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刑法 正当防衛の共同実行後における量的過剰防衛 最三小判平成6年12月6日

概要
急迫不正の侵害に対し、複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び、侵害が終了した後に、なおも一部の者が暴行を続けた場合において、侵害終了後に暴行を加えていない者については、侵害現在時における暴行について防衛行為としての相当性が認められ、侵害終了後の暴行について共謀が認められないという判示の事実関係の下においては、過剰防衛ではなく、正当防衛が成立する。
判例
事案:共同して防衛行為を行った複数人の一部の者が侵害終了後に追撃行為を行ったという事案において、追撃行為の実行に及ばなかった者は追撃行為について共同正犯の罪責を負うかが問題となった。

判旨:「本件のように、相手方の侵害行為に対し、複数人が共同して防衛行為として暴行に及び、相手方からの侵害が終了した後に、なおも一部の者が暴行を続けた場合において、後の暴行を加えていない者について正当防衛の成否を検討するに当たっては、侵害実現時と侵害終了後とに分けて考察するのが相当であり、侵害現在時における暴行が正当防衛と認められる場合には、侵害終了後の暴行については、侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、防衛行為としての相当性を検討すべきである。」
過去問・解説
(R4 司法 第7問 2)
甲と乙は、友人丙がVから暴行を受けているのを発見し、丙を助けるために意思を通じ、正当防衛としてVに暴行を加えた。これにより、攻撃の意思を失い攻撃をやめたVが現場から逃走したため、甲は、暴行をやめたが、乙は、Vを追いかけて更にVに暴行を加えて傷害を負わせた。その間、甲は、乙の行動に驚き、乙が暴行を加えるのを傍観していた。この場合、甲には、傷害罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.12.6)は、「本件のように、相手方の侵害行為に対し、複数人が共同して防衛行為として暴行に及び、相手方からの侵害が終了した後に、なおも一部の者が暴行を続けた場合において、後の暴行を加えていない者について正当防衛の成否を検討するに当たっては、侵害実現時と侵害終了後とに分けて考察するのが相当であり、侵害現在時における暴行が正当防衛と認められる場合には、侵害終了後の暴行については、侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、防衛行為としての相当性を検討すべきである。」としている。
甲乙間の当初の共謀の内容は、丙を助けるためであったことから、乙がVを追いかけて追撃し、傷害を負わせたことは当初の意思連絡の範囲外であるといえる。
したがって、甲乙間に正当防衛後の新たな意思連絡はなく、甲に傷害罪の共同正犯は成立しない。
総合メモ
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