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刑法 後行行為における横領罪の成否 最大判平成15年4月23日 - 解答モード
概要
判例
判旨:「委託を受けて他人の不動産を占有する者が、これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後においても、その不動産は他人の物であり、受託者がこれを占有していることに変わりはなく、受託者が、その後、その不動産につき、ほしいままに売却等による所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは、委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をしたものにほかならない。したがって、売却等による所有権移転行為について、横領罪の成立自体は、これを肯定することができるというべきであり、先行の抵当権設定行為が存在することは、後行の所有権移転行為について犯罪の成立自体を妨げる事情にはならないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第21問 オ)
甲は、A会社の代表取締役であるが、権限がないのに、A会社が所有し、その旨登記されている土地について、甲を債務者、乙を権利者とする抵当権を設定し、その旨の登記を完了した後、さらに、権限がないのに、当該土地を丙に売却してその旨の登記を完了した。当該土地に抵当権を設定してその旨の登記をした時点で、甲には業務上横領罪が成立するので、当該土地を丙に売却してその旨の登記を完了した行為についてA会社を被害者とする業務上横領罪は成立しない。
(H30 共通 第20問 イ)
甲は、別居している実弟Aとの間で、自己が所有するX市内の土地(以下「本件土地」という。)を代金3000万円で売却する売買契約を締結し、Aから代金全額の支払を受けたものの、本件土地の所有権移転登記は未了のままであった。
そこで、甲は、自己が経営する会社の資金繰りのため、自らが保管していた本件土地の登記済証を利用し、事情を知らないBに対して、本件土地に抵当権を設定するので、それを担保に1000万円を融資してほしい旨申し入れたところ、Bは、これを了承した。数日後、甲は、Bから1000万円の融資を受けた上、Aに無断で本件土地の抵当権設定登記を完了した。
甲が本件土地をAに無断で乙に売却し、所有権移転登記を完了したことについては、それ以前に甲がAに無断で本件土地に抵当権を設定し、その旨の登記を完了したことによって、犯罪の成立は妨げられないので、甲に横領罪が成立する。
(R3 予備 第8問 4)
所有者から委託を受けて不動産を占有する者が、所有者に無断で、金融機関を抵当権者とする抵当権を同不動産に設定してその旨の登記を了した後において、同不動産の売却代金を自己の用途に費消するため、更に所有者に無断で、第三者に同不動産を売却してその旨の登記を了した場合、先行する抵当権設定行為について横領罪が成立する場合であっても、後行する所有権移転行為について、横領罪が成立する。