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刑法 預金通帳が詐欺罪の客体となるか 最二小決平成14年10月21日 - 解答モード
概要
判例
判旨:「しかし、預金通帳は、それ自体として所有権の対象となり得るものであるにとどまらず、これを利用して預金の預入れ、払戻しを受けられるなどの財産的な価値を有するものと認められるから、他人名義で預金口座を開設し、それに伴って銀行から交付される場合であっても、刑法246条1項の財物に当たると解するのが相当である。そして、被告人は、上記のとおり、銀行窓口係員に対し、自己がA本人であるかのように装って預金口座の開設を申し込み、その旨誤信した同係員から貯蓄総合口座通帳1冊の交付を受けたのであるから、被告人に詐欺罪が成立することは明らかである。そうすると、詐欺罪の成立を否定した原判決には、刑法246条1項の解釈適用を誤った違法があるというべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第20問 3)
甲は、架空人である乙名義でX銀行Y支店に預金口座を開設しようと企て、乙に成り済まして預金口座を開設し、乙名義の預金通帳の交付を受けた。この場合、預金通帳は口座開設に伴って発行される証書にすぎないので、甲に詐欺罪は成立しない。
(H23 司法 第19問 ウ)
甲は、求人広告を見て乙と会い、乙から、銀行で架空人名義の預金口座を開設し、その預金通帳とキャッシュカードを手に入れて乙に渡すというアルバイトを依頼され、これを引き受けた。その際、甲は、乙から、預金口座を開設する際に身分証明書として呈示するため、甲の顔写真が印刷された架空人A名義の運転免許証を作成する必要があると聞かされたので、甲の顔写真を乙に交付するとともに、甲の知人Bの住所をキャッシュカードの送付先として乙に教えた。乙は、不正に入手したC名義の真正な運転免許証の顔写真の上から甲の顔写真を貼り付け、氏名をA名義に、住所をBの住所にそれぞれ書き換えるなどの加工を施し、甲の顔写真が貼付されたA名義の運転免許証を作成した。同免許証は、一見すると真正なものと見分けがつかないような精巧なものであった。数日後、甲は、乙から、前記運転免許証とAの姓を刻した印鑑を受け取った。その後、甲は、銀行に行き、口座開設申込書にAの氏名及びBの住所等を書いてAの印鑑を押した上、同銀行窓口係丙に対し、Aを装い、同申込書を前記運転免許証と一緒に提出して口座開設を申し込んだ。丙は、甲がAであることを疑うこともなく、かつ、前記運転免許証及び前記口座開設申込書の記載内容が虚偽であると知っていれば口座開設をしなかったのに、これらの内容が真実であるものと誤信し、A名義の口座を開設する手続を行い、即日窓口で預金通帳を甲に交付し、キャッシュカードについては、Bの住所地宛てに郵送した。甲は、数日後に郵送されたキャッシュカードをBから受け取った後、しばらくの間、自宅に通帳とキャッシュカードを保管し、その後、報酬と引換えに、預金通帳とキャッシュカードを乙に交付した。甲に詐欺罪が成立する。