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刑法 1つの幇助行為と複数の正犯行為 最一小決昭和57年2月17日 - 解答モード

概要
①幇助犯、教唆犯の個数は、正犯の罪のそれに従って決定される。
②幇助罪が数個成立する場合において、それらが54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。
判例
事案:1つの幇助行為により複数の犯行が行われ、幇助罪の個数と複数の幇助行為が認められた事案において、複数の幇助行為の罪数関係が問題となった。

判旨:「幇助罪は正犯の犯行を幇助することによって成立するものであるから、成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定されるものと解するのが相当である。…被告人は、正犯らが2回にわたり覚せい剤を密輸入し、2個の覚せい剤取締法違反の罪を犯した際、覚せい剤の仕入資金にあてられることを知りながら、正犯の1人から渡された現金等を銀行保証小切手にかえて同人に交付し、もって正犯らの右各犯行を幇助したというのであるから、たとえ被告人の幇助行為が1個であっても、2個の覚せい剤取締法違反幇助の罪が成立すると解すべきである。
 …幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべきである。被告人の幇助行為は1個と認められるから、たとえ正犯の罪が併合罪の関係にあっても、被告人の2個の覚せい剤取締法違反幇助の罪は観念的競合の関係にあると解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第16問 1)
甲は、乙が丙の住居及び丁の住居に侵入することを決意しているのを知り、乙に対し、侵入用具としてドライバー1本を貸与し、その翌日、乙はこれを利用して丙の住居及び丁の住居にそれぞれ侵入した。甲には、2個の住居侵入罪の従犯が成立し、両罪は観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の住居侵入罪の個数に従って2個の住居侵入罪の幇助犯が成立する。他方、甲は、乙に対して侵入用具としてドライバー1本を貸与するという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には、2個の住居侵入罪の従犯が成立し、両罪は観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第11問 2)
甲は、乙が強盗を行うつもりであることを知りながら、乙に模造拳銃1丁を貸し与えたところ、乙は、2店のコンビニエンスストアで、同模造拳銃を使ってそれぞれ強盗を行った。甲には、2個の強盗幇助罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の強盗罪の個数に従って2個の強盗罪の幇助犯が成立する。
甲は、乙が強盗を行うつもりであることを知りながら、乙に模造拳銃1丁を貸し与えたという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には、2個の強盗幇助罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(H27 共通 第17問 3)
甲は、乙がX及びYを殺害するつもりでいることを知ったことから、凶器としてナイフ1本を乙に手渡したところ、乙は、同ナイフを用いてX及びYを殺害した。甲には2個の殺人幇助の罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の殺人罪の個数に従って2個の殺人罪の幇助犯が成立する。甲は、乙がX及びYを殺害するつもりでいることを知りながら、凶器としてナイフ1本を乙に手渡したという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には2個の殺人幇助の罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(R3 司法 第7問 イ)
甲は、乙がA及びBをバットで順次殴打して両名を負傷させた際、これに先立ち、乙の意図を知りながら、乙にバットを手渡してそれらの犯行を幇助した。この場合、甲には、A及びBに対する2個の傷害罪の幇助犯が成立し、これらは観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の傷害罪の個数に従って2個の傷害罪の幇助犯が成立する。甲は、乙の意図を知りながら、乙にバットを手渡したという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には2個の傷害罪の幇助犯が成立し、これらは観念的競合となる。

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