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刑法 毒殺行為の着手 大判大正7年11月16日

概要
他人が食用の結果中毒死に至ることを予見し、毒物をその飲食できる状態に置いた事実があるときは毒殺行為に着手したといえる。
判例
事案:被告人が致死性の毒入り飲食物を送付した事案において、どの時点で殺人の実行の着手が認められるかが問題となった。

判旨:「他人カ食用ノ結果中毒死ニ至ルコトアルヘキヲ予見シ乍ラ毒物ヲ其飲食シ得ヘキ状態ニ置キタル事実アルトキハ毒殺行為ニ著手シタルモノニ外ナラス」
過去問・解説
(H20 司法 第11問 オ)
甲の罪責について、判例の立場に従って検討し、殺人罪が既遂になる場合は1を、未遂にとどまる場合は2を、既遂にも未遂にもならない場合は3を選びなさい。
甲は、乙を自宅に招いて毒入りの菓子を食べさせて毒殺しようと考え、菓子に致死量の毒薬を混入し、乙に自宅に招待する旨の電話をしたが、乙が多忙を理由にこれを断ったため、乙を殺害することができなかった。

(正答)3

(解説)
判例(大判大7.11.16)は、「他人カ食用ノ結果中毒死ニ至ルコトアルヘキヲ予見シ乍ラ毒物ヲ其飲食シ得ヘキ状態ニ置キタル事実アルトキハ毒殺行為ニ著手シタルモノニ外ナラス」として、毒入り食品が被害者宅へ到着した時点で実行の着手を認めている。
乙は、甲の自宅に行くことを電話で誘われただけで、実際には多忙を理由に断っているから、甲が、毒入りの菓子を乙が飲食し得るべき状態に置いたとはいえない。
したがって、甲が殺人罪の実行に着手したとはいえないから、甲に殺人未遂罪は成立しない。

(H23 共通 第10問 ア)
甲は、乙を毒殺する目的で毒入り菓子をお歳暮として郵送するため、郵便局の窓口でその菓子を包んだ小包の郵送を申し込んだが、誤って実際には存在しない住所を宛先として記載したために同小包はどこにも配達されずに甲宅に送り返された。この場合、甲には殺人未遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.11.16)は、「他人カ食用ノ結果中毒死ニ至ルコトアルヘキヲ予見シ乍ラ毒物ヲ其飲食シ得ヘキ状態ニ置キタル事実アルトキハ毒殺行為ニ著手シタルモノニ外ナラス」として、毒入り食品が被害者宅へ到着した時点で実行の着手を認めている。
甲が誤って実際には存在しない住所を宛先として記載したために、小包はどこにも配達されずに甲宅に送り返されているから、被害者宅に到着していない。
したがって、甲が殺人罪の実行に着手したとはいえないから、甲に殺人未遂罪は成立しない。

(R2 司法 第11問 エ)
甲は、Vを殺害する意思で、毒入りの菓子を箱詰めし、それをV宅に宛てて宅配便で発送した。しかし、仕事に嫌気が差した配達員により、その菓子は配達途中に川に捨てられた。甲には、殺人未遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.11.16)は、「他人カ食用ノ結果中毒死ニ至ルコトアルヘキヲ予見シ乍ラ毒物ヲ其飲食シ得ヘキ状態ニ置キタル事実アルトキハ毒殺行為ニ著手シタルモノニ外ナラス」として、毒入り食品が被害者宅へ到着した時点で実行の着手を認めている。
甲がV宅に宛てて発送した毒入り菓子は、仕事に嫌気が差した配達員により、その菓子は配達途中に川に捨てられ、被害者宅に到着していない。
したがって、甲が殺人罪の実行に着手したとはいえないから、甲に殺人未遂罪は成立しない。

(R6 司法 第2問 ウ)
甲は、Aの殺害を企て、致死量の毒物を混入した砂糖を、情を知らない郵便配達員を介して、贈答品を装ってAに郵送し、Aがこれを受領したが、Aは、毒物の混入に気付いたため、同砂糖を食用に供することはなかった。この場合、甲に殺人未遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.11.16)は、「他人カ食用ノ結果中毒死ニ至ルコトアルヘキヲ予見シ乍ラ毒物ヲ其飲食シ得ヘキ状態ニ置キタル事実アルトキハ毒殺行為ニ著手シタルモノニ外ナラス」として、毒入り食品が被害者宅へ到着した時点で実行の着手を認めている。
致死量の毒物を混入した砂糖は、情を知らない郵便配達員を介して、贈答品を装ってAに郵送し、Aがこれを受領しているから、Aは毒物をその飲食できる状態に置かれているといえ、実行の着手が認められる。
したがって、甲が殺人罪の実行に着手したといえるから、甲に殺人未遂罪は成立する。
総合メモ
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