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刑法 被教唆者が従わなかった場合の教唆犯の成否 大判大正9年3月16日 - 解答モード

概要
教唆者において、具体的に犯罪実行の手段方法その他犯罪の場所、時期又は目的物等を指定した場合において、被教唆者がその指定に違背して教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があるときでも、被教唆者が指定の違背につき認識があったか否かを問わず、教唆された一定の犯罪行為を実現させている以上は教唆犯が成立する。
判例
事案:教唆者が犯罪実行に関して具体的な指定をしたという事案において、被教唆者がそれに従わなかった場合における教唆犯の成否が問題となった。

判旨:「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第6問 2)
甲が、乙に対し、Aの弱みに付け込んでAから現金を喝取するように唆したところ、乙は、その旨決意し、深夜、公園にいるBをAと誤認して、現金を喝取しようとしてBを脅迫したが、人違いのため現金を喝取できず、その直後、Aを上記公園に呼び出し、Aから現金を喝取した。甲には、Aに対する恐喝既遂罪の教唆犯とBに対する恐喝未遂罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙が、公園にいるBをAと誤認して、現金を喝取しようとBを脅迫しているが、恐喝罪の構成要件である「人」の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても甲に恐喝罪の教唆犯が成立する。
したがって、甲には、Aに対する恐喝既遂罪の教唆犯とBに対する恐喝未遂罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H29 共通 第15問 1)
甲が乙に対し、深夜の公園で待ち伏せしてAから金品を喝取するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、深夜の公園でAを待ち伏せしたが、偶然通り掛かったBをAと誤認してBから金品を喝取した。乙は、人違いに気付き、引き続きAを待ち伏せして、通り掛かったAから金品を喝取しようとしてAを脅迫したが、Aに逃げられてしまい金品を喝取することができなかった。甲にはAに対する恐喝未遂罪の教唆犯のみが成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙は、偶然通り掛かったBをAと誤認してBから金品を喝取しているが、恐喝罪の構成要件である「人」の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても甲に恐喝罪の教唆犯が成立する。
したがって、甲には、Aに対する恐喝未遂罪の教唆犯とBに対する恐喝既遂罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H29 共通 第15問 3)
甲が乙に対し、留守宅であるA方に侵入して金品を窃取するように教唆したところ、乙は、その旨決意したが、B方をA方と誤認してB方に侵入し、その場にいたBから金品を強取した。甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙が、B方をA方と誤認してB方に侵入しているが、構成要件の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても住居侵入罪が成立する。また、その後の判例(最判昭25.7.11)は、「正犯が教唆した犯罪より重い罪を犯した場合、構成要件が重なり合う範囲で軽い罪の教唆犯が成立する。」としている。
甲は乙に対し、窃盗を教唆し、乙が強盗を実行しているから構成要件が重なり合う窃盗の限度で教唆犯が成立する。
したがって、甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H29 共通 第15問 4)
甲が乙に対し、現住建造物であるA家屋に放火するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、A家屋に延焼させる目的で、A家屋に隣接した現住建造物であるB家屋に放火したが、B家屋のみを焼損し、A家屋には燃え移らなかった。甲にはA家屋に対する現住建造物等放火未遂罪の教唆犯のみが成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
また、放火罪は公共の危険を犯す罪であるから、公共の危険の個数により罪数が決まり、複数の建造物が焼損しても発生した公共の危険が1個ならば単純一罪となる。
甲から教唆された乙は、A家屋に延焼させる目的で、A家屋に隣接した現住建造物であるB家屋に放火しこれを焼損したのであるから、甲は現住建造物等放火既遂罪の教唆犯のみが成立する。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第5問 エ)
甲が乙にA方に侵入して金品を窃取するように教唆して、その犯行を決意させたが、乙はA方と誤認して隣のB方に侵入してしまい、B方から金品を窃取した場合、甲にB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.16)は、「教唆者ニ於テ具体的ニ犯罪実行ノ手段方法其他犯罪ノ場所、時期又ハ目的物等ヲ指定シタル場合ニ於テ被教唆者カ其指定ニ違背シ教唆者ノ意思ト被教唆者ノ実行行為トノ間ニ齟齬アリタルトキト雖モ被教唆者カ指定ノ違背ニ付キ認識アリタルト否トヲ問ハス苟モ教唆セラレタル一定ノ犯罪行為ヲ実現セシメタル以上ハ仍ホ教唆罪ノ成立ヲ妨ケサルモノトス」として、教唆した犯罪の内容と実行した犯罪の内容に齟齬があっても、教唆した犯罪行為を実現した以上、その犯罪が成立するとしている。
甲から教唆された乙が、B方をA方と誤認してB方に侵入しB方から金品を窃取しているが、構成要件の範囲内で符合している以上、教唆者の意思と被教唆者の実行行為との間に齟齬があっても住居侵入罪の及び窃盗罪の教唆犯が成立する。
したがって、甲にB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。

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