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刑法 中止未遂と傷害未遂 最三小決昭和32年9月10日

概要
被告人の犯行完成の意力を抑圧した原因が、本件のように、犯罪の完成を妨害するに足る性質の障がいに基づくものと認められる場合は、いわゆる中止未遂ではなく、障がい未遂にあたると解するのが相当とする。
判例
事案:母を殺害しようとしたものの、頭部より血を流し痛苦していたので、その姿を見て俄かに驚愕恐怖し、その後の殺害行為を続行することができず、所期の殺害の目的を遂げなかった事案において、中止犯の成否が問題となった。

判旨:「被告人が犯行完成の意力を抑圧されて本件犯行を中止した場合は、犯罪の完成を妨害するに足る性質の障がいに基くものと認めるべきであって、刑法43条但書にいわゆる自己の意思により犯行を止めたる場合に当らないものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H24 司法 第11問 ア)
【事例】
甲は、殺意をもって、乙の頭部目掛けて包丁で1回切り付けたが、乙は、これを左腕で防いだため、左前腕部切創の傷害を負った。
【記述】
乙の負った傷害は、全治約2週間の左前腕部切創にとどまり、生命に危険のある状態には至らなかった。甲は、更に乙に切り付けようとしたが、通行人が近づいてくるのを認めて、自己の犯行が発覚すると思い、その場から逃走した。中止犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭32.9.10)は、「被告人が犯行完成の意力を抑圧されて本件犯行を中止した場合は、犯罪の完成を妨害するに足る性質の障がいに基くものと認めるべきであって、刑法43条但書にいわゆる自己の意思により犯行を止めたる場合に当らないものと解するを相当とする。」としている。
甲は、通行人に発見されれば犯行の継続は事実上困難で、その場から逃走したのは犯罪の完成を妨害するに足る性質の障がいに基づくものといえ、任意性が認められない。
したがって、甲に中止犯は成立しない。
総合メモ
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