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刑法 恐喝罪の成否(未開封の郵便) 大判大正5年8月28日

概要
恐喝の目的をもって他人を畏怖させるに足りる文章を郵便で送達し、受信人に到達したが受信人は封を開ける前に誤って捨ててしまった場合は不能犯とならず、恐喝未遂罪となる。
判例
事案:恐喝の目的をもって他人を畏怖させるに足りる文章を郵便で送達し、受信人に到達したが受信人は封を開ける前に誤って捨ててしまったという事案において、恐喝罪の成否が問題となった。

判旨:「苟モ恐喝ノ犯意ヲ以テ他人ヲ畏怖セシムルニ足ル文書ヲ郵便ニ付シ受信人ニ到達セシメタル以上ハ該文書ハ既ニ行使セラレタルモノナルヲ以テ縦令犯人ノ意思ニ基カサル事由ニ因リ受信人カ其内容ヲ了知シ得サルニ至ルモ所謂不能犯ト為ルモノニ非ス」
過去問・解説
(H20 司法 第11問 エ)
甲は、乙が万引きするのを目撃したことを奇貨として、乙から現金を脅し取ろうと考え、乙にあてて、「万引きをしたのを警察に知られたくなかったら、30万円持ってこい。」などと記載した文書を郵送したところ、乙は同文書を受け取ったが、封を開ける前に誤って捨ててしまったため、甲は現金を手に入れることができなかった。甲に恐喝既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.8.28)は、受信人が封を開ける前に恐喝文章を捨てた事案において、「恐喝ノ犯意ヲ以テ他人ヲ畏怖セシムルニ足ル文書ヲ郵便ニ付シ受信人ニ到達セシメタル以上ハ該文書ハ既ニ行使セラレタルモノナルヲ以テ縦令犯人ノ意思ニ基カサル事由ニ因リ受信人カ其内容ヲ了知シ得サルニ至ルモ所謂不能犯ト為ルモノニ非ス」として、不能犯の成立を認めず、恐喝文書を送付した時点で恐喝罪の実行の着手を認めている。
したがって、甲には、恐喝未遂罪が成立する。

(H22 司法 第8問 オ)
甲の罪責について、判例の立場に従って検討し、恐喝罪が既遂になる場合には1を、未遂にとどまる場合には2を、既遂にも未遂にもならない場合には3を選びなさい。
甲は、乙から現金を喝取する目的で、現金の交付を要求する脅迫状を乙宅に郵送したが、乙が不在中に同脅迫状を受け取って読んだ乙の妻が直ちに警察に届け出たため、甲は現金を取得できなかった。

(正答)2

(解説)
判例(大判大5.8.28)は、受信人が封を開ける前に恐喝文章を捨てた事案において、「恐喝ノ犯意ヲ以テ他人ヲ畏怖セシムルニ足ル文書ヲ郵便ニ付シ受信人ニ到達セシメタル以上ハ該文書ハ既ニ行使セラレタルモノナルヲ以テ縦令犯人ノ意思ニ基カサル事由ニ因リ受信人カ其内容ヲ了知シ得サルニ至ルモ所謂不能犯ト為ルモノニ非ス」として、不能犯の成立を認めず、恐喝文書を送付した時点で恐喝罪の実行の着手を認めている。
甲は、乙から現金を喝取する目的で、現金の交付を要求する脅迫状を乙宅に郵送したが、乙が不在中に同脅迫状を受け取って読んだ乙の妻が直ちに警察に届け出たため、甲は現金を取得できなかった。
乙宅に脅迫状を郵送した時点で恐喝罪の実行の着手が認められるが、現金を取得できていない以上、未遂にとどまる。
したがって、甲の恐喝罪は未遂にとどまる。
総合メモ
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