丙に対して同時に1発ずつけん銃を発射し、そのうち1発は丙の頭部をかすめたものの命中せず、もう1発が丙の頭部に命中し、それにより丙は死亡した。丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかった。甲と乙は、互いに何ら意思の連絡なく、それぞれ丙を殺害する意思をもってけん銃を発射した場合、甲乙にはそれぞれ殺人未遂罪の単独犯が成立する。
(正答)〇
(解説)
確かに、甲乙間に共謀が成立していれば、丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかったとしても、一部実行全部責任の原則により、甲乙にはそれぞれ殺人既遂罪の共同正犯が成立する。そして、判例(最判昭23.12.14)は、「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。」として、共同正犯における共謀は、事前共謀でなく現場共謀でも構わない旨判示している。
しかし、甲と乙は、互いに何ら意思の連絡がないのだから、共謀の成立は認められない。そうである以上、丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかったことから、甲と乙のいずれについても、実行行為と丙の死亡との間の因果関係を認めることはできない。したがって、甲乙にはそれぞれ殺人未遂罪の単独犯が成立するにとどまる。
(H24 共通 第2問 ア)
甲は、甲の所属する暴力団事務所にVを連行し、同事務所において3日間、Vを逃走できないように見張って監禁し、その後、同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見張れ。」と言った。乙は、これを了承し、4日目から前記事務所においてVを逃走できないように見張って監禁した。5日目に乙が居眠りをした隙に、Vは、前記事務所の窓から外に飛び降りて逃げ出したが、飛び降りた際、右足首を骨折した。監禁致傷罪の共同正犯が成立するか。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭23.12.14)は、「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。」として、共同正犯における共謀は、事前共謀でなく現場共謀でも構わない旨判示している。
本肢の事例では、甲は、甲の所属する暴力団事務所にVを連行し、同事務所において3日間、Vを逃走できないように見張って監禁し、その後、同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見張れ。」と言い、乙がこれを了承しているため、事前共謀は認められないが、現場共謀が認められる。そして、乙が、甲との現場共謀に基づき、4日目から前記事務所においてVを逃走できないように見張って監禁をし、5日目に乙が居眠りをした隙に、Vは、前記事務所の窓から外に飛び降りて逃げ出したが、飛び降りた際、右足首を骨折したのだから、甲には、監禁致傷罪(221条)の共同正犯が成立する。