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刑法 社交儀礼と賄賂罪 最一小判昭和50年4月24日 - 解答モード
概要
公務員に対する贈与であっても、慣行的社交儀礼として行われたものではないかと考えられる余地が十分ある場合には、収賄罪は成立しない。
判例
事案:新規に学級担任となった直後の時期において、かねてから子女の教員に対する季節の贈答や学年初めの挨拶を慣行としていた父兄から贈答用小切手(5000円)の贈与を受けたという事案において、季節の贈答や贈答用小切手の収受が収賄罪に当たるかが問題となった。
判旨:「右小切手の授受についてみると、それが供与されたのは、被告人が新規に右Aの学級担任になった直後の時期においてであるところ、右Bは、Aの場合ばかりでなく、かねてから子女の教員に対しては季節の贈答や学年初めの挨拶を慣行としていたものであって、これらの贈答に関しては、儀礼的挨拶の限度を超えて、教育指導につき他の生徒に対するより以上の特段の配慮、便益を期待する意図があったとの疑惑を抱かせる特段の事情も認められないのであるから、本件小切手の供与についても、被告人が新しく学級担任の地位についたことから父兄からの慣行的社交儀礼として行われたものではないかとも考えられる余地が十分存するのであって、右供与をもって直ちに被告人が学級担任の教諭として行うべき教育指導の職務行為そのものに関する対価的給付であると断ずるには、記録上窺知することのできる被告人に対する他の父兄からの贈答状況、金額、被告人以外の教員の場合における同種事情、被告人が無罪とされた他の9個の事実との対比等の諸事情一切を総合考慮するときは、なお合理的な疑が存するものといわなければならないのである。
…以上説示の諸事情に加え、その他記録上窺知できる諸般の事情をも総合して本件事実関係を見れば、第一審判決が掲げる証拠及び記録によっても、前記2件の供与をもって、被告人の教諭としての公的職務に関し、これに対してなされたものであると断定するには、なお合理的な疑いの存することを払拭することができず、右2件の供与は、被告人の職務行為を離れた、むしろ私的な学習上生活上の指導に対する感謝の趣旨と、被告人に対する敬慕の念に発する儀礼の趣旨に出たものではないかと思われる余地があると言わなくてはならない。」
判旨:「右小切手の授受についてみると、それが供与されたのは、被告人が新規に右Aの学級担任になった直後の時期においてであるところ、右Bは、Aの場合ばかりでなく、かねてから子女の教員に対しては季節の贈答や学年初めの挨拶を慣行としていたものであって、これらの贈答に関しては、儀礼的挨拶の限度を超えて、教育指導につき他の生徒に対するより以上の特段の配慮、便益を期待する意図があったとの疑惑を抱かせる特段の事情も認められないのであるから、本件小切手の供与についても、被告人が新しく学級担任の地位についたことから父兄からの慣行的社交儀礼として行われたものではないかとも考えられる余地が十分存するのであって、右供与をもって直ちに被告人が学級担任の教諭として行うべき教育指導の職務行為そのものに関する対価的給付であると断ずるには、記録上窺知することのできる被告人に対する他の父兄からの贈答状況、金額、被告人以外の教員の場合における同種事情、被告人が無罪とされた他の9個の事実との対比等の諸事情一切を総合考慮するときは、なお合理的な疑が存するものといわなければならないのである。
…以上説示の諸事情に加え、その他記録上窺知できる諸般の事情をも総合して本件事実関係を見れば、第一審判決が掲げる証拠及び記録によっても、前記2件の供与をもって、被告人の教諭としての公的職務に関し、これに対してなされたものであると断定するには、なお合理的な疑いの存することを払拭することができず、右2件の供与は、被告人の職務行為を離れた、むしろ私的な学習上生活上の指導に対する感謝の趣旨と、被告人に対する敬慕の念に発する儀礼の趣旨に出たものではないかと思われる余地があると言わなくてはならない。」
過去問・解説
(R5 司法 第11問 ア)
公立中学校の教員が、自らが担任を務める生徒の保護者から商品券を受け取った場合、それが慣行的社交儀礼としてなされたものであっても、常に「賄賂」に当たる。